「承継」と「継承」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「承継」と「継承」の違い生活・教育

この記事では、「承継」「継承」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「承継」と「継承」の違い

国語辞典の項目の説明では、「承継」「継承」を、「継承」「承継」の意味を持つとあります。

その辞典の定義から、「承継」「継承」は両方とも「前の世代のものを受け継ぐ」ことを示す同義語になります。

ただし「承継」「継承」より、「精神・理念・思想」などの「抽象的なものを引き継ぐニュアンス」をより強く持っている違いは指摘できます。

一方、「継承」「承継」より「財産・権利・資格などの具体的な何かを引き継ぐニュアンス」が強い点が異なっています。


「承継」と「継承」の使い方の違い

「承継」「継承」は基本的に「前の世代のものを受け継ぐ」を示唆する同義語ですが、使い方においては一定の違いを持っています。

「継承」のほうが「承継」と比べると、一般的な文章や話し言葉(口語)における使用頻度が高くなっています。

「承継」「継承」よりも一般的に使用されるシーンがかなり少ない言葉で、主に「法律用語・契約文書」において使われている点に違いがあります。

例えば、法的に有効な文書では「事業の承継・相続財産の承継」という言い回しが使われます。

この法律文書内では「承継」「継承」よりも適切な言葉の選択となります。


「承継」と「継承」の英語表記の違い

「承継」「継承」を英語で表現するときには、これでなければならないという単語のタイトな使い分けはありません。

そのため、「承継」「継承」の英語表現は以下のようになります。

“inheritance”……財産や会社などを相続すること。

先祖などから受け継いだもの。

相続権。

継承・承継。

“succession”……連続しているもの。

途切れず続くこと。

継承者。

継承・承継。

“accession”……権利・財産などを継承すること。

地位に就任すること。

接近すること。

承継・継承。

「承継」の意味

「承継」とは、「先代の人から精神性(考え方)を含めて、地位・事業・財産などを受け継ぐこと」を意味している言葉です。

「承継」の表現には、「継承よりも理念・趣旨などの抽象的なものを受け継ぐ」といったニュアンスがあります。

「権利・義務を後続が引き継ぐこと」を指示する法律用語の意味も「承継」は持っています。

「承継」の使い方

「承継」は、「先代や先祖の身分・地位・事業などを引き継ぐこと」を意味して使う使い方になります。

「承継」というのは、「前の代の人たちが培って維持してきたその精神性(抽象的な理念・思想)を合わせて受け継いでいく」といったニュアンスをこめて使用している言葉なのです。

また「承継」は、「権利および義務を引き継ぐ法律用語」「法的に有効な契約書」において使うシーンが多い表現でもあります。

「承継」を使った例文

・『明治時代から営業している和菓子の老舗ですが、和菓子をつくるおもてなしの精神も合わせて承継してきました。』

・『この会社は祖父が創業した機械メーカーですが、その事業承継を巡って三人の兄弟の間で対立が起きていました。』

・『日本舞踊の技術だけではなくその意義・理念も承継しなければ、後継者としては不適格なのです。』

・『父の死後に承継する財産がほとんど残っていない事実が明らかになり、子孫はみんな落胆しました。』

・『労働契約を承継する際に納得できない契約内容があるので、労働基準局に問い合わせてみるつもりです。』

「承継」の類語

「承継」の類語には、以下のような言葉があります。

・『継承(けいしょう)』……前の代などから、身分・財産・資格などの具体的な何かを引き継ぐこと。

・『相続(そうぞく)』……死亡した人の財産を、配偶者や子孫などが引き継ぐこと。

・『相伝(そうでん)』……前の代から後の代へと、技術・ノウハウなどを代々受け継いで伝達すること。

「承継」の対義語

「承継」の対義語には、以下の言葉があります。

・『断絶(だんぜつ)』……血統・地位などが引き継がれることなく、そこで断ち切られて終わること。

「継承」の意味

「継承」とは、「自分よりも前の代・先輩などから、後継者が受け継ぐこと」を意味しています。

「継承」という言葉は、「先代や先祖から、財産・権利・義務などを後任者として受け継ぐこと」を示しているのです。

「継承」は、「経済的価値のある具体的な財物、あるいは社会的権利と関連するものを受け継ぐ」といったニュアンスを持つ表現なのです。

「継承」の使い方

「継承」は、「前任者から具体的な価値のあるものを引き継ぐ」の意味合いで使用することができます。

「継承」という言葉は、「先代の人から経済的価値や社会的効用のあるものを受け継ぐこと」を指し示して使われます。

例えば、「この不動産を継承できる可能性があるのは、妻をはじめとして三人になります」といった文章などで使えるのです。

「継承」を使った例文

・『彼は祖父から莫大な財産を継承してから、急に金遣いが荒くなってきました。』

・『人間国宝である父から技術や知識は継承できたと思っていますが、人間性・精神性においてはまだ未熟です。』

・『一子相伝で茶道の家元としての奥義を継承したことで、他の兄弟姉妹から嫉妬されることになりました。』

・『王政や独裁国家では、選挙ではなく血統によって最高権力者の地位が継承されることがあります。』

・『誰がこの巨大な同族企業の経営権を継承することになるのか、社内だけでなく一般社会でも話題になっていました。』

「継承」の類語

「継承」の類語には、以下の言葉があります。

・『承継』……抽象的な考えと共に地位・財産などを受け継ぐこと。法的に権利と義務を受け継ぐ。

・『伝承(でんしょう)』……昔からある風習や制度、ノウハウなどを受け継いで、後続世代に伝えること。

「継承」の対義語

「継承」の対義語には、以下の言葉があります。

・『中絶(ちゅうぜつ)』……継承されることなく、途中で途絶えること。途絶(とぜつ)すること。

まとめ

「承継」「継承」の違いをいろいろな観点から説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「承継」「継承」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しく調べたい時は、この記事の内容をチェックしてみてください。