メンタルを重視する考え方を意味する言葉に「根性論」と「精神論」がありますが、どのような違いで使い分けられているのでしょうか。
今回は、「根性論」と「精神論」の違いについて解説します。
「根性論」とは?
「根性論」とは、「すべての物事は根性があればうまくいくという考え方」を意味する言葉です。
「根性論」の使い方
「根性論」の「根性」とは「我慢強く苦しみや辛さにひたすら絶えて物事を成し遂げようとする精神」を意味する言葉です。
「根性論」とは「根性こそが一番重要であり成功の源であるという道理」を意味する言葉です。
物事の成功には様々な要素があります。
科学的な合理性や社会的正当性、生理学的な正しさや経済的な優位性など物事を成功させるためには複雑に絡み合う様々な要素を考慮し最適な方法を考える必要があると考えるのが合理的な思考です。
「根性論」とはそのような合理性に基づく結論を無視した暴論です。
どんなことでも根性が一番、根性があればうまくいくと考えるのが「根性論」の基本であり根性以外の要素は軽視されます。
このような根性一辺倒の考え方がおかしいことはまともな考えをする人であればすぐに気づきますが、スポーツ関係者などの間には古くからこのような間違った考えがはびこっています。
研究の進んだ現代では根性一辺倒の「根性論」は廃れつつあるものの古臭い「根性論」が染み付いた指導者は少なくありません。
「根性論」とは科学的な合理性や論理の正当性を無視した誤った考え方ですが人々の間にはびこっている宗教じみた考えです。
「精神論」とは?
「精神論」とは、「物事の実現には精神が重要であるという考え方」を意味する言葉です。
「精神論」の使い方
「精神的な努力や工夫により良い結果が得られる」という考えのことを「精神論」といいます。
「精神論」という言葉は「精神以外の要素も重要なのにそれを無視し精神的なもののみにこだわる考え方」というネガティブな意味合いで使われる表現です。
「精神論」は論理や理屈ではなくこだわりや思想など「精神主義」と表現するほうが理解しやすい偏った考え方の意味で使われています。
本来の「精神論」は「物事における精神的な部分の論理」を指す言葉であり必ずしも他の要素を否定するものではありませんが、現在ではもっぱら「精神こそが重要」という凝り固まった考えを指す言葉として使われています。
「根性論」と「精神論」の違い
「根性論」が苦労や苦難に耐える精神的な強さを意味する根性のみにこだわるのに対し、「精神論」は幅広く精神的な部分を重要視しているという違いがあります。
心の強さややる気だけでなく自分自身をどう考えるか、物事とどのように向き合うのかといった奥深い精神面まで精神的なことを重要視する考え方を総じて「精神論」と表現します。
根性も精神要素のひとつなので「根性論」も「精神論」の一種です。
「根性論」の例文
・『いまどき根性論は流行らない』
・『根性論でうまくいくならどんなに楽だろう』
「精神論」の例文
・『精神論よりも具体的な提案がほしい』
・『話し合いは精神論に終始し徒労に終わった』
まとめ
「根性論」と「精神論」はどちらもあまりいい意味では使われない表現です。
似て非なる言葉なので混同しないように注意してください。