この記事では、「知識」と「常識」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「知識」と「常識」の違い
「知識」と「常識」は、「識」という漢字が使われているところが同じです。
しかしこの二つの言葉には、意味の違いがあります。
「知識」も「常識」も、「知っていること」を表す言葉です。
「知識」は単純に「物事に対する見識や理解」のことを示す語です。
一方「常識」は、「物事に対する見識や理解」の他に「社会一般に広く知られている」という意味が加わります。
「知識」は「知っている内容」ですが、「常識」は「社会通念」のことです。
「知識」と「常識」の使い方の違い
「知識」は「物事について知っていること」です。
「知識がある/知識がない」と用いた場合、その事象に関して「知っていることが多いか、少ないか」を表します。
これに対し、「常識」は「知っていて当たり前の知識」のことです。
「常識がある/常識がない」と使った場合、単に「知っていることが多いか少ないか」という意味だけでなく、「信頼に足る人かどうか」というニュアンスも乗ってきます。
「知識」と「常識」の英語表記の違い
「知識」の英語表記は“knowledge”(ノーリッジ)です。
これは、「経験や学習で得られた知識」という意味です。
「常識」を英語にすると“common sense”(コモンセンス)です。
“common”は「共通の」、“sense”は「感覚」という意味です。
「知識」の意味
「知識」とは、「知っている内容」という意味です。
ある事柄について多くを知っているとき、「知識がある」と言います。
あるいは知らない場合、「知識がない」というふうに使います。
「理解すること」という意味で用いることもあります。
「新しい知識を得る」という使い方をした場合、「新たなことを理解した」という意味です。
また、「知恵」の意味でも使います。
「知識が発達する」などのように使い、「頭がよくなってきた」という意味になります。
この言い方は、心理学や教育学の分野でたびたび用いられます。
「知識」の使い方
前述の通り、「知識」には複数の意味があります。
なので、文脈によってどういった使われ方をしているのか判断する必要があります。
しかし、使い分けは難しくはありません。
基本的には「物事に関して知っている内容」というふうに理解しておけば、問題なく意味の取れる言葉です。
「知識がある」と言う場合、「知っている内容が多い」=「物知り」という意味になります。
「知識を深める」と用いる場合は、「知っている内容が広がる」という意味です。
「知識」を使った例文
・『彼はしばしば知識をひけらかすような発言をするので、周囲からは煙たがられている』
・『先生のご指導のおかげで、よりいっそう知識を深めることができました』
・『僕の知識不足のせいで、彼女に苦労を強いてしまった』
・『老年看護学は彼が卒論で取り扱った分野なので、彼にはその知識がある』
・『このことは予備知識として知っておくといいですね、と先生はアドバイスをくれた』
・『小児の知識発達のために、自由に外で遊ばせることは重要です』
「知識」の類語
「知識」の類語は「学」(がく)です。
「学」は、「学がある」「学がない」などのように用い、それぞれ「学習によって得られる知識のあるなし」を表します。
また、「知見」(ちけん)も類語と考えてよいでしょう。
「知見」とは、「実際に見て経験した知識」のことです。
「知識」の対義語
「知識」の対義語は「無知」(むち)です。
「無知」とは、「何も知らない」という意味です。
「常識」の意味
続いて「常識」の意味について説明します。
「常識」とは、「一般的な知識に基づいた理解力や判断力、知恵」のことです。
人が社会生活を送る上で「当たり前」とされる価値観のことです。
「社会通念」と言い換えることもできます。
「社会一般に広く行き渡っている考え方」のことを「社会通念」と言います。
文化によって「常識」は異なります。
日本では「時間は守らなければならない」という「常識」がありますが、時間に対しておおらかな考え方をする国もあります。
また、「食べ物を残すのはよくないことだ」という「常識」が日本には普及していますが、これと反対に、「食べ物は少しだけ残した方がよい」と考える国もあります。
このように「常識」は、普遍的な価値観ではありません。
「常識」の使い方
「常識」は、「常識がある」「常識がない」などのように使います。
「常識がある人だ」と使われた場合、それは大抵の場合、誉め言葉です。
「分別のあるしっかりした人」という意味になります。
一方、「常識がない人」のように使われた場合、「だらしがない人」や「失礼な人」、「信頼できない人」という意味になります。
「それは常識だ」と用いる場合は、「それは知っていて当然だ」という意味です。
「常識」とは、「一般的に広く知れ渡っている知識のこと」です。
「常識」を使った例文
・『彼女はしばしば常識から外れた行いをして、我々を驚かせる』
・『私は子ども時代を日本で過ごしませんでした。なので、日本の常識に少し疎いところがあります』
・『国や文化によってだけでなく、世代によって常識は異なる』
・『非常識だ、と言われて、私はとても心外な気持ちになりました。私から言わせてもらえば、先生の方が非常識だと思いました』
・『彼の母親は彼女の常識を試すために、あえて二人きりの食事に誘った』
・『留学した時、ルームメイトは私の常識を尊重してくれました。なので私も、彼女の常識を尊重しようと思いました。結果として、私たちはとても仲良くなりました』
「常識」の類語
「常識」の類語は「良識」(りょうしき)です。
「良識」とは、「道徳観念に基づく、健全な考え方や判断力」という意味です。
「客観的に見て当たり前のこと」という意味もあり、「常識」のニュアンスを含んでいます。
また、「俗識」(ぞくしき)も類語です。
「俗識」とは「世俗的な知識」のことで、「世の中の健全な慣わし」という意味です。
「常識」の英語表現をカタカナで言い表した「コモンセンス」も、よく使われる表現なので、覚えておいてよいでしょう。
「常識」の対義語
「常識」の対義語は「非常識」です。
「非常識」とは、「常識から外れた、思慮に欠けたふるまい」のことです。
まとめ
「知識」と「常識」の違いについてまとめました。
「知識」は、「ある物事について知っていること」という意味です。
「常識」は、「社会生活を送る上で当たり前となっている知識や判断力、考え方」です。