2000年代に入り急速に認知度の上がった「コンプライアンス」と近年それに代わり台頭してきた言葉「アドヒアランス」二つが意味するものとは。
この記事では、「コンプライアンス」と「アドヒアランス」の違いを分かりやすく説明していきます。
「コンプライアンス」とは?
一般的に使われるのは「企業コンプライアンス」でいわゆる法令遵守を指した言葉です。
一般的に耳にするようになったのは2002年の牛肉の原産地表示問題からだと言えるでしょう。
その他にステークホルダーからの依頼・要請の遵守が挙げられます。
しかし「アドヒアランス」と対比する場合には服薬遵守を指す言葉となります。
「アドヒアランス」とは?
「アドヒアランス」は医療現場で使われる言葉になります。
医師と患者がそれぞれ一方的な関係で治療にあたるのではなく、患者自らが治療方針に参与。
そこで決まった事に従って治療することです。
「コンプライアンス」と「アドヒアランス」の違い
「コンプライアンス」が法令遵守など複数の意味合いをもつのに対して「アドヒアランス」は医療の現場でしか使われることはほぼないと言えるでしょう。
医療用語として使われる場合、前者は服薬遵守、もしくは「コンプライアンスの関係」として一方的な治療指導を意味します。
対照的に後者は「アドヒアランスの関係」として相互関係の成り立った同じ方向での治療を意味するのが違うところだと言えるでしょう。
「コンプライアンス」の例文
・『症状が改善しても抗生物質や抗菌剤の「コンプライアンス」は守るべきだ』
・『私たちの会社は「コンプライアンス」重視の経営しています』
前者は「アドヒアランス」との対比で使われるいわゆる服薬「コンプライアンス」を指します。
症状が改善されても抗生物質は定められた期間、規定量を取ることを患者に指導した内容となっています。
後者の例文は「企業コンプライアンス」で使用頻度の高い法令遵守を意味したものとなりました。
「アドヒアランス」の例文
・『薬の副作用のリスクを避けるためにも患者との「アドヒアランス」は重大な役割を果たす』
・『患者中心で医療するためには「アドヒアランス」は欠かせない』
医療現場で発生する諸問題を解決する意味で医師と患者が相互理解・決定を「アドヒアランスの関係」を築く例文となりました。
まとめ
「コンプライアンス」は複数の意味合いを持つ言葉ですが「アドヒアランス」と対比する場合には服薬遵守や一方的な治療で指導していく意味となります。
「アドヒアランス」は近年台頭してきた言葉の一つだと言っていいでしょう。
医師と患者が相互理解、意志疎通をした上で治療方針を決定。
それに従って治療が行われることを指しています。
服薬遵守として同じ言葉で使われることもありますが、そこに至るまでのプロセス・関係性は全く別の意味合いを持つ言葉となりました。