この記事では、「厚意」と「親切心」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「厚意」と「親切心」の違い
「厚意(こうい)」とは、「他者から自分に寄せられる好意的・支援的な気持ち」を意味するだけでなく、「その親切で好意的な気持ちが行動として表現されたもの」を指しています。
「厚意」というのは「親切心(しんせつしん)」そのものも含むのですが、それだけではなく「親切心が反映されたと思われる他者の好意的な行動」を示唆している違いを指摘できます。
厳密に考えると、「厚意」は「仮に本心における相手の親切心がなくても、親切心があると感じられる行動だけ」でも成り立つ概念なのです。
「厚意」と「親切心」の使い方の違い
「厚意」は、「他人が自分に見せてくれたありがたい気持ちおよびその気持ちの現れた行動」の意味で使われます。
「厚意」に照らして「親切心」は、「他人からの好意に限らず自分の好意も含めて、相手を手助けしようとする気持ち」の意味合いで使われる違いがあります。
それらの意味から、「相手に対して親切心を持つ」とはいえますが、「相手に対して(自分の側から)厚意を持つ」という表現はできないといった使い方の違いを指摘できます。
「厚意」は原則として「相手側の親切心・思いやり」だけを指し示していて、「親切心」は「自分側と相手側の思いやりの両方」を指し示して使うことができるのです。
「厚意」と「親切心」の英語表記の違い
「厚意」という言葉を、英語を使って表現すると以下になります。
“kindness”……親切さ、親切な気持ち。
厚意。
“courtesy”……礼儀・丁重、礼儀正しさ。
厚意。
「親切心」という言葉を、英語を用いて表すと以下になります。
“favor”……好意的な振る舞い。
善意に基づく精神性。
親切心。
“kindness”……親切な心持ち、親切さ。
親切心。
“for the goodness of one’s heart”“out of kindness”……親切心によって~する。
親切心から。
「厚意」の意味
「厚意(こうい)」とは、「人から自分に寄せられる思いやりの気持ち、その気持ちが現れた行為」を意味しています。
「厚意」は「人を思いやる親切な気持ち」そのものも意味しますが、実際にはその気持ちがなくても「思いやりがあると感じることができる、自分に対する相手の行動」といったニュアンスも持っています。
また「厚意」は、「自分が人に対して抱く親切心」ではなく、「人が自分に対して示してくれる親切心」を示している言葉になります。
「厚意」の使い方
「厚意」は、「他者が自分に見せてくれた親切な気持ち・温かい心持ち」の意味で使うことができます。
「厚意」は「自分からの思いやり」の用法がないので、「(相手に)厚意を持つ・厚意を寄せる・厚意を示す」といった表現をすることはできません。
「厚意」には、「厚意に甘える」や「厚意に応える(報いる)」などの定形的な使い方も多くあります。
「厚意」を使った例文
・『社長の厚意に甘えて、その日は社長所有のホテルのスイートルームで休ませて頂きました。』
・『起業したばかりの時期に応援してくださった皆様方のご厚意には、近いうちに必ず報いたいと考えております。』
・『貧しかった頃の僕を支えてくれた人たちの厚意を無にしないように、これからも良い作品を世に出せるように頑張ります。』
・『仲間からの厚意に応えるため、彼は高熱を薬で抑えてから試合に出場することを決断したのです。』
・『コロナ禍の中、何とかこの演劇の舞台を成立させようと努力してくださった方々のご厚意に深く感謝致しております。』
「厚意」の類語
「厚意」の類語には、以下の言葉があります。
・『厚情(こうじょう)』……あらたまった式典や文章で使用されることが多い言葉で、心からの思いやり・人情の厚さを意味しています。
・『善意(ぜんい)』……他者・物事に対するポジティブな意図および感情。
善なる意志・計らいに基づく心。
・『温情(おんじょう)』……相手に対する温かい思いやりに満ちた心。
相手のためを思う、優しい支持的な心。
「厚意」の対義語
「厚意」の対義語には、以下の言葉があります。
・『悪意』……相手を傷つけたりだましたりしようとするネガティブな意志・心持ち。
・『冷遇』……温かみや厚意が感じられない冷たい対応・処遇。
「親切心」の意味
「親切心(しんせつしん)」とは、「相手のためになることを何かしてあげたいと思う好意的な心」を意味しています。
「親切心」というのは、「他者の立場・悩みに寄り添って、その人を手助けしてあげたいと思う気持ち」を意味する言葉なのです。
「親切心」という言葉は、「自分側が持つ他者に対する思いやり・支援の気持ち」あるいは「相手側が持つ自分に対する思いやり・支援の気持ち」を示唆しているのです。
「親切心」の使い方
「親切心」は、「相手のために何かをして助けてあげたいと思う心持ち」の意味で使用することができます。
「親切心」は、「親切心から~する・親切心で~する・親切心を持つ・親切心を示す・親切心を寄せる」などの用法で使われる表現です。
「親切心」を使った例文
・『最近の世の中では、親切心から起こした行動でもありがた迷惑と思われてしまうケースが増えています。』
・『先生は親切心に富んでいたので、授業が終わってからも分からない生徒を熱心に指導してくれました。』
・『親切心を失った社会は、他者のために誰も動かない殺伐とした冷たい社会になってしまいます。』
・『自分の人生や人間関係が上手くいっている時ほど、他人の親切心のありがたみに気づけないのです。』
・『親切心をどのような場面でどんな相手に発揮すれば良いのかの判断が難しいのです。』
「親切心」の類語
「親切心」の類語には、以下の言葉があります。
・『利他心(りたしん)』……他者・相手の利益になることをしようと思う心。
・『思いやりの心(おもいやりのこころ)』……相手の立場に立って、相手に寄り添ったり助けたりしようとする気持ち。
・『ボランティア精神』……見返りを求めず自発的に、世の中や人のために役立つ行動をしたいと思う精神。
「親切心」の対義語
「親切心」の対義語には、以下の言葉があります。
・『薄情(はくじょう)』……情が薄くて淡白なさま。
人に深い思い入れを抱かず対応が冷たいこと。
・『冷淡(れいたん)』……他者に対して思いやりがなく、心持ちが冷たいこと。
まとめ
「厚意」と「親切心」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「厚意」と「親切心」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しく調べたい時は、この記事の解説をチェックしてみてください。