「遺恨」と「怨恨」と「禍根」
それぞれ不吉で同じような意味の言葉に感じますが、何か違いはあるのでしょうか?
この記事では、「遺恨」と「怨恨」と「禍根」の意味や違いについて分かりやすく説明していきます。
「遺恨(いこん)」の意味とは?
「遺恨」とは、「忘れがたい深い恨み」や「残念に思うこと」、「心残り」を意味する言葉です。
「遺恨」の「遺」という字は「遺(のこ)す」とも書き、文字通り、「恨みを遺す(残す)」「遺った(残った)恨み」を表しています。
「遺恨」を使った例文
・『容疑者の犯行目的は遺恨を晴らすことにあったようだ』
・『この戦いは、両国間に深い遺恨を残す結果になった』
・『前回の痴話ゲンカが原因で、彼女は夫に対して遺恨があるようだ』
「怨恨(えんこん)」の意味とは?
「怨恨」とは、「恨むこと」や「深い恨みの心」を意味する言葉です。
「怨恨」の「怨」という字は「怨(うら)み」とも書きます。
同じ「うらみ」でも、「恨み」は相手を憎んだり、不満を抱く場合に用いられ、「怨み」は「うらみ」の感情に憎しみや憎悪が伴う場合に用いられます。
「怨」という字に「恨」を重ねて、より憎しみを強調した表現と言えます。
「怨恨」を使った例文
・『今回の事件は怨恨による犯行と報道された』
・『怨恨を抱きながらも、彼女は平静を装っていた』
・『明智光秀が本能寺の変を起こした理由の1つに織田信長への怨恨説が挙げられている』
「禍根(かこん)」の意味とは?
「禍根」とは、「禍(わざわい)が生ずる原因や源」を意味する言葉です。
「禍根」の「禍」は「わざわい」と読み、「良くないこと」や「予期せぬ不幸な出来事」という意味があります。
文字通り、「良くないことや不幸な出来事の根っことなる原因」を表しています。
「禍根」を使った例文
・『小さな言い争いが禍根となって、2人の関係に亀裂が生じた』
・『禍根を残さないためには、お互いの歩み寄りが必要だ』
・『禍根を断つべく、この人物は兄弟に対して戦いを仕掛けた』
「遺恨」と「怨恨」と「禍根」の違い
「遺恨」は「心に遺った恨み」を表しており、「怨恨」は「恨み」をより強調した表現になります。
「遺恨」も「怨恨」も「恨み」を指しているのに対して、「禍根」は良くないことや不幸な出来事に繋がる「原因」を指しています。
したがって、「遺恨を残す」は「恨みを残す」という意味合いで、「禍根を残す」は「(後に禍となる)原因を残す」という意味合いになります。
まとめ
・「遺恨」とは、「忘れがたい深い恨み」や「残念に思うこと」、「心残り」を意味する言葉です。
・「怨恨」とは、「恨むこと」や「深い恨みの心」を意味する言葉です。
・「禍根」とは、「禍(わざわい)が生ずる原因や源」を意味する言葉です。
「遺恨」と「怨恨」が「恨み」を指しているのに対して、「禍根」は良くないことや不幸な出来事に繋がる「原因」を指しています。