「非情」と「無情」と「非常」の違いとは?分かりやすく解釈

「非情」と「無情」と「非常」の違い生活・教育

人間特有の細かな心の状況がどこか普通ではないというものを説明する単語は多く存在しますが、今回はよく聞く単語3つについてご紹介致します。

この記事では「非情」「無情」「非常」の違いを分かりやすく説明していきます。

「非情」とは

これは『人間らしい思いやりの心がなく冷えており、喜怒哀楽などの感情に左右されないこと』を表している言葉です。

ここでは『冷えている』と『感情に左右されない』が覚えておきたい重要な部分です。

例えば職場で相手の置かれた状況や感情などを配慮せず、ただルールにのっとって裁定を下すような上司がいた場合は『非情な上司』ということがあります。

本来人間が持っているべき感情を無くしてしまっていると言えるのではないでしょうか。

少し脱線すると実は仏教の言葉でもあり、意味としては感情や意識を持たないものを表します。

例えば山川草木などの自然であったり無機物などです。

それ以外の人間や動物など何かを感じてそれに対してリアクションを取るものを『有情』と言います。


‐「非情」の例文

・『木村さんはいざとなれば非情な面も持ち合わせる男である』
・『あまりにも非情な仕打ちに言葉を失う』


「無情」とは

これは『なにかをいつくしむ心がないことやその様子』という意味を持っている言葉です。

実はこれも仏教用語を語源としており、意味は先ほどと同じく『感情や精神など心の動きがないものやこと』を表します。

つまり仏教用語としては『非情』とほぼ同じ意味を持っているのです。

しかしながら一般的な言葉としては意味が少し違っており、『いつくしむ心』がないという部分がポイントになっています。

『いつくしむ』とは弱い立場のものを愛情をもって大切にする感情です。

例えば小さな子供や草木などを大切にする心がありますが、これが『無』であるのが『無情』です。

「無情」の例文

・『無情にも被災地では更に激しい余震が続いた』
・『現実とはあまりにも無情である』

「非常」とは

これは『普通ではない差し迫った状態や思いがけないこと』を表す言葉です。

『緊急事態』ともいうことができます。

漢字を見ると『常(つね=普通)では非(あら)ず』とイメージを付けることが比較的簡単な単語と言えませんでしょうか。

形容詞として使うこともでき、この場合は『並大抵ではない』と『行動や様子が異常』という意味があります。

しかしどの場合も『普通ではない』という意味を根底に持っているのを認識すれば使い方に迷うことはありません。

「非常」の例文

・『非常の際には必ずこの場所に集合すること』
・『非常を知らせるベルが鳴り響いた』

「非情」と「無情」と「非常」の違い

それぞれ『人間らしい感情に左右されないこと』、『いつくしみの心がないこと』、『普通ではなく差し迫った状況のこと』という違いをつけることができます。

この中では『非情』と『無情』が人間が持つ感情の性質や傾向を表す言葉で、とてもニュアンスが似ていますが、上記の様に分けることができます。

また、『非常』はあくまでも『状況』や『様子』と他の2つと違う色を持っているのもお分かりいただけたと思います。

まとめ

如何でしたでしょうか。

『心の性質や傾向』を表す『非情』と『無情』に対して、『状況』を表す『非常』でしたが、どれも普通とは大きくかけ離れているというのは不思議な共通点ではないでしょうか。

心の性質を表す言葉はまだまだ存在しており、『薄情』などもありますので是非合わせて違いを確認してみてください。