この記事では、「作為」と「故意」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「作為」と「故意」の違い
「作為」と「故意」はどちらも「自然にそうなるのではなく意図的にすること・わざとすること」を意味していますが、「作為」という言葉にある「事実であるかのようにわざと手を加えること・つくりごと」の意味が「故意」にはありません。
「作為」に対して「故意」という表現は、「意図的にわざとすること」や「民法上、自分の行為から一定の結果が生じることを認容しながら行為する心情」を意味しているという違いを指摘できます。
「作為」と「故意」の使い方の違い
「作為」と「故意」の使い方の違いは、「作為」は「自分の意志で行為すること・事実に見せかけて意図的に手を加えること」を意味して使われますが、「故意」のほうは「主に悪事をわざとすること・刑法で罪となる事実を認識して、結果の発生を意図(認容)していること」を意味して使われる違いがあります。
例えば、「情報改ざんの作為の跡がうかがわれました」の「作為」は「故意」に言い換えることはできず、「故意に足を引っ掛けて転ばせました」の「故意」は「作為」に言い換えられないといった使い方の違いを指摘できます。
「作為」と「故意」の英語表記の違い
「作為」を英語で表記すると以下のようになります。
“willful”(意志が働いている・意図的な・作為)
“commission”(積極的な行為を意味する法律用語・作為)
“artificial”(人為的な・人工的な・作為的な)
「作為」に対して「故意」という言葉を英語で表記すると以下のようになります。
“intentional”(意図した・意図的な・故意の)
“on purpose”(意図的に・目的をもって・故意の)
このように、「作為」の英語表記は“willful”などであり、「故意」の英語表記は“intentional”などであるという違いがあります。
「作為」の意味
「作為(さくい)」という言葉は、「人が自分の意志で行うこと・自分の考えで作り出すこと」を意味しています。
「作為」には、「事実であるかのように見せかけて手を加えること」や「人の積極的な行為を示す法律用語」といった意味合いもあります。
「作為」の使い方
「作為」という言葉は、「人が自分の意志・考えで行うこと」や「意図的に手を加えたつくりごと」を意味して使うという使い方になります。
例えば、「このオブジェには作者の作為が働いています」や「この石庭には苦労してつくった作為の跡が見え隠れしています」といった文章で使うことができます。
「作為」を使った例文
・『私たちが作為したビジネスは、当初思っていたよりもスムーズには進みませんでした』
・『作為的な芸術作品というのは、本当の意味で人の心を動かすことができないのです』
・『この出生率を示した統計データには、作為の痕跡がうかがえました』
・『自然界にはない人の作為によって、文明社会の建築物や設備がつくられたのです』
・『作為の働いている犯罪というのは、偶発的な事故よりも悪質といえます』
「作為」の類語
「作為」の類語には、「意識・意志・意図・人為・人工」などがあります。
「作為」という表現は、「人の意識・意志が働いている行動」や「人為的・人工的・意図的に作り出すこと」を意味しています。
それらの意味から、「作為」と類似した意味を持つ類語として、「意識・意志・意図・人為・人工」を挙げることができます。
「作為」の対義語
「作為」の対義語には、「自然・無作為・偶然」などがあります。
「作為」とは「人為的・意図的に作り出すこと」を意味しているので、それと反対の意味を持つのは「人為が働いていない自然な状態」や「人の作為が働いていない無作為」、「意図的ではない偶然」になります。
そのことから、「作為」と反対の意味を持つ言葉として、「自然・無作為・偶然」を考えることができます。
「故意」の意味
「故意(こい)」とは、「意図的にわざとすること・分かっていてあえてすること」を意味している言葉です。
「故意」の言葉には、「自分の行為から一定の結果が生じることを認容して行う心理」や「犯罪である事実を認識した上で行う・自分の行為とその結果を認識している」といった法律用語のニュアンスもあります。
「故意」の使い方
「故意」の使い方は、「その行為をわざとする場合」や「自分の行為とその結果を認識して行う場合」に使うという使い方になります。
例えば、「故意に傷つけたわけではありません」や「故意でその犯罪を犯しました」といった文章で使用することができます。
「故意」を使った例文
・『故意に車を後ろからぶつけてきました』
・『故意で彼女を怪我させたのであれば許すことができません』
・『故意にルール違反をしたわけではないので、今回だけは見逃してください』
・『怒っていた彼は、過失ではなく故意で無関係な人に対して暴力を振るったのです』
・『故意で犯した犯罪は、偶然に起こしてしまった事故よりも罪が重くなります』
「故意」の類語
「故意」の類語には、「意図的・わざと・殊更(ことさら)・分かった上で・作為的」などがあります。
「故意」という言葉は、「意図的にある行為をすること」や「わざとすること・意図して殊更にすること」を意味しています。
法律用語の「故意」には、「犯罪であることを分かった上で」や「自分の意識で作為的に行うこと」といった意味合いもあります。
これらの意味から、「故意」と類似した意味を持つ類語として、「意図的・わざと・殊更・分かった上で・作為的」を挙げられます。
「故意」の対義語
「故意」の対義語には、「過失(かしつ)・偶然」などがあります。
「過失」という言葉は「わざとしたのではなく、不注意・ミス・落ち度によって生じたあやまちやしくじり」を意味していて、「偶然」というのは「意図したものではなく、たまたまそうなったこと」を意味しています。
それらの意味から、「故意」と反対の意味を持つ対義語として、「過失・偶然」を考えることができるのです。
まとめ
「作為」と「故意」の違いを説明しましたが、いかがだったでしょうか?
「作為」と「故意」の意味・使い方・英語の違いや類語・対義語を詳しく調べたい時は、この記事をチェックしてみてください。