この記事では、「亡者」と「強者」と「猛者」の違いを分かりやすく説明していきます。
「亡者」とは?
「亡者」【もうじゃ】は、死後に成仏できずこの世をさまよう者のことです。
また、金や権力などの欲に取り付かれた者という意味で使われます。
「亡者」は「亡き者」と書くように死んだ人を指 し、仏教上の考えで「極楽へ行けずこの世をさまよう者」を表します。
そこから転じて、「生きている人の心をなくした者」という意味で、金や権力などの欲望に取り付かれた者をののしる言葉として使われるようになりました。
「金の亡者」は、金にがめつい者を意味します。
そのほか「亡者」を使った言い回しに「我利我利亡者」【がりがりもうじゃ】があります。
これは自分の利益ばかり優先して他人のことが考えられない者という意味です。
「亡者」の類語には「守銭奴」【しゅせんど】があります。
これは「金の亡者」と同じく金にがめつい者を指します。
「強者」とは?
「強者」【きょうしゃ】とは、強い力を持つ者、優れた力を持つ者という意味です。
読んで字のごとく「強い者」という意味を持つ言葉で、「きょうしゃ」のほか「つわもの」とも読み「兵」の漢字があてられます。
「兵」【つわもの】の語源は、刀の部位「つば」にあります。
刀を持つ兵士という意味で「つばもの」という言葉が生まれ、転じて強い兵士が「つわもの」、強く立派な者が「強者」と呼ばれるようになりました。
「強者」は、肉体的な強さを持つ者だけを指すのではありません。
優れた才知や権力を持っている者、勇敢な者、ある分野で優れた力を発揮している者などが「強者」と呼ばれます。
類語は「勇者」【ゆうしゃ】、「強豪」【きょうごう】、「精鋭」【せいえい】で、「強者」と同様に強い者を指します。
「勇者」は勇気のある者、「強豪」は強い人または団体、「精鋭」は力に鋭い勢いがある者といったニュアンスで使い分けるとよいでしょう。
「猛者」とは
「猛者」【もさ】とは、勇敢で非常に強い力を持つ者という意味です。
漢字の「猛」は、荒々しい、勇ましく強い、という意味を持っており、「猛者」は勇ましく強くて、荒々しい雰囲気を持つ人を表します。
ちなみに「もさ」という読み方は、勇敢で強い男性を意味する「もうざ」が転じたものといわれています。
「猛者」は武勇にたけた荒々しい人を意味しますが、単に力技が優れているだけでなく、精力的で優れた能力を持つ人を指すときに使われています。
類語は「豪傑」【ごうけつ】「荒武者」【あらむしゃ】などです。
「猛者」と同様に武勇に優れた勇敢な者を表し、「豪傑」は中でも度胸のある者、「荒武者」は強い武士を指して使われます。
「亡者」と「強者」と「猛者」の違い
「亡者」「強者」「猛者」は人を表す言葉ですが、それぞれの意味は異なります。
「強者」と「猛者」は力の強い立派な者を意味し、互いに類語の関係を持ちます。
違いは、使われている漢字の「強い」と「猛々しい」にあり、「猛者」のほうがより精力的で荒々しいニュアンスを含みます。
「亡者」は亡くなった人、または金や権利に欲深い者という意味で使われます。
三つの言葉の中で、「亡者」だけ明らかに意味が違うということです。
まとめ
「亡者」「強者」「猛者」は、漢字の雰囲気や読んだときの韻がどことなく似ていますが、それぞれの意味は異なります。
「猛者」は「もうじゃ」、「強者」は「きょうじゃ」と読まないように注意しましょう。