この記事では、「原著」と「総説」の違いを分かりやすく説明していきます。
それぞれ、元となる作品について書かれた文章のことですが、最初は混同しがちです。
しかし内容を理解すれば、違いがはっきりします。
「原著」とは?
原著とは、注釈を付けたり翻訳や改作した作品に対して、その元になったオリジナル作品のことです。
原作、原典と言い換えることができ、英語ではoriginal workと言います。
対義語はとくにありませんが、オリジナル作品である「原著」について書かれた「派生作品」と呼ばれる文章は、内容的に「原著」と対照的に扱えるでしょう。
派生作品は、その内容に従って翻訳や訳書、注釈書などと呼ばれ、オリジナルである「原著」に対する書物になります。
「総説」とは?
総説とは、全体をまとめて論述することです。
つまり、著述の内容や論旨、観点などのあらましを説きあかした文章になります。
文章全体の内容を概観的に述べて、分かりやすくまとめたものが「総説」です。
英語ではreview articles、general remarksと呼ばれます。
この場合、概論や説明、解説と言い換えることができます。
また、書物の冒頭で概要を述べた文章も「総説」と言います。
この場合は「総論」とも呼ばれ、その対義語は「各論」になります。
「各論」とは、それぞれの項目や事柄について、細かく分かれた意見や論文のことです。
「原著」と「総説」の違い
「原著」と「総説」の違いは、オリジナルの文章について書かれたものか、あるいは文章のまとめなのかという点です。
注釈を付けたり、翻訳をした派生作品に対して、その元になったオリジナルの文章が「原著」となります。
そのため、派生作品は「原著」というひとつのテーマについて書かれた文章になります。
それに対して、著述の内容や概略をまとめたものが「総説」になります。
論じることと同時に、その論じた文章そのものも「総説」と呼ばれます。
つまり、その著述全体の内容や論旨、観点などについて、前もって論じたものが「総説」です。
また、これから文章を読む人に向けて、あらかじめ内容をまとめた文章を書物の冒頭にまとめたものを「総説」と呼ぶ場合もあります。
「原著」の例文
・『彼の論文の原著は、二年前に私が訳した論文です』
・『このたび発行された書物は、この原著に注釈を付けたものです』
「総説」の例文
・『総説として、全体をまとめさせていただきます』
・『冒頭の総説を読むと、この書籍の内容がよく分かります』
まとめ
翻訳されたり改作された派生作品の、元になったオリジナルの作品が「原著」です。
いっぽう、著述の観点や概要をまとめたものが「総説」になります。
また、書籍の最初に、その内容をまとめた文章も「総説」と呼ばれます。
書かれた文章の元になる別の文章が「原著」、著述の内容を概観的にまとめたものが「総説」と覚えれば分かりやすいでしょう。
「原著」は派生作品とは別の文章ですが、「総説」は著述された文章の内容をまとめたものになります。