法的な用語で「弁済」「弁償」「賠償」などの言葉がありますが、皆さんはこれらの意味をご存知でしょうか?
知っていることと知らないことでは、仕事をしている中で大きな差が生まれてくるかもしれません。
そこでこの記事では、「弁済」と「弁償」と「賠償」の違いを分かりやすく説明していきます。
「弁済」とは?
「弁済」は「べんさい」という読み方をしますが、「債務を弁償すること」という意味があり、特に法律の世界では「債務を履行して債権を消滅させる」という意味で使用されている言葉です。
簡単に言うと「借りたお金を全額返すこと」と言うことになるのですが、「弁済」を構成している「弁」という漢字には「はっきりさせる」「明確にする」などの意味合いがあります。
もう1つの「済」は「終わらせる」「済ませる」という意味があり、これらの2つの文字で「弁済」は「はっきりと終わらせる」という解釈に繋がっていくわけですが、借りたお金のすべてを返すことで債務を果たしたということになります。
「弁済」の例文
「弁済」の例文は以下の通りです。
・『代理弁済する』
・『債務者には弁済能力がない』
「弁償」とは?
「べんしょう」という読み方をする「弁償」は「償う(つぐなう)こと」「他人に与えた損害に対してお金など財物を出して補いをすること」という意味になります。
他人に対して何かしらの損害を与えた場合に、その償いとして金銭や品物で穴埋めをするという場面で使われるのです。
「弁償」の例文
・『弁償するだけですむ話ではない』
・『運送業者が弁償する』
上記の例文を見ると、損害を何かしらの方法で償うことが理解できることと思います。
「賠償」とは
「賠償」は「ばいしょう」と読み、「他に与えた損害を償う」ということを指しています。
「賠償」の例文
・『損害賠償を請求される』
・『賠償責任が伴う』
「賠償」は「損害賠償責任」などで使われていますが、「故意、あるいは過失によって他人の身体的・財物的な面で損害を与えた時にその損害に対して金銭で賠償する責任を負うこと」を言っています。
法律上では損害賠償は民事上責任扱いとなり、刑罰など刑事上責任とは別のもの。
そのためにこの損害は「将来受けるはずだった想定された利益を失った場合も対象となっていくのです。
「弁済」と「弁償」と「賠償」の違い
ここで「弁済」「弁償」「賠償」の違いを見ていきましょう。
「弁償」は「損害に対する償い」と指していました。
これに対して「弁済」は「借金を返済する」ということで、「債務を終わらせる」という意味合いで使われています。
「賠償」は重大な過失が法的に罪として扱われた場合や裁判で賠償責任が追及されるようなケースで用いられています。
また、 「弁償」は個人の間で話し合いで解決するケースで使われているために。
社会的に損害が大きい重大な事故や問題の時には使われることはありません。
まとめ
「弁済」「弁償」「賠償」の意味や違いを説明してきましたが、意味がかなり異なっているために正確に理解しておくようにしたいものです。