文学や映画、漫画やアニメなどでは様々な表現方法がありますが、最近『メタ発言』という言葉をメディアでチラホラ耳にした事はありませんでしょうか? 『メタ』という部分がとても分かりにくく、やり過ごしてしまいがちな言葉ですが、実は我々が良く聞いたり見たりする内容なので、英語での表現も含めて分かりやすくご紹介したいと思います。
「メタ発言」の日本語での解釈
まず『メタ』の意味ですが、これはギリシア語の接頭辞で『別次元の』という意味を持ちます。
そのまま直訳すると『別次元からの発言』という意味になります。
これはどう意味でしょうか。
基本的に文学や漫画、映像作品は『フィクション』がベースです。
しかし、その中に急に登場人物がナレーションを入る様な場合を良く見かけませんでしょうか。
例えば『これはまだほんの序章に過ぎなかったのだ。』の様な登場人物とは少し別の次元から物事を説明する様な表現です。
これが『メタ発言』と言われるものです。
文学作品でもよく使われており、歴史小説で有名な司馬遼太郎も『余談ではあるが~』の様に急に物語の流れから脱線して作者目線で説明が入ることがあります。
また、漫画、特にギャグ漫画では多く使われる表現で、ツッコミとして『そんなこと言われても読者は理解できないぞ。』の様な急に登場人物が現実目線でコメントするのを『メタ発言』と言います。
「メタ発言」の英語とは
ギリシア語が由来になっているだけあり、『メタ発言』の英語は当然存在しています。
比較的様々な表現が出来ますが、ここでは2つご紹介したいと思います。
Metafictional
一番妥当な直訳は『Metafictional』と『Expression』や『Remark』を付ける場合です。
『Fictional』という形容詞の言葉が付いている通り、作者が物語中で読者に対して少し俯瞰した立場から状況や場面、登場人物の描写を補足するときに使われる表現方法です。
英語でも古くから使われている表現方法であり、登場人物そのものが自身を架空の存在であると自覚している風な物語のナレーターに近い役割を持つとてもよく使われる表現テクニックとして広く知られています。
Self-conscious narrative
もう一つの表現は『Self-conscious narrative』です。
直訳すると『自覚している物語』という意味です。
このままでは『メタ発言』という意味そのものにはなりませんのでイデオムの前に『As』や『Like』などを付けて補足することで『メタ発言』に近い表現になります。
これは前項でも挙げた、登場人物自身が、フィクションであることを物語中で自覚しているという意味そのままの表現を英語で分かりやすくイデオムにしているものです。
『メタ発言』を使った英語の例文(使用例)
・『There are many metafictional expressions in this novel. 』(この小説ではメタ発言がとても多い。一般的な『メタ発言』という表現を使った例文です。)
・『Suddenly the character in this film started speaking like self-conscious narrative. 』 (急に映画の登場人物がメタ発言的な語りを初めた。『Like』以降を補語的な役割を持たせることで、文を修飾して『メタ発言』をしているという表現になっています。)
・『Why do you explain this topic form bird’s-eye view? It is your issue. 』(なんでこの点についてメタ発言してるんだよ?君の問題だろう?『Bird’s-eye view』も別の表現方法です。ここでは自身の問題に対して他人事の様に評論家発言している人間を戒めるかの様に注意をしていることが分かります。)
まとめ
如何でしたでしょうか。
日本語でもなかなか分かりにくい『メタ発言』の意味も踏まえてご紹介しました。
日常会話における日本語としての一般的な使われ方は何かの事柄を他人事の様に発言するのを『メタ発言』と理解しても問題ありません。
英語では『Metafictional』という形容詞はあまりツッコミを入れるという意味では使わず、文学作品のテクニックを表現するという場合に使われることが多いことも気を付けたいポイントです。
是非、気を付けてみて下さい。