この記事では、「天を仰ぐ」と「神頼み」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「天を仰ぐ」と「神頼み」の違い
「天を仰ぐ」という慣用句は、「物事が上手くいかない時や嫌なことがあった時などに、嘆いて空を見上げる」というネガティブな意味を持っています。
「天を仰ぐ」に対して「神頼み」には「ネガティブな意味のニュアンス」はなく、「(自分の実力だけでは心もとないので)神様に祈って助け・加護をお願いすること」を意味しているという違いがあります。
「天を仰ぐ」と「神頼み」の使い方の違い
「天を仰ぐ」の慣用句は、「何かに失敗した時・嫌なことがあった時・悲しいことがあった時・自分の力ではどうしようもならない場合」に「悲嘆して神様に訴えるように空を見上げる」というネガティブな意味合いで使います。
「神頼み」のほうは、「良い結果が出るか悪い結果が出るか分からない場合」に「神様に助力や加護を頼んでお願いする」という意味で使われる違いがあります。
「神頼み」は「天を仰ぐ」と比べると、「ネガティブではない中立的なニュアンス」で使われる使い方の違いを持っています。
「天を仰ぐ」と「神頼み」の英語表記の違い
「天を仰ぐ」を、英語で表現すると以下のようになります。
“regret”“look up with regret”(後悔する・後悔して見上げる・天を仰ぐ)
“deplore”“look up in lamentation”(嘆き悲しむ・嘆いて見上げる・天を仰ぐ)
“look up to the heavens”(天を見上げる・天を仰ぐの直訳の英文ですが、嘆くの意味合いは含まれません。)
「神頼み」を、英語を使って表記すると以下のようになります。
“pray to God for help(aid)”(神に向かって助けを求めて祈る・神頼み)
“Danger past, God forgotten.”(危険が過ぎ去ると、神のことを忘れてしまう、苦しい時の神頼み)
「天を仰ぐ」の意味
「天を仰ぐ(てんをあおぐ)」という慣用句の言葉は、「良くない出来事が起こって、嘆くような気持ちで(神様につらさを訴えるような気持ちで)空を見上げること」を意味しています。
「天を仰ぐ」の原義は「空を見上げる・上を見上げる」ですが、次第に「天上にいる神様を見上げて、自分のつらさ・苦しみを訴える」といった意味のニュアンスが強くなりました。
「天を仰ぐ」の「仰ぐ」には「見上げる」以外にも「上位者を尊敬する・指示を受ける(指示を待つ)」といった敬意を示す意味もありますが、「天を仰ぐ」は肯定的な意味合いでは使われません。
「天を仰ぐ」の使い方
「天を仰ぐ」の慣用句は「これ以上ないチャンスを見逃した選手は、天を仰ぎました」の文章のように、「物事に失敗して(物事が上手くいかずに)、嘆きながら空を見上げること」の意味で使うという使い方になります。
「天を仰ぐ」という表現の使い方は、「ポジティブな文脈・意味合い」で使われることはなく、「(上手くいかずに嘆き悲しんで空を見上げるという)ネガティブな文脈・意味合い」で使います。
「天を仰ぐ」を使った例文
・『親友が亡くなったとの連絡を受け、天を仰ぐような気持ちになりました。』
・『絶好のチャンスでミスをしてしまい、天を仰ぎました。』
・『自分の失敗のせいでチームが窮地に陥った時には、天を仰ぎました。』
・『何もかもが裏目に出てしまい、天を仰ぎました。』
・『大事な一戦に敗れたという早馬からの報告を受けた将軍は天を仰ぎました。』
「天を仰ぐ」の類語
「天を仰ぐ」の類語には、以下のような言葉があります。
「悲嘆する(ひたんする)」「慨嘆する(がいたんする)」……悲しんで嘆くこと。
物事を心配したり不正に憤ったりして嘆くこと。
「後悔する(こうかいする)」……自分がしたことについて、終わった後になってから悔やむこと。
「落胆する(らくたんする)」……失敗したり間違ったりして、気分が落ち込むこと。
「天を仰ぐ」の対義語
「天を仰ぐ」の対義語には、以下のような言葉があります。
「胸を張る(むねをはる)」……自分のやった事柄に自信を持ち、堂々としているさま。
「得意げになる(とくいげになる)」……自慢するような顔つき・雰囲気になること。
「したり顔をする(したりがおをする)」……物事が上手くいったり成功したりした時に、得意げな顔つきをすること。
「神頼み」の意味
「神頼み(かみだのみ)」の慣用句は、「(困った時・助けてほしい時に)神様に助力・加護をお願いすること」を意味しています。
「神頼み」の表現は、「自分の力だけではその物事が上手くいくかどうか分からないので、神様に祈って助け・加護をお願いする」という意味のニュアンスを持っています。
「神頼み」の使い方
「神頼み」は「事前に十分な勉強をしていなかったので、神頼みするしかありませんでした」のように、「(自力だけでは目的達成ができるか分からない時に)神様に祈りを捧げて助力・加護を頼むこと」を意味して使う使い方になります。
「神頼み」の典型的な慣用句としての使い方に、「困った時の神頼み」という言い回しもあります。
「神頼み」を使った例文
・『困った時の神頼みで、神社にお参りに行ってきました。』
・『いくら神頼みをしても、厳しい現実の状況はそうそう変わりません。』
・『彼は何か問題が起こった時には、いつも神頼みをしてばかりでした。』
・『人事を尽くして天命を待つで、神頼みするような気持ちになっていました。』
・『私は常に自分の努力で道を切り開いてきたので、神頼みすることはありません。』
「神頼み」の類語
「神頼み」の類語には、以下のような言葉があります。
「他力本願(たりきほんがん)」……自助努力ではなく、神仏や他者に頼って願い事をするさま。
「運任せ(うんまかせ)」……実力勝負をするのではなく、偶然の運に任せて委ねること。
「一か八か(いちかばちか)」……運を天に任せて(確率的な偶然に任せて)、出たとこ勝負に打って出ること。
「神頼み」の対義語
「神頼み」の対義語には、以下のような言葉があります。
「自力本願(じりきほんがん)」……神仏・他人などに頼るのではなく、自分自身の力によって道を開くこと。
「自助努力(じじょどりょく)」……自分を助けるために(自分の現状をよくするために)、自分自身で努力すること。
まとめ
「天を仰ぐ」と「神頼み」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか?
「天を仰ぐ」と「神頼み」の意味・使い方・英語の違いや類語・対義語を詳しく調べたい時は、この記事の内容をチェックしてみてください。