「幻想的」と「神秘的」は、どう使い分ければよいのでしょうか。
この記事では、「幻想的」と「神秘的」の違いを分かりやすく説明していきます。
「幻想的」とは?
「幻想的」【げんそうてき】は、現実から離れた幻の世界にいるような様子のことです。
これは「現実ではないことを思い描く」という意味の「幻想」と「~のような様子である」という意味を持つ「的」を組み合わせた形容動詞で、「現実ではないものを見たり感じたりするような感覚を伴う様子」を表しています。
空想や夢のような、実態のない世界にいるような様子を表しており、一般には非日常感を伴うロマンチックで美しいものを形容する時に使われます。
類語は「夢幻的」「ファンタジック」「ドリーミー」です。
「夢幻的」と「ドリーミー」は「夢の中にいるような感覚」という意味合いが強く、「ファンタジック」は、特に美しく感動的なものをたたえるときに使われています。
「幻想的」の言葉の使い方
「幻想的」は、実体がないものに対する主観的な形容であるため、どのようなものが「幻想的」にあたるのか、はっきりした基準はありません。
ただ、一般には景色、絵画や音楽など作品の雰囲気に対し、空想的な感じがする、夢や幻のように現実離れしていて美しいものを「幻想的」と呼ぶことが多くなっています。
「現実にないものを思い描く」という意味の「幻想」自体は、ポジティブ・ネガティブの両方の意味合いを含みます。
しかし「~のような」という意味を持つ「的」をつけた「幻想的」は、ネガティブな意味で使われることはありません。
「神秘的」とは?
「神秘的」【しんぴてき】は、一般的な認識では理解できないほど不思議な感じがすることです。
「神秘」は「人の知恵でおしはかることができないほど謎に満ちているさま」という意味があり、「~のような様子である」という意味の「的」と組み合わせた「神秘的」は、「人が持つ一般的な知恵や認識では理解できないほど不思議な感じがする様子」を表しています。
「神秘的」は、実態があるものの、なぜそうなっているのか理解できないほど不思議な感じがする様子を指します。
一般には、美しさ、神々しさ、引き込まれるような魅力を伴い、見た時に感動を伴うような雰囲気を「神秘的」と呼んでいます。
類語は「ミステリアス」「超自然的」「不可思議」です。
いずれも不思議なものに関連した言葉ですが、「ミステリアス」と「不可思議」は「不可解」というニュアンスが強く、「超自然的」は自然の法則を超えているものを形容するところが少し異なっています。
「神秘的」の言葉の使い方
景色、人の印象、絵画などを見た時、謎を秘めているような不思議な雰囲気がするものを「神秘的」と呼びます。
その際は、自然に遭遇した時に感じる「畏怖の念」(おそれ多いと感じること)のような感覚を伴うこともあります。
「幻想的」と同様に主観的な形容になりますが、ネガティブな要素は少なく、美しいもの、神々しく感じられるものが「神秘的」と呼ばれます。
「幻想的」と「神秘的」の違い
「幻想的」と「神秘的」は、どちらも不思議な感じのするものを形容する時に使う言葉であり、どこか似ている印象を感じさせます。
「幻想的」は「現実から離れた幻の世界にいるような様子」を指し、実態がなく夢や空想の世界を見ているような、美しくロマンチックな雰囲気を表します。
一方「神秘的」は「一般的な認識では理解できないほど不思議な様子」のことであり「実態はあるものの、なぜそのような現象が起きているのかが不可解な状況」を表します。
どちらも美しく心をひかれるものではありますが、「幻想的」は実態がなく「神秘的」は実態があるところが違いとなっています。
「幻想的」の例文
・『夕暮れ時の幻想的な光景に感動する』
・『彼の描く絵画は、幻想的な作風が売りだ』
「神秘的」の例文
・『彼女の神秘的な雰囲気に強くひかれる』
・『旅行先で神秘的な体験をした』
まとめ
「幻想的」と「神秘的」は互いに雰囲気が似ていますがニュアンスが異なることを理解しておきましょう。