「バックドラフト」と「フラッシュオーバー」の違いとは?分かりやすく解釈

「バックドラフト」と「フラッシュオーバー」の違い専門用語・業界用語

この記事では、「バックドラフト」「フラッシュオーバー」の違いを分かりやすく説明していきます。

「バックドラフト」とは?

「バックドラフト」とは室内の火災で空気中の酸素濃度が減少した火災現場に、酸素を十分に含んだ空気が流れ込むことで爆発が起きる現象です。

室内火災で酸素が減少すると、不完全燃焼を起こして熱された一酸化炭素のガスが充満します。

酸素が足りないので火は収まっていくのですが、非常に高温ですし火種は残っており、室内に充満している一酸化炭素ガスは可燃性のガスです。

その状態で窓や扉を開けて酸素を供給してしまうと残った火種が燃え、一酸化炭素ガスに引火し爆発し、開けた人が押し戻される、バックしてしまうような気流(ドラフト)が発生します。

それが「バックドラフト」という名前の由来です。

そして引火し爆発した一酸化炭素ガスから周囲へと延焼し、結果的に文字通り爆発的に燃え広がるという現象が「バックドラフト」になります。


「フラッシュオーバー」とは?

「フラッシュオーバー」とは熱分解された可燃性建築材が一気に発火する現象です。

建築材や内装などに使われる一部の素材は、直接火があたっていなくとも熱によって変質、分解され、細かく引火しやすい状態になってしまうことがあります。

そしてそれが可燃性の素材であった場合、細かくなり空気中に舞った可燃性素材が粉塵爆発のように延焼し、爆発的に火災が広まるというのが「フラッシュオーバー」の仕組みです。

「フラッシュオーバー」も家屋内で起こる火災現象ですが、酸素が供給されていて火が強まっている状況で、絶望的な早さで延焼を起こす形で発生します。

そのため閉じきった部屋などではなく、窓や扉が空いている部屋で発生する現象です。


「バックドラフト」と「フラッシュオーバー」の違い

「バックドラフト」「フラッシュオーバー」の違いを、分かりやすく解説します。

酸素が減少した室内に酸素を供給した結果爆発的な延焼を起こすのが「バックドラフト」、内装などに使われた可燃性素材が熱分解され爆発的に炎症するのが「フラッシュオーバー」です。

「バックドラフト」は一酸化炭素ガスに引火することで発生しますが、「フラッシュオーバー」は熱分解され大量の細かい粉塵状になった可燃性素材が引火して発生します。

また「バックドラフト」は閉じきった部屋の扉や窓が開くことで発生しますが、「フラッシュオーバー」は最初から扉や窓が空いている状況で起きるものです。

他にも「バックドラフト」は一旦火が収まりを見せた状態から発生しますが、「フラッシュオーバー」は火が強まっていく中で発生します。

まとめ

「バックドラフト」「フラッシュオーバー」はどちらも室内火災で起きるもの、爆発的に燃え広がる現象という点で共通しているため混同されることが多いです。

しかしその仕組みや実際に起きる状況には大きな差があり、全くの別物と言えます。