相撲取りの番付を指す言葉として「関取」と「幕下」があります。
天と地ほども違うと言われるこのふたつの番付はどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「関取」と「幕下」の違いについて解説します。
「関取」とは?
「関取」とは、「大相撲の力士のうち幕内と十両の地位にある力士」を意味する言葉です。
大相撲の力士は番付という独自のランキングによって階級が決められています。
番付は最も上の「幕内」から「序の口」までの6つ分けられますが力士のうち「幕内」と「十両」の地位にある力士のことを指して「関取」と呼びます。
「関取」は簡単にいえば「一人前の力士」です。
大相撲は番付によって給料や待遇などがはっきりと分けられますが「関取」は一人前の力士とみなされる階級でありそれ以下の番付とははっきり扱いが異なります。
多くの力士は「関取」を目指して稽古に励みますが大相撲に所属する力士のうち「関取」に上がれるのは1割以下という狭き門です。
「幕下」とは?
「幕下」とは、「大相撲の番付で十両の下、三段目の上に位置する階級」を意味する言葉です。
大相撲の番付で十両の一つ下にあたるのが「幕下」です。
広義では「序の口」「序二段」「三段目」を含む「幕下」よりも下の階級をまとめて「幕下」と呼ぶこともあります。
「幕下」までの力士は成長途中の未熟者扱いです。
「幕下」からの昇進を目指して力士は日々稽古を積み重ねています。
見事に昇進を果たして「幕下」から上に上がる時が力士人生の中で最も嬉しい瞬間だとされています。
「関取」と「幕下」の違い
「関取」と「幕下」は番付では一階級の違いですが天と地ほど扱いが違うと言われるほど全ての面において格差があります。
そもそも「関取」は力士として一人前に扱われますが「幕下」は一人前ではなく見習いなので半人前扱いです。
「関取」には荷物を運んだり世話をしたりする付き人がつきますが、付き人として雑務をこなすのは「幕下」かそれ以下の地位にある力士です。
「関取」は相撲協会から毎月給料が支払われますが「幕下」以下の力士には給料がありません。
2カ月ごとに行われる本場所に出場すると場所手当が支給されますがそれ以外の基本給はなく、衣食住は基本的に所属する部屋持ちなので生活に困ることはありませんが自由に使えるお金は限られます。
力士の特徴であるちょんまげにも違いが見られます。
「関取」は大銀杏と呼ばれる力士独特の形をした髷を結うことを認められますが「幕下」より下の地位にある力士には認められません。
本場所でも「幕下」の力士は普段と同じもっといで結っただけの髷で取り組みを行います。
本場所では髷の他に「まわし」にも違いが見られます。
「関取」が本場所で締めるまわしは絹製のものですが「幕下」のまわしは稽古と同じ木綿製です。
稽古まわしの色も「関取」は白「幕下」は白と決められています。
本場所持「関取」は土俵入りに化粧まわしを締めて参加しますが「幕下」には土俵入りがありません。
化粧まわしは「関取」の象徴でもあり「関取」に昇進するとお祝いとして後援会などが化粧まわしを贈る習慣があります。
まとめ
同じ力士でも「関取」と「幕下」ではまったく扱いが異なります。
普段の相撲中継で観戦する力士のほとんどは「関取」ですがテレビ中継よりも早い時間に「幕下」以下の力士たちが取り組みを行っています。
お相撲さんとあうときに失礼のないようにそれぞれの意味と違いを正確に理解しておきましょう。