「起業家」と「経営者」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「起業家」と「経営者」の違いビジネス・就職・転職

この記事では、「起業家」「経営者」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「起業家」と「経営者」の違い

初めに二つの言葉の意味を確認します。

「起業家(きぎょうか)」とは、新しく事業を計画して、会社を設立させることを仕事として活動している人という意味と、新しく事業を計画して、会社を設立し、自ら経営に取り組むものという意味があります。

昔は、前者の意味が強かったようですが、現代では、後者の意味として受け取られるのが一般的です。

個人事業主には使われません。

「経営者(けいえいしゃ)」とは、企業を経営する人のことで、経営方針や計画を立てて、意志決定する組織の経営に関して責任を持つ人のことです。

広義には、経営を管理する人のことをさし、取締役の人たちにあたります。

「企業家」は、新しく事業を計画して、会社を設立し、自ら運営する人のことをさすのに対し、「経営者」は、会社を経営している人という違いがあります。


「起業家」と「経営者」の使い方の違い

「起業家」の使われ方は、同音異語の「企業家」の意味合いと近いニュアンスを持っており、「企業家」とは、本来、企業を設立し、企業の経営に取り組むものという意味があります。

背景には、アメリカの経済学者ヨーゼフ・シュンペーター氏が、起業家ないし企業家とは、企業の展開を見定めて、アクティブな経営を進めることで革新的なことを成し遂げる人のことをさし、単に起業した人を企業家といわないといった意味合いのことを提唱したため、それが世間一般に広まったことがあげられます。

このような背景から、「起業家」「企業家」に現代で後付けされたイメージは、本来同じものなので、ここでは同じ意味合いのものとして扱います。

現代の「起業家」のイメージは、新製品や新サービス、新しい技術などのイノベーションを伴って企業を経営していく人という意味合いがあり、全員出資者で経営に携わっているものが同時に複数いる場合には、全員が「起業家」ということになります。

本来の意味から考えると、起業した人は「起業家」と呼べるはずなので、起業して革新的なことを成し遂げた人以外に使ったとしても間違いではないことに注意する必要があります。

「経営者」の使われ方は、一般的に社長と同じ意味ととられがちですが、経営に携わるものというのが正しく、個人の場合には個人事業主で、会社の場合には、取締役となります。

経営に携わるものというのは、経営方針や計画を立案し、決定する権限を持つもののことです。

社長とは、企業内などでの役職名に過ぎないため、経営に携わっていない社長も存在することに注意する必要があります。

経営者は代表取締役だという見方もありますが、厳密にいえば、最終的に決裁する権限を持つ人全員といえることになり、取締役全員は、企業の経営に関して責任を持つことになります。

代表取締役は、一人しか置けないと思われがちですが、複数名置くことも可能ですし、会社の代表印も複数登録することが可能ですので、代表取締役という同じ権限を持った「経営者」が複数いる会社もあることに注意する必要があります。

「起業家」は、単に起業した人や、起業して革新的なことを成し遂げた人をさして使われるのに対し、「経営者」は、経営に携わるものをさして使われるという違いがあります。


「起業家」と「経営者」の英語表記の違い

「起業家」の英語表記は、“ promoter”“entrepreneur”があります。

“promoter”には、起業家、増進者、助長者、奨励者、後援者、創立者などの意味があり、起業した人という意味合いになります。

“entrepreneur”には、起業家、企業家、事業家、仲介者などの意味があり、ヨーゼフ・シュンペーター氏の提唱した起業家としての意味合いが強くなります。

「経営者」の英語表記は、“business owner”“manager”“business manager”、proprietor“、”executive”があります。

“business owner”は、職業、稼業、業務、仕事、事業などの意味がある“business”と、持ち主、所有者などの意味がある“owner”を合わせて、事業の所有者という意味合いになるので、個人事業主の経営者の場合にも使えます。

“manager”は、支配人、経営者、管理者、部長、局長、幹事、主事などの意味があり、文脈次第で経営者という意味合いになります。

“business manager”は、“business”“manager”を合わせて、事業の管理者という意味合いになり、“manager”よりも経営者に限定されます。

“proprietor”は、(建物や土地などの)持ち主、所有者、経営者、事業主などの意味があります。

“executive”は、役員、幹部、重役、行政上の、行政的な、執行する、執行部などの意味があり、経営者という意味合いになります。

「起業家」と「経営者」を使った例文

・『私はイノベーションがある起業家になりたい』
・『ベンチャー企業は革新的な起業家が多い傾向にある』
・『私は経営者としての覚悟が足りなかった』
・『経営者には会社に対して責任がある』
・『ベンチャー企業から起業家が去って、経営者だけになった』

「起業家」の類語

「起業家」の類語は、「企業家」、事業者、実業家があります。

「企業家」は企業を設立し、企業の経営に取り組む人という意味があります。

事業者は、営利目的で事業を営む人です。

実業家は、商業・工業・金融業などの経済的な事業を営む人です。

「経営者」の類語

「経営者」の類語は、所有者、持ち主があります。

所有者は、所有権を持つ人のことです。

持ち主は、所有する人や、所有者のことです。

「経営者」の対義語

「経営者」の対義語は労働者があります。

労働者は、自己の労働力を対価として賃金や給料を得る人です。

まとめ

「起業家」「経営者」の違いについて説明しました。

「企業家」は、新しく事業を計画して、会社を設立し、自ら運営する人のことをさすのに対し、「経営者」は、会社を経営している人という違いがあります。

「起業家」は、単に起業した人や、起業して革新的なことを成し遂げた人をさして使われるのに対し、「経営者」は、経営に携わるものをさして使われるという違いがあります。