「機関」と「機構」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「機関」と「機構」の違い専門用語・業界用語

この記事では、「機関」「機構」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「機関」と「機構」の違い

「機関(きかん)」とは「ある目的を果たすために設置された組織・人の集まり」を意味していますが、「機構(きこう)」というのは「大勢の人・複数の国などが寄り集まって構成されたある仕事を担うための組織およびその組織の仕組み」を意味している違いがあります。

「機関」には「機構」にない「火力・水力・電力などのエネルギーを乗り物を動かすような力学的エネルギーに変換する装置・仕組み」といったエネルギー関連の意味合いがある違いも指摘できます。


「機関」と「機構」の使い方の違い

「機関」「政府機関・行政機関・執行機関・合議機関」のような使い方で、「特定の目的・役割を達成するために設置されたまとまりのある組織」「国家・法人・団体などが何らかの意思決定・仕事をするために設置した組織」といった意味で使います。

「機関」に対して「機構」のほうは「官僚機構・石油輸出国機構・経済協力開発機構」のように、「複数の国・団体・大勢の人々が集まってつくられた、ある仕事を遂行するための集合体的な組織やその仕組み(必ずしもまとまった一つの組織ではない)」の意味で使用される違いがあります。


「機関」と「機構」の英語表記の違い

「機関」を英語で表記すると以下のようになります。

“system”(特定の目的や仕事を実現するためのシステム・機関)

“organization”(特定の目的を達成するための組織・機関)

“institution”(公共的な施設・団体・機関)

“engine”(エンジン・エネルギーを動力に転換する内燃機関)

「機構」を英語で表記すると以下のようになります。

“organization”(複数の国・団体が寄り集まってつくられた組織、機構)

“structure”“machinery”(複数の部分が集まっているメカニカルな構造を持った組織や団体、機構)

「機関」の意味

「機関(きかん)」とは、「ある目的・役割を果たすために設置された公共的・社会的な組織」を意味しています。

「機関」というのは、「国家・法人・団体などが意思決定・任務の実行などをするために設置した一定の公共性を持っているまとまった組織」のことなのです。

「機関」という言葉の元々の意味は、「火力・水力・電力などのエネルギーを、車・モノを動かすような力学的・機械的エネルギーに変換させる装置・機械やその仕組み」になります。

「機関」の使い方

「機関」の使い方は「安定した雇用に期待できる行政機関に就職しました」のように、「特定の目的・任務を果たすために設置されたまとまりのある組織」「国・法人・団体などが意思決定および任務遂行を行うために設けた組織」を意味して使うという使い方になります。

また「機関」「内燃機関・動力機関・エネルギー機関」のように、「エネルギーを力学的エネルギーに転換させる装置や仕組み」の意味で使います。

「機関」「国家機関・行政機関・執行機関・金融機関・貿易機関」などの用法に見られるように、「特定の目的とある程度の公共性・社会的役割などを持っているまとまりのある組織」を意味して使う使い方になります。

「機関」を使った例文

・『その組織は国家安全保障を間接的に担っている国家機関の一つでした』
・『諜報機関に勤めていることは、誰にも知られてはならないのです』
・『執行機関の役員には、その分野において十分な見識と経験を持っている人材を選ぶべきです』
・『私の夫の勤務先は、メガバンクに分類されている規模の大きな金融機関です』
・『内燃機関の発明によって、ガソリンで馬力のある車を走らせることができるようになったのです』

「機関」の類語

「機関」の類語には、以下のような言葉があります。

「メカニズム」……相互作用する複数の部分・部品を組み合わせて、ある機能・成果を発揮できるようにしたもの。

「システム」……ある目的を遂行するために、複数の要素が機能的に組み合わされたもの。

「役所・組織」……公共的な役割を持つ組織体である役所・行政機関。

「機関」の大まかな分類・種類

「機関」の種類は、その形態・特徴・性格によって以下のように分類することができます。

国家機関と私人機関……国家が設置する公共的な性格が強い機関と民間の企業・個人が設置する営利目的も含めた機関

合議機関と単独機関……目的達成のために複数のメンバーで議論・判断を行う機関と独立した組織としての意思決定ができる機関

意思決定機関と執行機関……議論・採決・専門家の見識などで意思決定を行うための機関と決定事項に従って実際に仕事を行う機関

「機構」の意味

「機構(きこう)」とは、「複数の国・団体・人々が寄り集まって構成された、ある仕事や役割を担うための組織とその仕組み」を意味している言葉です。

「機構」の表現には、「行政機関のように単一のまとまりのある組織ではない・ある目的を果たすために複数の国や団体が寄せ集められたもの」といったニュアンスがあります。

「機構」の使い方

「機構」は、「特定の任務・役割を果たすために、複数の国・団体・大勢の人(同じ職務を持つ人)が寄せ集められてつくられた集合体的な組織」を意味して使うという使い方になります。

「機構」の具体的な使い方として、「官僚機構・政治機構・貿易機構・条約機構・石油輸出国機構・世界医療機構」などの用法があります。

また「部品が相互作用して機能している機械の内部構造・メカニズム」の意味合いでも、「機構」は使えます。

「機構」を使った例文

・『近代国家は官僚機構によって運営されていますがその弊害もあります』
・『自由貿易を促進する国際的な機構に参加するかどうかの判断が求められています』
・『新型コロナのような感染症に迅速に対応するための新たな専門家機構が立ち上げられる予定です』
・『エアコンを当たり前のように使っていますが、どうして温度調整しているのかの機構は知りません』
・『この条約機構は、自由主義圏の軍事同盟や集団的自衛権とも関連する性格を持っています』

「機構」の類語

「機構」の類語には、以下のような言葉があります。

「仕組み」……ある目的・機能を果たすための働きをするように組み立てられた構造・からくり。

「メカニズム」……相互作用する部分で組み立てられた機械的な装置やその仕組み。

「集合体・組織」……特定の目的・任務を達成するために、複数の国・組織・団体・人々が集められてつくられたもの。

「機構」の具体例

「機構」が実際に使われる時の具体例には、以下のような機構名・言葉があります。

「官僚機構」……政府機関・公共機関の運営をトップダウンで担っている官僚が集まってつくられている組織やその運営の仕組み。

「医療機構」……医療の安定した提供・充実・発展・調査などを目的として病院・医療人を集めてつくられた組織。

「経済機構・貿易機構」……経済や貿易活動を活性化するために、複数の国・地域などが集まってつくった組織。

「雇用支援機構」……求職者の雇用を支援するためにつくられた公共的な組織・役所。

「条約機構」……複数の国々が、集団防衛・軍事同盟などの目的を達成するための条約を結ぶことでつくった仕組み。

まとめ

「機関」「機構」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか?

「機関」「機構」の意味・使い方・英語の違いや類語・種類・具体例を詳しく調べたい時は、この記事をチェックしてみてください。