「啓発」と「啓蒙」の違いとは?意味や違いを分かりやすく解釈

「啓発」と「啓蒙」の違いとは?生活・教育

新しい物事や知識を教える時には色々な方法や手段が用いられますが、その態度としては「啓発」「啓蒙」というものがあり、それぞれ意味が違うので注意しましょう。

この記事では、「啓発」「啓蒙」の違いを分かりやすく説明していきます。

「啓発」とは?

「啓発」とは人に対して知識や知恵を授けたり、あるいは気付きやヒントを与えて理解を助ける行為や態度を表す言葉です。

人を教えて導くことから先生や上司、専門家などが指導する時に使われます。

普段だと中々気が付かない知識や事柄を教えることや、自らが気づくようにヒントを与えることから教わる側の自主性を尊重するという点があるのも特徴です。

「啓発」を使った言葉として有名なものには「自己啓発」があります。

これは自己をより高い能力や人格を得るのを目的としたり、成功や生きがいを求めるものとなっています。

本来の「啓発」は様々な人に対して使われるのですが、「自己啓発」というものはセミナーなどを中心に行っており賛否両論があるので注意しましょう。


「啓蒙」とは?

「啓蒙」「啓発」と同様に新しい知識や知恵を授けて、教え導くという意味があります。

しかし「啓蒙」は自分の立場や文化が上位であるという前提に立ち、それをまだ未開の地域や知識を持たない人や文化に対して一方的に教え導くという特徴があります。

これは17世紀から始まったヨーロッパの「啓蒙主義」において顕著であり、様々な文化や研究が生み出されたことでも有名です。

「啓蒙」はこのように教える対象が知識を知らないという前提でする行為であり、そのことから一種の差別的な言葉として見なされることもあります。

また「啓蒙」はこの意味から常に立場が上の人から下の人へと教えるという構造になっており、使い方が限定されるので注意しましょう。


「啓発」と「啓蒙」の違い

「啓発」「啓蒙」も知識や知恵を与えて教え導くという意味は共通しています。

「啓発」は相手の知識の有無は問わないという特徴がありますが、「啓蒙」は相手の知識が劣っているという前提や思い込みを含んだ上で行われるという特徴になっています。

「啓発」は相手の自主性を尊重しながらヒントを与えて気付かせるという内容になっていますが、「啓蒙」は直接的に知識や答えを教えたり与えるという押しつけがましいものとなっています。

「啓発」の例文

・『古典ではあるがあの小説には色々と啓発された』
・『スタッフの啓発セミナーのために色々と準備をしたが、無事に好評だったのでホッとした』

「啓蒙」の例文

・『啓蒙思想によって様々な哲学、理論、思想が生まれた』
・『啓蒙的な態度によって教えているあの教授は少し苦手だ』

まとめ

「啓発」「啓蒙」も知識や知恵を与えて教え導くという意味があります。

「啓発」は相手にヒントを与えて自主的に気付かせるという教え方になっていますが、「啓蒙」は基本的に相手は知識を持っていないという前提で教えることから強制的なものになるのが特徴です。