この記事では、「目一杯」と「精一杯」と「手一杯」の違いを分かりやすく説明します。
「目一杯」とは?
この場合の「目」は、人体についている目そのものではありません。
最高限度を表す「はかりの目盛一杯まで」のことです。
そこから転じて、計測可能な物の量だけでなく、行動に対して「可能な限り」や「精一杯努力する」意も表します。
「精一杯」とは?
根限り、力の限りを尽くす様子のことです。
主に精神力や体力、努力など、目に見えないものに対して使います。
また、可能な限り、ギリギリのところを示す場合もあります。
言外に「これ以上は無理」の意を含みます。
前者の例は「精一杯働く」、後者の例は「精一杯の値下げ」などになります。
「手一杯」とは?
「力の及ぶ限り」「為し得る限り」の意です。
この場合の「手」は、人体の一部を直接示すものではなく、腕前、技量、手立て、手段、方法など「手を働かせてすること」を指します。
そこから転じて、「そのことをするのがやっとで、他には力が及ばないこと」や「それ以上のことをする余裕がない状態」も示します。
「目一杯」と「精一杯」と「手一杯」の違い
目一杯は、はかりの目盛一杯までの物量の最高限度から転じて、何かをする場合の「可能な限り」の意を表すようになりました。
精一杯は、言外に「これ以上は無理」の意を含み、値引きなどを断るニュアンスがあります。
手一杯は、持っている力や手段などをすべて使って取り組む意で、こちらも、場合によっては、「他のことをする余裕がない」の意を含み、追加の仕事などを断るニュアンスを持ちます。
まとめ
いずれも、限界まで何かをすることを表し、単語そのものの意味は、かなり似た言葉ですが、それぞれが言外に含むニュアンスは異なります。
使い分けや、相手に使われた場合の真意を斟酌するべき言葉です。
目一杯は中立で、比較的ポジティブな場面で使われることが多い表現です。
精一杯は何かを始める際には「これから精一杯頑張ります」などのようにポジティブな意味で使われる場合があります。
しかし、作業中や終了後の「これまで精一杯頑張りました」には、「これ以上は頑張れません。もう限界です。無理です」の意味が含まれます。
取引先などから「これが精一杯です」などと言われた場合は、言外の意を酌んで、値引きや納期の短縮などを無理強いしない方が無難です。
下請業者など立場が弱い取引先は、親事業者に対してあまり強い言葉は使えませんが、優越的地位の濫用や下請法違反を指摘されている場合があります。
また、部下や同僚などから「今はこれで手一杯です」と言われたら、追加の作業を課さず、逆に手を貸すなどして、負担の軽減に努めなければ、過労による心身の不調などを引き起こし、離職につながりかねません。
立場が弱く、発言権が少ない人たちが発する精一杯のSOSを見逃さないように気を付けてください。