とれた量を表す言葉に「漁獲量」と「水揚げ量」と「収穫量」があります。
これらの言葉はどのような基準で使い分けられているのでしょうか。
今回は、「漁獲量」と「水揚げ量」と「収穫量」の違いについて解説します。
「漁獲量」とは?
「漁獲量」とは、「漁業によって得られた水産物の量」を意味する言葉です。
「漁獲量」が意味するのは「漁師が直接獲得した水産物の総合計」です。
船で沖に出たり素潜りで獲ったりなど漁の方法はさまざまですが「漁師が海から直接入手した水産物の量」が漁獲量であり直接手にした水産物すべての量を合計した数字を意味します。
実際の漁業では獲ったものの出荷に適さず自家消費に回したり傷物で廃棄されたりするものも存在しますが漁獲量は獲った水産物の合計なのでそのような活用されなかった水産物の量も含みます。
「海に生きる魚を竿や網などを使って捕獲した量」が「漁獲量」なので養殖で育てられた魚に対しては使われません。
「漁獲量」の例文
・『漁獲量が年々減少している』
・『冬場の漁獲量について調査報告書を作成する』
「水揚げ量」とは?
「水揚げ量」とは、「港に水揚げされた水産物の量」を意味する言葉です。
船でとれた水産物を港に下ろすことを「水揚げ」といいます。
「水揚げ量」とは「船から港に降ろされた水産物の総合計」を意味する言葉であり漁港に持ち帰られた水産物すべての量を表します。
実際に港に降ろされた水産物の量を指すので船の上で食べられたり途中で廃棄されたりした水産物は含みません。
一般的には魚種や港単位での数量や取り扱い数量を見る際に用いられる数字です。
「水揚げ量」の例文
・『さんまの水揚げ量が過去最高を記録した』
・『所属漁船が増えたので港の水揚げ量も増加している』
「収穫量」とは
「収穫量」とは、「育てて収穫した量」を意味する言葉です。
「収穫量」という表現を用いるのは「育てて出荷するもの」です。
一般的には農産物に使われる表現ですが養殖で育てられ出荷される水産物に対しても用いられます。
ワカメやノリなど養殖で生産される海藻類やブリやハマチなど人の手で大きくなるまで育てられ出荷される魚などの量を表すときには「収穫量」という表現を使います。
同じ魚でも養殖ではなく海に出て漁を行い獲れた魚については「収穫量」という言葉は使われません。
「収穫量」の例文
・『養殖ブリの収穫量が増加している』
・『収穫量を増やすために設備投資を行った』
「漁獲量」と「水揚げ量」と「収穫量」の違い
「漁獲量」が表すのは漁師が直接海や川から獲った量です。
網や竿などを使い海から直接獲得した水産物の総合計を表す言葉なので頭やはらわたなどを取り除いてから港に下ろす場合でも獲れた直後の完全な状態の重量で計算します。
「水揚げ量」は港に実際に水揚げされる量を表します。
船内で頭やはらわたなどが取り除かれる加工がなされている場合は取り除かれた後の重量で計算します。
「収穫量」は育てて得た作物や水産物に対して使われる言葉です。
同じ魚種でも養殖のみに対して使われる表現であり漁で得た天然物は対象外です。
まとめ
漁業関連のニュースで頻繁に耳にする「漁獲量」と「水揚げ量」と「収穫量」ですがそれぞれ表しているデータが異なります。
何を表す数字なのか間違えないよう言葉の意味を正確に理解しておきましょう。