この記事では、「複雑」と「煩雑」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「複雑」と「煩雑」の違い
「複雑」とは、事の次第や関係などがいろいろと入り組んでいること、簡単には理解したり、解いたりすることができないことです。
「煩雑」とは、いろいろなものが混ざり合っていて、わずらわしいことです。
どちらの言葉にも、まじる、まざる、入り乱れるという意味を持つ漢字である「雑」が使用されており、2つの言葉には、いろいろなものが入り組むという意味があります。
しかし、同じことを指しているのではありません。
「複雑」の場合は、簡単に理解をしたり、説明できないことを意味しています。
たとえば、嬉しい気持ちとがっかりな気持ちがあるとき、笑顔を作ったらいいのか、がっかりした表情を作ったらいいのか、どうすればいいのか難しいです。
また、嬉しい気持ちとがっかりした気持ちがあるとき、その気持ちを何と表現したらのか説明するのも難しいです。
このような単純ではないことを意味しています。
「煩雑」の場合は、時間や力がかかるという意味を持ています。
できれば避けたい、面倒だという意味合いがある言葉です。
「複雑」と「煩雑」の使い方の違い
事の次第や関係などが込み入っていることについて「複雑」を使用します。
いろいろなものが混ざり合っていて、手間がかかることについて「煩雑」を使用します。
手続きについて同じような場面で使うことがありますが、「煩雑」をいった場合の方が面倒だという意味を強く含んでいます。
「複雑」と「煩雑」の英語表記の違い
「複雑」は英語で“complicated”や“complex”や“intricate”と表現をします。
「煩雑」は英語で“complicated”や“troublesome”と表現をします。
「複雑」の意味
「複雑」とは、事の次第や物事のかかわり合いなどがいろいろと入り組んでいること、単純に説明をしたり理解したりできないことです。
ミシンを使っていると、ときどき下糸がぐちゃぐちゃと絡まり合ってしまうことがあります。
ほどくのは簡単ではありません。
手縫いをしているとき、糸を長くとりすぎると、塗っている最中に糸が絡まってしまうことがあります。
これも、ほどくのは簡単ではありません。
このようにごちゃごちゃとしていて、簡単には解くことができないようなことを意味する言葉です。
濃厚なうまみがあり、野菜のうまみもあり、魚介類の味がしみ出しているけれど臭さがなく、甘味をかすかに感じられる、このような味を一言で何と表現したらいいのか難しいです。
単純ではない味です。
このようなことも意味する言葉です。
被災地のボランティアに参加することになりました。
被災地の人のためになると張り切っています。
しかし、周囲の人からは、足手まといになるだけだといわれてしまいました。
頑張ろうという気持ちがあるのに、周囲から気持ちをくじかれるようなことをいわれると、頑張ったらいいのか、やめた方がいいのか、自分は邪魔なのかなど、何と表現したらいいのか単純ではない気持ちになります。
このような気持ちも表す言葉です。
「複雑」の使い方
事の次第や物事のかかわり合いが入り組んでいること、簡単にこうであると言うことができないことについて使用をします。
世の中には簡単には説明できないことがあふれています。
そのため、さまざまな場面で使用されています。
気持ちについて、手続きについて、表情についてなど、さまざまな使い方ができます。
「複雑」を使った例文
・『子供向けなのに複雑な仕組みだ』
・『複雑すぎて理解できない』
・『複雑な問題を頑張って解く』
・『複雑な心情を描いた物語です』
「複雑」の類語
「煩雑」「厄介」「煩瑣」が類語です。
「厄介」には、手間がかかるという意味があります。
「煩瑣」とは、こまごまとしていて面倒なことで、文章語として使われます。
「複雑」の対義語
すぐにできてしまうような意味を持つ言葉が対義語です。
「簡単」には、何かをするのに動作や作業がかからない、時間がかからないという意味があります。
「単純」とは、いろいろでないことです。
「煩雑」の意味
「煩雑」とは、いろいろなものが混ざり合っていて、面倒なこと、できればかかわりたくないことです。
役所に行って何かの手続きをするとき、提出しなければならない書類がいくつもあったり、身分証明をするために必要なものや印鑑を用意したり、何度も役所に出向いたりなど、いろいろとやらなければならないことがあります。
これらのことを面倒だと感じることもあるでしょう。
そのようなことを指す言葉です。
法定後見制度を利用するためには、家庭裁判所に申し立てをする、審査によって選任されるなど、いくつかの手順があります。
また、家庭裁判所に申し立てをする際には、必要書類を提出する必要もあります。
この書類を書くだけでも、初めての人にとっては大変です。
そして、いろいろなことが込み入っていて面倒です。
単に込み入っていることではなく、面倒だ、できればかかわりたくないという意味を含む言葉です。
「煩雑」の使い方
いろいろなことが混ざり合っていて、面倒だったり、できればかかわりたくなかったりすることについて使用をします。
手続きはいろいろやらなければならないことが多く、面倒なことが珍しくありません。
そのため、手続きに関係することで使われることが多くある言葉です。
簡単ですぐに理解できるようなことや、すぐに成し遂げることができるようなことには使用しません。
「煩雑」を使った例文
・『煩雑な作業だがやらなければならない』
・『煩雑でもあきらめず頑張ってください』
・『煩雑なことだが避けることはできない』
・『煩雑なことを嫌って利用者が少ない』
「煩雑」の類語
「複雑」「厄介」「煩瑣」が類語です。
「煩雑」の対義語
「簡単」「単純」が対義語です。
まとめ
いくつものものが絡まり合っているような意味を持つ言葉ですが、2つの言葉が意味するものは違います。
そのため、似たような使い方がされていても、意味しているものは同じではありません。