この記事では、「未練」と「心残り」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「未練」と「心残り」の違い
「未練」には2つの意味があります。
1つめは、人・物・事などに心をとられて、必要以上に気にすることです。
もう一つは、未熟なことです。
「心残り」には、不安・心配・執心などがあり、あきらめられないことです。
どちらの言葉も、心がとらわれているという意味を含んでいますが、ややニュアンスが違います。
「未練」の場合、なぜ心がとらわれてしまうかというと、必要以上に気にするからです。
ある事柄にこだわっている状態を指しています。
「心残り」の場合、なぜ心がとらわれてしまうかというと、不安・心配・執心などがあるためです。
それらを気にしてしまい、心に残っている状態を指しています。
執心とは、ある事柄に心をとられてこだわることです。
「未練」に近い意味を持っています。
「心残り」には、「執心などがあり」という意味が含まれており、「心残り」は「未練」があってあきらめられないという意味を持っていることになります。
「心残り」はそれ以外にも、不安や心配によって、それらへの思いを持つことをやめれない意味もあります。
「未練」と「心残り」の使い方の違い
どちらの言葉も、気持ちを断てない意味で使用をします。
しかし、気持ちを断てない理由によって、どの言葉を使うのか違いがあります。
前者の言葉は、こだわりがあって気持ちを断ち切れないことに使用をします。
たとえば、まだあの人のことが忘れられない、過去にああしておけばよかったなど気になるなどです。
後者の言葉は、不安・心配・執心などによって気持ちを断ち切れないことに使用をします。
たとえば、小さな子どもを残して家を出てしまって心配だなどです。
「未練」と「心残り」の英語表記の違い
「未練」は英語で“regret”や“attachment”と表現をします。
「心残り」は英語で“regret”と表現をします。
「未練」の意味
「未練」には2つの意味があります。
1つめは、人・物・事などに心をひかれて、それを必要以上に気にすることです。
気になる服が2つあり、どちらを購入しようか悩んだときのことで考えてみます。
服が欲しいと思って買い物に行ったら、あるお店で2着気になるものがありました。
2つとも欲しいところですが、費用のことがあるので、どちらか一方を選ばなければなりません。
試着をしてみて、サイズはあっているか、デザインや色が似合っているかなど、いろいろ検討してみました。
それでもやっぱり悩みます。
店員さんに相談をしても、「どちらも似合いますよ」という返事で、あまり参考になりません。
いつまでも悩んでいても時間が経つばかりなので、迷った末に一方を購入しました。
自宅に帰って購入した服を着てみると、お店で着たときと同じように似合っているように見えます。
この服を購入したことに満足しました。
しかし、お店に残してきたもう一方の服も気になり、「やっぱりあれも購入しておけばよかった」と心から離れません。
買わなかった服にこだわっているのです。
このこだわっている状態を「未練」といいます。
この例では物へのこだわりですが、人や事などへのこだわりも意味しています。
もう一つの意味は、物事を何度も経験したことがなく、上手にできないことです。
物事に慣れるためには、練習が必要です。
「未だに熟練していない」ことを意味しています。
「未練」の使い方
1つめの意味で使われることが一般的です。
人・物・事にこだわって、きっぱりあきらめられないことを指して使用します。
人については、恋人に関して使われることが多くあります。
別れた人にこだわりを持っている人は、少なくないようです。
物については、人それぞれこだわるものが違い、さまざまな物について、この言葉が使われています。
事については、仕事やスポーツに関することで使われることが多いです。
「未練」を使った例文
・『この世に未練がある』
・『マグロを食べられなかったことに未練が残る』
・『まだ未練があるの?』
・『この世に未練があって幽霊になって出てきた』
「未練」の類語
「執心」が類語です。
「未練」の対義語
「あきらめる」が対義語です。
「心残り」の意味
「心残り」とは、心配・不安・執心などの気持ちを断ち切れないことです。
仲が悪かった姑と嫁のことで考えてみます。
姑は息子の嫁に厳しく、野菜の切り方、掃除の仕方、子どもの育て方など、いろいろと口出ししてきて、何かあると「気に入らない」といっていました。
そんな姑のことを嫁は苦手だと感じていました。
あるとき、姑が転倒をして骨折をし、寝たきりになりました。
介護が必要な状態です。
姑の介護は嫁がしているのですが、これまできつくされてきたため、介護をしていても思いやりを持つことができません。
それでも、他にやる人がいないので、仕方なく行っていました。
そのような状態なので、姑が満足するような介護ができていなかったかもしれません。
何年かして、姑は亡くなりました。
嫁は介護と姑から解放された安堵感がある一方、十分な介護をしてあげらなかったという気持ちが残っています。
「あのとき、ああしてあげればよかった」など、後になって思ったのです。
この心の状態を指している言葉です。
「心残り」の使い方
不安・心配・執心などが残っている状態をいいます。
「心残り」を使った例文
・『面倒をみてあげられなかったことが心残りだ』
・『ファンにあいさつできなかったことが心残りだ』
・『心残りと後悔ばかりだ』
・『友達のことが心残りでした』
「心残り」の類語
「遺憾」が類語です。
「こうなるといい」と思っていたようにはならず、思いを断ち切れないこと、残念に思うこと、という意味があります。
「心残り」の対義語
「あきらめる」が対義語です。
まとめ
どちらの言葉も、思いをきっぱりと離すことができない、という意味があります。
しかしニュアンスが違い、一方はこだわること、もう一方は不安や心配を残すことを意味しています。