この記事では、「行政」と「政治」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「行政」と「政治」の違い
「行政(ぎょうせい)」とは、国家の統治作用の一つで、立法と司法以外の作用です。
日本国においては、内閣や国の機関、公共団体が法律や政令その他の法規に従って行う政務全般をさします。
日本の行政機関は、国家行政組織法にて定められており、省と外局(庁と行政委員会)および、内閣府設置法に定める内閣府と外局(庁と行政委員会)があります。
「政治(せいじ)」とは、ある社会集団(国家、都道府県、区市町村、組合、会社など)において、その社会集団を運営する上で対立や利害を調整するとともに意思決定してこれを実現するものです。
日本国においては、選挙によって国民に選出された議員がこれにあたり、法律や予算などを議論して国の方針を決定することです。
「行政」は、内閣や国の機関、公共団体が法律や政令その他の法規に従って行う政務全般をさすのに対し、「政治」とは、社会集団を運営する上で対立や利害を調整するとともに意思決定してこれを実現するものという違いがあります。
「行政」と「政治」の使い方の違い
「行政」と「政治」で曖昧に成りがちな部分は内閣なので解説します。
内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決により指名され、天皇によって任命されるため、「行政」と「政治」を同時に行う者になります。
内閣総理大臣は、自衛隊の最高指揮監督権を有しており、内閣府や行政組織の長ないし主任の大臣を直接所轄します。
このようなことから、内閣以外の行政機関は「政治」と区別されて「行政」となりますが、内閣の中の国会議員に関しては、同時に「政治」も行っていることになります。
「行政」は、法律や条例などによって決定された内容を執行したり、国家単位で諸外国との条約や協定を締結したりするもので、行政法学上で軍事作用は含まないと定義されています。
報道などでは、主に内閣以外の行政機関に対して使われており、各省庁の行政、地方自治体の行政といったものがあります。
内閣は行政権のトップですが、「行政」というよりも内閣として区別して使われています。
「政治」は、社会集団を運営する上で対立や利害を調整するとともに意思決定してこれを実現するものですが、褒めるというよりも批判する目的で使われる傾向にあります。
これは、同意するものがあえて同意していることを強く主張することは無く、政治に同意していないものが批判を強く主張する傾向にあるためです。
そのため問題提起を目的として政治批判として使われることがおおくなります。
個々の人間レベルで見た場合には、その影響力が異なるため、意志決定する際に影響力が強い人を指して政治力があるといった使われ方がされます。
政治力には、議決権を有するような立場にあるものが意思決定をまとめていく力量があることを指す場合と、その立場にあるか無いかに関わらず、自分や相手の立場を勘案して自分のやりたい方向性にものごとを進めていく力のことを指す場合があります。
この二つは相互に絡み合っているもので、時と場合によって意思決定に与える影響が異なります。
会社や組織においては、年長者の鶴の一声といったようなものが影響することも多く、時に最善出ないこともありますが、その決定には従わなければならないものとなります。
個人レベルで政治力があると言われた場合には、褒められているというよりも、ある種ひがみや妬みなどがあるかもしれないため注意が必要です。
「行政」は、報道などで主に内閣以外の行政機関に対して使われているのに対し、「政治」は、批判する目的で使われるという違いがあります。
政治力は意志決定する際に影響力が強い人を指して使われます。
内閣以外の行政機関は「政治」と区別されて「行政」となりますが、内閣の中の国会議員に関しては、同時に「政治」も行っています。
「行政」と「政治」の英語表記の違い
「行政」の英語表記には、“government”、“executive”、“administration”などが考えられます。
“government”は、政治、統治、行政、政権、組織などの運営といった意味があります。
“executive”は、実行力のある、行政上の、行政的な、執行する、執行部のといった意味があります。
“administration”は、管理、運営、経営、統治、行政、経営陣、本部といった意味があります。
「政治」の英語表記には、“politics”、“governance”、“government”が考えられます。
“politics”は、政治学、政治活動、政治問題、政治的手段、駆け引きといった意味があります。
“governance”は、支配、学校や企業などの運営、義務などの規定、法令などの適用といった意味があります。
「行政」と「政治」を使った例文
・『私は行政から委託された仕事をしています』
・『日本国憲法第65条で国の行政権は、内閣に帰属すると定められています』
・『災害時には、行政から避難指示が出ます』
・『行政サービスのオンライン化が推進されています』
・『政治にはお金の問題がつきものです』
・『社内政治にはうんざりしています』
・『日本は複数の政党からなる政党政治です』
・『コロナ過の政治的な判断は社会に大きな影響を与えます』
「行政」の対義語
対義語には、司法、立法があります。
司法とは、法に基づいて民事および刑事の裁判に関して行う作用のことです。
立法とは、法律を制定することで、国会における法律の制定作用のことです。
行政、司法、立法は、それぞれ対義語となり、国の統治権の三種別を指し、三権と呼ばれます。
「政治」の対義語
対義語には、経済、軍事があります。
経済とは、人間の生活に必要な衣食住などに関連する財貨やサービスを生産、分配、消費する活動のことで、人間の社会関係です。
軍事とは、軍隊や軍備、戦争などに関連することがらのことです。
まとめ
「行政」と「政治」について説明しました。
「行政」は、内閣や国の機関、公共団体が法律や政令その他の法規に従って行う政務全般をさすのに対し、「政治」とは、社会集団を運営する上で対立や利害を調整するとともに意思決定してこれを実現するものという違いがあります。
「行政」は、報道などで主に内閣以外の行政機関に対して使われているのに対し、「政治」は、批判する目的で使われるという違いがあります。
政治力は意志決定する際に影響力が強い人を指して使われます。
内閣以外の行政機関は「政治」と区別されて「行政」となりますが、内閣の中の国会議員に関しては、同時に「政治」も行っています。