この記事では、「難癖」と「因縁」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「難癖」と「因縁」の違い
「難癖(なんくせ)」と「因縁(いんねん)」は「難癖をつける」と「因縁をつける」の用法ではどちらも、「相手に意図的に言いがかりをつけて困らせたり脅したりすること」を意味しています。
ただし「難癖」という単独の言葉は「非難(追及)されるべきその人の悪い部分」を意味していて、「因縁」は「物事が生成消滅する原因・理由(直接的原因の因+間接的原因の縁)」や「運命・宿命」という仏教用語の意味合いを持っているという違いを指摘できます。
「難癖」と「因縁」の使い方の違い
「難癖」と「因縁」という言葉は、どちらも「難癖をつける」と「因縁をつける」という典型的な使い方を持っています。
「難癖をつける」も「因縁をつける」も、「相手に理不尽な言いがかりをつけること」という同じ意味合いになります。
ただし「難癖」と「因縁」を単独の言葉として使用する場合には、「難癖」には「非難すべき悪い行い・習慣を示すネガティブな使い方」しかないのに対して、「因縁」のほうは「仏教用語として原因・ゆかりを示す中立的な使い方」もあるという違いがあります。
「難癖」と「因縁」の英語表記の違い
「難癖」を、英語で表記すると以下のようになります。
“find faults with~”(~の間違いをあえて見つける・~に難癖をつける)
“run down~”(~を非難する・~に難癖をつける)
“something to blame”(非難すべきところ・非難すべき何か・難癖)
「因縁」を、英語を使って表現すると以下のようになります。
“find a pretext for quarreling with~”(~に言いがかりをつける・~に因縁をつける)
“pick a quarrel with~”(~に喧嘩をふっかける・~に因縁をつける)
“fate”“destiny”(運命・宿命・因縁)
“relationships”(関係・ゆかり・因縁)
「難癖」の意味
「難癖(なんくせ)」という言葉は、「非難(追及)して責めるべきところ」や「非難すべき悪い部分(悪い行い・悪い点)」を意味しています。
「難癖」は「難癖をつける」の慣用句的な用法で使われることがほとんどで、「相手に対して非難すべき悪いところを敢えて見つけて(悪い点を捏造してでも)、言いがかりをつけること」を意味しています。
「難癖」の使い方
「難癖」は単独でも「非難すべき悪い行い・悪い点」という意味合いを持っていますが、単独で使う使い方はほとんどされることがありません。
「難癖」の使い方としてもっとも多いのは、「難癖をつける・難癖をつけられる」の用法になります。
「難癖をつける」という慣用句の表現は、「相手に対して理不尽な言いがかり(因縁)をつけること」や「言いがかりをつけて責めたり脅したりすること」を意味しています。
「難癖」を使った例文
・『治安の悪い地域で難癖をつけられないように、用心して歩いていました。』
・『町の不良グループが、「俺たちを睨みつけただろう」と難癖をつけてきました。』
・『いくら難癖をつけられても、身に覚えのない料金を支払うつもりはありません。』
・『人に難癖をつけてまで不当な利益を得たいと思ったことは一度もありませんでした。』
・『その老人は、いろいろな人に難癖をつける頑固な高齢者として有名でした。』
「難癖」の類語
「難癖」の類語には、以下のような言葉があります。
「言いがかり(いいがかり)」……根拠が弱い一方的な文句。
わざと相手を困らせるために言っている文句や因縁。
「非難すべき(ひなんすべき)」……相手の間違っているところを責めて追及すべき。
あやまちや欠点を責めてとがめたほうが良い。
「因縁(いんねん)」……筋が通っていない言いがかりや理不尽で一方的な文句。
「難癖」の対義語
「難癖」の対義語には、以下のような言葉があります。
「美点(びてん)」……称賛すべき優れているところ。
「長所(ちょうしょ)」……人物・モノの良いところ。
直接の対義語は「短所」になります。
「因縁」の意味
「因縁(いんねん)」という仏教用語に由来する言葉は、「物事が生じる直接の原因である因とそれを強化する間接の条件(原因)である縁」を意味しています。
その仏教用語の意味から、「因縁」は一般に「原因・理由」を意味します。
「因縁」には、「前世から決まってる運命・宿命」や「以前から続いている関係・ゆかり」の意味も備わっています。
「因縁をつける」の用法の「因縁」は、「筋の通らない理不尽な言いがかり」の意味になります。
「因縁」の使い方
「因縁」は「因縁をつける・因縁をつけられる」の典型的な用法のように、「筋が通っていない言いがかり・根拠薄弱で一方的な文句」を意味して使う使い方になります。
それ以外の「因縁」の使い方としては、「因果関係を形成する直接間接の原因・理由」や「前世から続いている運命・宿命」、「昔からある関係」の意味合いで使うといった使い方になります。
「因縁」を使った例文
・『チンピラのような格好をした男性からいきなり因縁をつけられました。』
・『向こうからぶつかってきた自転車に、修理代と医療費を出せという因縁をつけられました。』
・『他人に因縁をつける人は、自分自身がストレスや欲求不満を抱えていることが多いのです。』
・『知り合って間もない彼女と結婚する流れになったのは、何らかの因縁が働いているのだと思います。』
・『私と彼らの間には、今も忘れることができない因縁があるのです。』
「因縁」の類語
「因縁」の類語には、以下のような言葉があります。
「原因(げんいん)」……ある物事や状態を生み出している元になっていること。
「宿命(しゅくめい)」……前世から決定していて、逃げたり避けたりすることができない運命・定め。
「言いがかり(いいがかり)」「いちゃもん」……相手を困らせたり脅したりするための、理不尽で根拠の薄い文句。
「因縁」の対義語
「因縁」の対義語には、以下のような言葉があります。
「結果(けっか)」……ある原因や行動から発生してたどりついた結末。
特定の原因からある状態・結末が生じること。
「偶然(ぐうぜん)」……必然ではなく(特定の因果関係があるのではなく)、たまたまそのようになること。
まとめ
「難癖」と「因縁」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか?
「難癖」と「因縁」の意味・使い方・英語の違いや類語・対義語を詳しく調べたい時は、この記事の内容をチェックしてみてください。