この記事では、「誤魔化す」(ごまかす)と「騙す」(だます)の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「誤魔化す」と「騙す」の違い
「誤魔化す」と「騙す」は、よく似た使われ方をする言葉です。
しかし二つの言葉の意味には違いがあります。
「誤魔化す」は、「取り繕う」ということです。
なので、「嘘」をつかなくても誤魔化すことはできます。
「取り繕って、知られたくない事柄から遠ざけること」が「誤魔化す」です。
しかし、「騙す」は「嘘をつく」ことです。
「嘘をついて、本当ではないことを本当だと思い込ませる」ということが「騙す」です。
ここに「誤魔化す」と「騙す」の違いがあります。
「誤魔化す」と「騙す」の使い方の違い
次に「誤魔化す」と「騙す」の使い方の違いについて説明します。
「誤魔化す」は、もともと「知られたくないこと」があるときに使われます。
「知られると嫌な気分になったり、不都合が生じたりするので、はぐらかしてしまった」というのが「誤魔化す」です。
これに対し「騙す」は「誤魔化す」よりも積極的かつ攻撃的であると考えられます。
「『知られたくないこと』=『嘘』を自ら作り、相手をあざむいていくこと」が「騙す」です。
「誤魔化す」と「騙す」の英語表記の違い
「誤魔化す」の英語表記は“bluff”(ブラフ)です。
「こけおどしをする」という意味の言葉です。
「騙す」の英語表記は“deceive”(ディシ―ブ)が挙げられます。
「あざむく」「詐欺を行う」といった意味があります。
「誤魔化す」も「騙す」も、完全に一致した意味で用いられる英単語はなく、文脈のニュアンスによってどの単語を使えばいいのか考えていく必要があります。
「誤魔化す」の意味
「誤魔化す」は「ごまかす」と読みます。
「誤魔化す」とは、「本心や悪い行いが見破られないように、話題を変えたり、出まかせを言ったりして、取り繕う」ということです。
「誤魔化す」と漢字を含めて表記するのは実は当て字です。
他に、「胡麻化す」と書く場合があります。
どちらの場合にも、「化かす」という字が使われています。
「化かす」とは、「人の心を迷わせ、正常な判断をできなくさせる」という意味の言葉です。
「誤魔化す」とは、「本当のことを隠したいときに、取り繕って、事実から遠ざけようとする」ことです。
「誤魔化す」の使い方
本心や事実を知られたくないのに追及されてしまったとき、人は話題を変えたり、つい出まかせを言ってしまったりして、はぐらかしてしまうことがあります。
これが「ごまかす」です。
知られたくない事柄を、なんとか知られないようにするために取り繕うことを「ごまかす」と言います。
「誤魔化す」は「煙に巻く」(けむにまく)と同様の使い方ができる場合があります。
「煙に巻く」とは、「相手の知らないようなことを言い立てて、弁舌によって誤魔化す」という意味です。
「誤魔化す」を使った例文
・『彼のやり方に誤魔化されてはいけない』
・『おつりを誤魔化そうとするのは犯罪です』
・『君が誤魔化すような言い方をしたのはよくない』
・『片思いの相手から恋人の有無を聞かれたのに、緊張してしまって、つい誤魔化してしまいました』
・『あのとき先生は真実を知られないように、怒ったふりをして僕を誤魔化した』
・『誤魔化さないで、本当のことを話してください』
「誤魔化す」の類語
「誤魔化す」の類語として考えられるのは「はぐらかす」です。
「はぐらかす」とは、「相手の追及から逃れるために、話をずらして紛らわせる」ということです。
「誤魔化す」の対義語
「誤魔化す」は「本心や不正を正直に言わず、でまかせなどを言って取り繕う」という意味です。
対義語として考えられるのは、「白状する」(はくじょうする)です。
「白状」とは、「隠していた事実や罪を述べること」という意味です。
「騙す」の意味
「騙す」とは、「嘘を言って、事実でないことを事実だと思い込ませる」ということです。
前述した「誤魔化す」も、「騙す」の一種であると考えられるかもしれません。
「真実でないことを、さも真実であるかのように語り、人をあざむく」という行為のことを、「騙す」と言います。
「騙す」の使い方
「騙す」は、「嘘をついて、嘘を本当のことだと思い込ませること」です。
人に対しても使いますが、機械などに対しても用いられることがあります。
その場合、「騙す」を繰り返して「騙し騙し」(だましだまし)と使われます。
例を挙げると、「壊れかけのコピー機を、騙し騙し使った」などです。
この場合の「騙す」は、「加減をしながら様子を見て、なんとかして動かさせる」という意味です。
「機会に『壊れていない』と思い込ませて、どうにか動いてもらう」という気持ちが込められた言葉です。
「騙す」を使った例文
・『僕は彼女を騙して金品を奪い取りました』
・『彼はサイコパスの傾向があるので、人を騙すことを何とも思わない』
・『そもそも電話に出なければ、オレオレ詐欺に騙されることもありません』
・『騙されたことがわかって、A氏はとても憤りました』
・『『騙される方が悪いんだよ』と彼女は主張したが、僕はそうは思いません』
・『タクシーの運転手に騙されて、とても遠回りをされてしまった』
「騙す」の類語
「騙す」の類語は「騙る」(かたる)です。
もともとは「語る」(かたる)から来ている言葉で、「もっともらしく話しかけ、金品を騙し取る」という意味や、「名前や地位を偽る」という意味があります。
また、「誑かす」(たぶらかす)も「騙す」の類語です。
「誑かす」とは、「人をあざむき、惑わす」という意味です。
「騙す」の対義語
「騙す」の対義語は、きちんと定義付けられたものはないようです。
しかし、「嘘を言わずに真実を語る」という点で、「誠実」(せいじつ)や「率直」(そっちょく)などが対義語的な意味の言葉になると考えられます。
まとめ
「誤魔化す」と「騙す」の違いについてまとめました。
「誤魔化す」は、「事実を悟られないように取り繕う」という意味です。
「騙す」は、「嘘をつき、事実でないことを事実であると思い込ませる」ということです。