「碩学」「博学」「顕学」はいずれも学問に関する言葉として使われます。
この記事では、「碩学」と「博学」と「顕学」の違いを分かりやすく説明していきます。
「碩学」とは?
「碩学」(せきがく)とは身につけた学問が広く深いこと、または学問を広く深く身につけた人を指す言葉です。
「碩学」の碩は大きい、立派である、優れているとの意味があります。
「碩」を使った熟語に「碩士」「碩人」「碩師」などがあり、いずれも優れた人、立派な人という意味で「碩学」と同じ表現です。
つまり「碩学」とは通常よりも広く深い学問、そのような学問を身につけた人、という意味に使われます。
「碩学」は功績を上げた研究者やベテランの教授を褒め称えるときに使われます。
以下に例文を挙げます。
・『あの人は正に「碩学」の徒と言える人だ。』
・『今回の受賞に際し、人々は彼を「碩学」と呼ぶであろう。』
・『「碩学」のあなたに教えを乞うため、私はこの大学に入学したのです。』
「博学」とは?
「博学」(はくがく)とは広く多くの学問に通じていることを意味します。
「博学」の「博」には広く通じている、との意味があり、同時に多い、大きいという意味合いも含んでいます。
多くの物を知っていることを「博物」といい、「博学」よりも広い意味で使われます。
「博学」の例文
「博学」は広範囲な知識として使われます。
以下に「博学」の例文を挙げます。
・『彼の「博学」は我が校始まって以来と言って良いだろう』
・『あの人の「博学」多才にはほとんどの人が舌を巻く』
「顕学」とは
「顕学」(けんがく)とは世間で名高い学問や学派を表す言葉です。
個人を指す場合もあり、世に著名な影響力のある学者を意味します。
「顕学」の「顕」にはあきらかにする、はっきりするとの意味があり、公になるとの意味合いも含んでいます。
従って「顕学」とは世にはっきりと知れ渡った有名な学問や学派または学者、という意味です。
「顕学」の例文
「顕学」は使用頻度の低い言葉で、辞書に記載されていないこともあります。
以下に例文を挙げます。
・『「顕学」と呼ばれる分野で活躍し、私の社会的地位は向上しました。』
・『この大学の「顕学」はまさしくA教授に違いない。』
・『「顕学」で名を上げるよりも、自分にとって興味深い研究を続けたいのです。』
「碩学」と「博学」と「顕学」の違い
「碩学」は身につけた学問が広く深いことを意味し、「博学」は知識が広いことを意味します。
「顕学」は有名な学問という意味で、「碩学」とはニュアンスの違った言葉です。
「碩学」「顕学」は人、学者の意味も含んでいるので、「博学者」のように者を付けると二重表現となり正しくありません。
者をつけて人を表すのは「博学」のみです。
まとめ
「碩学」「博学」「顕学」は高い学識を称賛する言葉として使われます。
広く深く学問を究めた人には「碩学」、広範囲な学問に対しては「博学」、有名な学門や学者に対して「顕学」を使います。
一つの分野にのみ秀でた人に「博学ですね」と言葉をかけるのは不適切なので、注意が必要です。