この記事では、「遊牧」と「放牧」の違いを分かりやすく説明していきます。
「遊牧」とは?
一つの場所に住みつくのではなく、牛や羊などの家畜とともに水や食料を求めて、移動しながら生活をすることです。
日本人の大部分は一つの決まったところに住んで暮らしています。
家を持ち、そこにずっと住み続けるのです。
ときには引越しをして家が変わりますが、また別の場所で長く過ごすことになります。
しかし、この言葉が指す暮らし方は違います。
一つのところに住む場所を定めることなく、あちこちに移動をするのです。
移動をするのは家畜の食べものや水を求めるためです。
一か所にとどまってしまうと、そこにある草など家畜のエサになるものが食い尽くされてしまいます。
家畜用の配合飼料などありません。
食べるものが必要なので、また別の場所に移動をしていくのです。
家畜は移動先の草などを食べます。
そして、人間は家畜から得られる乳やそれを加工したもの、家畜の肉などを食べています。
家畜は小屋がなくても寝起きできるでしょうが、人間には風雨をしのぐためのものが必要です。
この言葉が指す生活をしている人たちは、テントのように移動できる家を持っています。
一定期間とどまる場所を決めたらそこにテントのようなものを設置し、移動するときにはそれを片付けて持ち運びます。
「遊牧」の言葉の使い方
住む場所を一つのところに決めることがなく、家畜と一緒に移動しながら生活をすることを指して使用をします。
移動しながらの生活でも、家畜とともにではない場合には使用しません。
「放牧」とは?
牛や馬などの家畜を囲ったり、つないだりすることなく、広い場所に放って飼育をすることです。
この言葉は飼育方法を指しています。
日本の場合だと、多くの場合、牛は牛舎の中に入れて飼育をしています。
牛乳のパッケージに広々とした牧草で草を食べる牛の姿が描かれていることがありますが、あのように飼育している農場は多くはありません。
囲われた場所でつながれて飼育されることが一般的です。
この言葉は、こういった囲われた場所での飼育ではなく、広々とした場所に放って飼育することを意味しています。
牛の場合だと、広い場所に放ち、そこに生えている草などをエサにします。
この飼育方法をするためには広い土地が必要です。
広い土地の確保は日本では難しく、またどれくらい食べているかなどを把握することが難しく、乳量の管理が難しいため、日本ではあまり行われていません。
「放牧」の言葉の使い方
囲ったりつないだりしないで、広い場所に放って家畜を育てることに対して使用をします。
「遊牧」と「放牧」の違い
どちらも家畜をつながずに飼育をしていますが、同じことではありません。
前者は移動をしながら生活をします。
後者は生活の仕方のことではなく、家畜の育て方のことで、広い場所に放って育てることを指しています。
まとめ
つながずに家畜を育てている点は似ていますが、それぞれ別のことを指しています。