似たような意味で混同されやすい言葉として「順当」と「妥当」があります。
このふたつは具体的にどのような違いで使い分けられているのでしょうか。
今回は、「順当」と「妥当」の違いについて解説します。
「順当」とは?
「順当」とは、「順番や流れから考えて当然であること」を意味する言葉です。
「順当」の使い方
ある物事がふさわしいかどうかを考えるとき、前後の流れやこれまでの順番がひとつの基準になります。
過去の先例やこれまでのいきさつ、歴代の並びなど「順番や流れを考慮するとふさわしく当然であると納得がいくこと」を「順当」と表現します。
「順当」でもっとも重要な要素は「順序」です。
法則やルールに従って順序がある場合において「順序を壊すことなく当然であると考えられるもの」を「順当」と表現します。
例えば1、2、3、4、5と数字が並んでいるとき次に来る数字として「順当」なのは「6」です。
このように「客観的に考えて順序を守っている適当なもの」が「順当」であり「9」や「100」など順序として相応しくない規則性や法則性のないものは「順当」ではありません。
「妥当」とは?
「妥当」とは、「おかしなところがなく適当であること」を意味する言葉です。
「妥当」の使い方
一般的に「妥当」という言葉は「反対意見が少なく適当である」ときに用いられます。
客観的に見て無理なところやおかしなところがなく積極的に反対する理由がなくふさわしいと思える状態が「妥当」です。
基本的にはいい意味で使われることが多い「妥当」ですが「積極的に賛成する理由も見つからない」「他の選択肢がなければふさわしい」など打算や妥協のニュアンスを含んで使われることもあります。
「妥当」の「妥」という字には「おだやか」「落ち着いている」という意味合いがあります。
「角が立たない」「丸くおさまる」という意味合いで「妥当」という表現を用いることが多いため、積極的に賛成できず消極的賛成にとどまるようなネガティブな意味で使われることもある言葉です。
「順当」と「妥当」の違い
「順当」と「妥当」の違いは「順序」です。
「順当」は流れや順番など順序から考えて当然であることを意味するのに対し、「妥当」には順序の要素は含まれずあらゆる選択肢や可能性を考慮した上で最もふさわしく反対が少ないものを指します。
選択肢や候補同士の間に優劣の違いがなく前後にも流れがないときは選ぶ基準として順序を用いることができず「順当」という表現は使われず、どの選択肢にもそれなりに反対意見があり角が立つ結果になる場合は「妥当」は使わない言葉です。
「順当」の例文
・『社長の後継者は順当に副社長が選ばれた』
・『順当に行けば4年後に課長に昇進するはずだ』
「妥当」の例文
・『交渉は難航したが最終的には妥当な金額で契約が結ばれた』
・『デビュー戦としては妥当な相手である』
まとめ
「順当」と「妥当」はどちらもふさわしく当然であることを意味する言葉ですが、なぜふさわしいと思えるのかその理由に違いがあります。
似たような言葉でも意味が大きく異なるので使い分けに注意しましょう。