この記事では、「逝去」と「死去」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「逝去」と「死去」の違い
人が亡くなた際に使用される言葉である、「逝去」と「死去」ですが、その違いは亡くなった方が身内かどうかという点にあります。
「逝去」は身内以外の方が亡くなった時に使用する言葉であり、「死去」は身内が亡くなった時に使用される言葉になっています。
「逝去」と「死去」の使い方の違い
「逝去」は身内以外の方が亡くなった時に、訃報を伝える際に使用される言葉になっています。
対して「死去」は身内の方が亡くなった時に、訃報を伝える際に使用される言葉となっています。
「逝去」と「死去」の英語表記の違い
英語で死を表す表現方法はとても多いですが、日本語の「逝去」や「死去」と全く同じ意味の英単語はなかなかありません。
一番多用されるのは「死ぬ」や「亡くなる」という意味である“die”や“death”が挙げられるでしょう。
婉曲的に死を表現する言い方として“pass away”や“be gone”で、意味は「過ぎ去る」「消え去る」、「痛みが消え去る」のような意味になりますが、必ずしも死を意味する言葉ではありません。
急死、急逝を表す表現として“pop off”や“drop dead”などがあり、「急にいなくなる」などの意味があります。
このように英語表現であっても、日本語同様に様々な表現方法で死が表されます。
「逝去」の意味
「逝去」とは、「せいきょ」と読み、身内の方以外が亡くなった際にその訃報を伝える際の言葉になります。
「逝去」は「死ぬ」の尊敬語となっているため、身内に対しては尊敬語が使いません。
そのため「逝去」は身内以外が亡くなった時に誠意を込めて「逝去」という言葉を使うのです。
「逝去」という言葉は、尊敬語だという事を前述しましたが、ここで問題になってくるのが「ご逝去」という言葉です。
「逝去」自体が尊敬語のため、「ご」を前に付ける事は、文法上の間違いである二重敬語となってしまいます。
本来であれば「逝去した」が正しい文法となりますが、人が亡くなったという極めて厳粛な場面において、より亡くなった方への敬意を表するため「ご逝去」という表現はふさわしい表現とも言えるでしょう。
「逝去」の使い方
「逝去」を使用する場面は、身内以外の方が亡くなった際に使われる言葉です。
ですので、身内以外の方の死に対して弔意を表す時に使用される場合が多くなっています。
例えば、「〇〇様のご逝去を謹んでお悔やみ申し上げます」など、手紙やメールなどで伝える際に使用します。
「逝去」を使った例文
・『友人のお父様がご逝去した』
・『突然のご逝去に謹んでお悔やみ申し上げるとともに、心からご冥福をお祈りいたします』
・『貴社〇〇様のご逝去の報に接し、社員一同、心よりお悔やみ申し上げます』
・『会長のご逝去を悼み、安らかにお眠りになられることをお祈りいたします。』
・『先日ご逝去した高校時代の先生は、私人生を変えた恩人だ』
「逝去」の類語
「逝去」は死を意味する言葉ですので、その類語は様々です。
ほとんどは直接死を意味する言葉ですが、中には婉曲的にその死が伝えられる表現方法もあります。
その一例として、後述する「死去」や「永眠」、「死没」「永眠」など様々な表し方があり、「土に還る」などは婉曲的と言えるでしょう。
「逝去」の対義語
「逝去」という意味での言葉での対義語は存在しませんが、「死」という意味の対義語であれば「誕生」が挙げられます。
「死去」の意味
「死去」とは、「しきょ」と読み、親や兄弟などの身内の訃報を伝える際に使用される言葉です。
「死去」という表現は尊敬語ではありませんので、身内の訃報に使うという事になります。
同じ会社の同僚や上司、部下などが亡くなった際に他社に説明するときも、この「死去」が用いられます。
なぜなら、同じ会社の同僚や上司、部下などは身内にあたると考えられるためです。
「死去」の使い方
「死去」という言葉が使用される例は、身内や同じ会社の人が亡くなった際に使用される言葉です。
例えば、「先日母親が死去しました」など家族の訃報を他者に伝える際や、「本日、弊社社長が死去いたしました」など、自分の会社の人間が亡くなったことを他社に伝える際に使用されます。
他にも身内が亡くなった際に使用される言葉としては、「永眠した」や「亡くなった」、「他界した」なども使用する事ができます。
急に亡くなった場合には「急逝」という言葉が用いられます。
「死去」を使った例文
・『昨日の夜、長い間闘病生活を送っていた父が死去した』
・『今日の早朝、102歳で母が死去した』
・『本日、弊社会長が死去した事をお伝えします』
・『ガンを患っていた妹が、残念ながら死去した』
・『先日死去した祖父が、生前大変お世話になりました』
「死去」の類語
「死去」の類語として、上述した「逝去」同様、「死」を意味する類語が多数あります。
ほとんどは「逝去」の類語と同じとなっています。
「死去」の対義語
「死去」の対義語も「逝去」と同様に、「死」の対義語である「誕生」と言えるでしょう。
まとめ
「逝去」と「死去」は、亡くなった方が身内であるかそうでないかで使用される言葉が変わってきます。
「逝去」は身内以外の方が亡くなった際に使用される尊敬語で、「死去」は身内が亡くなった際に使用される言葉になっています。
人が亡くなった事を表現する言葉は、様々なものがあります。
それぞれ、使い方や使用する相手などが違う場合があります。
その使い方を間違えると失礼に当たる事もありますので、慎重に言葉を選ぶ必要があります。