この記事では、「思いやり」と「気遣い」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
思いやりと気遣いの違い
「思いやり」と「気遣い」は似た使われ方をする言葉です。
どちらも「相手の立場になって考える」という意味を持ちます。
「思いやり」には同情心が含まれます。
「相手が可哀想にならないように親切にする」という意味です。
これに対し「気遣い」には、同情心は含まれません。
「相手が不便な思いをしないように気を配る」といった意味合いを持つのが「気遣い」です。
思いやりと気遣いの使い方の違い
「思いやり」も「気遣い」も、「親切な心」という意味で使われることがあります。
このとき、使われ方にあまり差異はありません。
しかし「気遣い」には、「懸念」という意味で用いられる場合があります。
この場合の「気遣い」は「心配事」という意味になるので、「思いやり」とは異なる使われ方をします。
思いやりと気遣いの英語表記の違い
「思いやり」を英語で表すと、“compassion”です。
同情や慈悲という意味です。
「気遣い」を英語で表すと、“care”です。
注意、世話、心配、という意味です。
思いやりの意味
「思いやり」とは、相手の立場や気持ちに配慮して、親身になって接しようとする気持ちのことです。
相手に寄り添い、相手の身になって考え、親切な行動を取ろうとすることを「思いやり」と言います。
「思いやり」の「やり」は、漢字で書くと「遣り」です。
「遣う」という字を使います。
「遣う」とは、「気持ちや心を工夫して使う」という意味です。
「思い」を「気を配いながら遣う」ので、「思いやり」と言うのです。
思いやりの使い方
「思いやり」は、相手の身になって考え、相手を尊重しながら親切にすることです。
しかし、ただ親切にするだけが「思いやり」ではありません。
その場では厳しい態度を取ったとしても、それが相手のためを思ってのことであり、のちのち相手の利益に繋がることを見越しての行いなら、それも立派な「思いやり」です。
「思いやり」と似た意味の言葉として、「同情」が挙げられます。
「同情」も、「相手の気持ちに寄り添う」という意味を持ちます。
しかし「同情」は「悲しい出来事」に対して使われることの多い言葉です。
これに対し「思いやり」は、「悲しい出来事」だけでなく、「普段の日常生活での気遣い」という意味で使える、汎用性の高い言葉です。
「思いやり」は名詞ですが、「思いやる」と動詞にしても使えます。
思いやりを使った例文
・『先生は思いやりのある人物で、子どもたちから人気があります』
・『思いやりを持たない人とは友達になれない』
・『思いやりの心を育てるために、子どもは幼少期からよく大切にされなければならない』
・『彼はまったく親切心のない人間で、思いやりのかけらもない』
・『十分な思いやりを与えられた、と理解したとき、彼女は里親に反抗することを止めました』
・『毎朝黙ってゴミ出しをするのは、妻への思いやりのひとつです』
思いやりの類語
「思いやり」は親身になって相手を考え、気持ちや立場を理解しようとすることです。
類語として、「配慮」「親切」「気配り」などが挙げられます。
思いやりの対義語
「思いやり」の対義語ですが、明確にこれと言ったものはありません。
しかし、「相手について全く考えない」という意味で、「無関心」が挙げられるかもしれません。
また、「思いやりの心がないこと」を「無慈悲」と言います。
「無慈悲」も「思いやり」の対義語であると言えるかもしれません。
気遣いの意味
「気遣い」とは、「気を遣うこと」という意味です。
「心づかい」と置き換えて使えます。
手抜かりがないように気を配ることを指します。
「思いやり」と似た使われ方をする場合がありますが、「思いやり」に「同情心」が含まれているのに対し、「気遣い」には「可哀想に思う気持ち」は含まれていません。
また、「懸念」という意味でも使われます。
「懸念」とは、「気がかりで不安に思うこと」です。
気遣いの使い方
「気遣い」は、いいことに対しても、悪いことに対しても使います。
例えば、「よい心配り」のことを「気遣い」と言います。
「彼女は気遣いのできる人だ」のように使います。
細やかな心配りができて、手抜かりのないひとだ、という意味です。
しかし、「悪いことが起こるかどうかの懸念」に対しても、「気遣い」という言葉が使われます。
この場合、「彼が秘密をばらす気遣いはない」というふうに使います。
秘密はばらされないので心配しなくてもよい、という意味です。
「気遣う」と動詞にして使うこともできます。
気遣いを使った例文
・『スタッフの気遣いはとても素晴らしく、ホテルに滞在中ずっと快適に過ごせた』
・『彼はすっかり動転して、家主としての気遣いを忘れてしまい、客人を十分にもてなせなかった』
・『気遣いのできる男性はモテます』
・『人数分の温かいおしぼりを用意しておいてくれる、彼女の気遣いに誰もが心を打たれた』
・『幼児でさえ大人を気遣うことがある』
・『彼の気遣いは、まったく彼女に伝わらなかった』
気遣いの類語
「気遣い」は「心をあれこれ働かせること」です。
「配慮がある」という意味での類語は、「配意」や「懇切」、「気配り」が挙げられます。
「心配な気持ち」という意味での類語は、「心労」「気苦労」「憂い」などが挙げられるでしょう。
気遣いの対義語
「気遣い」も、明確な対義語はありません。
しかし、「気遣い」は「相手のことを配慮する」という意味なので、対義語としては「無神経」が考えられるかもしれません。
「無神経」は、「相手のことを慮らない」という意味です。
まとめ
「思いやり」と「気遣い」の違いについて説明しました。
「思いやり」も「気遣い」も「相手を配慮する気持ち」のことです。
「思いやり」には同情心が含まれますが、「気遣い」には含まれません。