この記事では、「幻覚」と「幻視」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「幻覚」と「幻視」の違い
「幻覚」とは、実際には目・皮膚・耳などの刺激を捉える器官が刺激を受けていなかったり、そこに何かがあるのではなかったりするのに、まるであるように知覚することです。
「幻視」とは、実際にはそこにないものをあるかのように見えることです。
どちらの言葉にも、まぼろしという意味を持つ漢字である「幻」が使用されており、実際にないものをあるかのように感じ取ることという意味が含まれています。
「幻覚」は、見えるもの、触るもの、聞こえるものについての言葉で、実際にはないのにあるように感じることをいいます。
たとえば、ヘビが這っている、そこに誰もいないのに誰かの声がするなどがそれにあたります。
「幻視」は、見えるものについての言葉で、本当のことではないものを、ほんとうであるかのように感じ取り、脳で映像を結ぶことをいいます。
「幻覚」の一種です。
たとえば、いるはずもない死神が見えるなどがそれにあたります。
「幻覚」と「幻視」の使い方の違い
「幻覚」は、本当にはそこに何も存在していないのに存在するかのように感じること、本当には何も音がしていないのに何か音がしたように感じること、何も肌に触れていないのに何かが触れたと感じることなどについて使用をします。
「幻視」は、本当にはそこに何もないのにそこにあるように見えることについて使用をします。
「幻視」の方が使用の幅が狭いことになります。
「幻覚」と「幻視」の英語表記の違い
「幻覚」は英語で“fancy”や“hallucination”と表現をします。
「幻視」は英語で“hallucination”と表現をします。
「幻覚」の意味
「幻覚」とは、目・耳・皮膚・舌などの感覚器官が刺激を受けていないのに、何かがあるように感じることです。
「覚」という漢字には、気づくという意味があります。
つまり、幻のものに気づくことが「幻覚」です。
皮膚感覚のことで考えてみます。
皮膚に何かが触ると、触ったと感じることができます。
これは一般的なものです。
しかし、「幻覚」の場合は、皮膚に何も触れていないように、皮膚に何かが触ったように感じます。
また、電磁がで攻撃されていると感じることもあるようです。
視覚のことで考えてみます。
見えるとわかるのは、目に光が入ってきて、その刺激が信号に変えられて脳に伝わり、脳が認識をするからです。
目の前にリンゴがあれば、リンゴの形を捉えることができます。
しかし、「幻覚」の場合は、実際には何もないのにあるかのように見えます。
たとえば、本当ないないのに知らない人が家にいる、虫が這っているなどです。
聴覚のことで考えてみます。
空気振動が鼓膜に伝わり、その振動が中耳や内耳、内耳の中の液体に伝わり、感覚細胞から脳に信号が送られて、脳が認識をして聞こえたと感じます。
たとえば、鳥が鳴いていると、鳴き声が空気を振動させて、その振動が伝わって聞こえたと感じます。
しかし、「幻覚」の場合は、何も音がしていないのに、何かが聞こえたと感じます。
たとえば、誰かが耳元でささやいているように聞こえるなどです。
薬物によってそのような症状がでることもあれば、統合失調症や認知症などの疾患によって症状が出ることもあります。
「幻覚」の使い方
実際には感覚器官が刺激を受けたり、何かがあったりするのではないのに、あるように感じとることについて使用をします。
これは「幻覚」だと本人がわかっていることもあれば、わかっていないこともあります。
「幻覚」を使った例文
・『これは幻覚なのか現実なのかわからない』
・『幻覚を理解してくれない』
・『幻覚で来院する』
・『幻覚かもしれなくて誰にもいえない』
「幻覚」の類語
「空想」「夢想」「妄想」が類語です。
どの言葉にも、本当にはないけれど頭に描かれたものという意味があります。
「幻覚」の対義語
幻ではないという意味で「現実」が対義語です。
「幻視」の意味
「幻視」とは、本当はそこにないはずのものを、あるように感じることです。
今家に一人でいるとします。
家に一人なら、誰かが家にいる様子を見るはずはありません。
それなのに、誰かが家にいると目に見えたように感じたら、それは「幻視」です。
猫が部屋の隅にいる、ネズミが動き回っている、ご飯の上にごまのように黒い虫がたくさんいるなど、生き物が見えることもあります。
また、水が漏れている、花畑が広がっているなど、環境に関するものもあります。
本人が何かいるといっていても、対象を目で捉えて信号が伝わり、脳が認識しているものではないので、他の人には感じ取ることができません。
どのようなものが見えるように感じるのかは、人それぞれ異なります。
しかし、この現象を体験している人の多くは、あまり楽しいものを感じていないようです。
このような症状が出る原因には、薬物によるものや認知症によるものなどがあります。
「幻視」の使い方
本当にはそこにないものを、そこにあるように見えることについて使用をします。
実際にはないので、他の人には見えることはできません。
しかし、霊については使わないことが一般的です。
見える人には見えて、霊は存在しているのか、存在していないのか、はっきりさせることは難しいです。
「幻視」を使った例文
・『幻視で来院した』
・『幻視におびえる』
・『幻視ではないと否定する』
・『幻視に悩んでいる』
「幻視」の類語
「幻影」「幻」が類語です。
「幻影」には、実際にはそこにないのに、そこにあるように見えるものという意味があります。
見え方についてではなく、像のことを指しています。
「幻」とは、目の前にないものをまるで存在するように見えることです。
「幻視」の対義語
本当のことという意味で「現実」が対義語です。
まとめ
どちらの言葉にも本当にはないものという意味が含まれています。
「幻覚」は見えたと感じるもの、聞こえたと感じるもの、触ったと感じるものについてを意味し、「幻視」は見えることについてを意味しています。