この記事では、「王道」と「定番」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「王道」と「定番」の違い
「王道」と「定番」はどちらも似た場面で使われている印象があります。
しかし、言葉の持つ意味はそれぞれ少しずつ異なります。
「王道」と「定番」が近い意味で使われるとき、「王道」は「代表的なもの」という意味となります。
これに対し「定番」は「よく見るもの」「一定の需要があるもの」という意味でよく使われています。
「王道」と「定番」の使い方の違い
「王道」も「定番」も、「人気のあるもの」を紹介するときにしばしば使われている言葉です。
「王道」は「よく選ばれるもの」「人気の理由に正当性があると考えられるもの」に対して用いられます。
「定番」も「よく選ばれるもの」に対して使われる言葉ですが、「流行に左右されないもの」という意味合いを強く含みます。
スタンダードでありふれているがゆえに、「よく選ばれる」ということです。
「王道」と「定番」の英語表記の違い
「王道」と「定番」の英語表記は異なります。
「王道」は英語で“royal road”(ロイヤルロード)です。
「学問に王道はない」というときの「王道」がこれに当たります。
一方、「定番」の英語表記は“classic”(クラシック)や“staple”(ステープル)です。
“classic”は、「従来の」という意味で、“staple”は「なくてはならないもの」という意味です。
「王道」の意味
「王道」はもともと「安易な方法」という意味でした。
前述した通り、王道は英語で“royal road”です。
「王様が通るような整備された近道」のことを「王道」と呼び、「安易な方法」「すぐに通れる近道」という意味で使われてきました。
しかし昨今では、「王道」を「よく取られる手法」や「代表的なもの」という意味で使うことも増えてきました。
「王様の道」を、「正当性のある道」という意味で受け取ったための誤用と考えられますが、広く世間に広まり、一般化していきました。
「王道」の使い方
「王道」には現在、二つの使い方があります。
「安易な方法」という意味で使われているのか、「代表的なもの」という意味で使われているのか、文脈によって判断しなければなりません。
「安易な方法」に近い意味の「近道」や、「代表的なもの」という意味で「正当性が感じられるもの」に置き換えて判断していくと、わかりやすいかもしれません。
ちないに、「王道」は「おうどう」と読みます。
「おおどう」は誤表記です。
「王道」を使った例文
・『お金はかかるが、引っ越しは業者に頼むのが王道だ』
・『あえて王道を避け、新しい方法に挑戦することも時には大切です』
・『かつて大ヒットしたこの単行本は、今もなお恋愛小説の王道として読み継がれている』
・『映画鑑賞に目覚めたので、王道だと言われるものを片っ端からチェックしています』
・『ラーメンは醤油味が王道だと僕は思うのに、彼女はとんこつだと言って聞かない』
「王道」の類語
「王道」の類語ですが、「安易な方法」という意味の類語であれば、「近道」(ちかみち)や「早道」(はやみち)がよいでしょう。
「代表的なもの」という意味であれば、「定石」(じょうせき)が挙げられます。
「王道」の対義語
「王道」の対義語は、「邪道」(じゃどう)です。
これは、「正当性の感じられない方法」という意味です。
「王道」の本来の意味である「近道」の意味の対義語は、「回り道」(まわりみち)などが考えられます。
定番の意味
「定番」は「誰もに選ばれるようなもの」のことです。
「常に番がされている状態」であることから、「常にあるもの」「必要なもの」を「定番」と呼ぶようになったと考えられます。
また、「流行りに左右されず、常に選ばれるもの」という意味もあります。
「常に一定の需要がある」ということです。
定番の使い方
「定番」は、「よく見るもの」「ありふれているもの」という意味でも使われますが、「人気のあるもの」という使われ方もします。
「よく選ばれている」ことを、「人気がある」と捉えた使い方です。
定番を使った例文
・『この食堂のチキン南蛮定食は定番だ』
・『その形のジーンズは定番なので一着持っておくとよい』
・『ドーナツは抹茶やチョコレート味よりも、何も入っていない定番の味が好きです』
・『履いていて楽なので、ガウチョパンツの流行が定番になればいいのに、と思います』
・『佐藤先生と鈴木先生の掛け合いのような喧嘩はもはや定番である』
定番の類語
「定番」の類語は、「日常茶飯事」(にちじょうさはんじ)や「基本」(きほん)です。
「定番の商品」と使う場合は、「売れ筋」(うれすじ)という意味も類語となるでしょう。
定番の対義語
「定番」の対義語は「変則」(へんそく)や「革新」(かくしん)などが考えられます。
「変則」は「普通から外れている」という意味です。
「革新」は「もともとあったものを改めて新しくする」ことです。
まとめ
「王道」と「定番」の違いについてまとめました。
どちらも「代表的なもの」「人気があるもの」として使われる場合がありますが、それぞれ異なる意味を持っています。
このふたつの言葉が似たような文脈で使われる場合、「王道」は「正当性が感じられるほど、代表的なもの」という意味です。
一方、「定番」は「流行に左右されずに手に取られるもの」という意味になるでしょう。