この記事では、「意図」と「意思」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「意図」と「意思」の違い
「意図」とは、「何かの行為をしようとする考え」を意味している言葉です。
「意図」と比較して「意思」は、「はっきりした目的のない思考も含め、心の中にある考え・思い」を示しています。
「意図」は「何かを意識的にやる計画・考え」が必ず前提となります。
一方、「意思」は「ある物事に対する計画・意図」を必ずしも前提にしているとは限りません。
「意図」は「これからやろうとしているある物事・内容」に意味の重点があります。
しかし、「意思」のほうは「(必ずしも行為を意図しない)自己の内面にある考え・思い」そのものに意味の中心が置かれている違いを挙げられます。
また「意思」は「意図」にはない、「民法・刑法における法律用語の意味」を持っています。
「意図」と「意思」の使い方の違い
「意図」は、「これからある物事を実行しようとする計画的な考え」を意味して使われます。
「意図」と比べて「意思」は、「ある行為・内容と関連した内面にある思い」を指して使う違いがあります。
例えば、「意図的に時計を遅らせていました(意識してわざと時計を~)」の文章を、「意思的に時計を遅らせていました」に書き換えると意味が通じない文章になるといった違いを挙げることができます。
「意図」と「意思」の英語表記の違い
「意図」を、英語を使って表記すると以下になります。
“intention”……何かを行おうとする意図。
“intent”……何かを計画的にしようとする強い意図。
“intention”よりやや形式的な英語表現です。
“purpose”……ある意図と行為によって実現を目指しているもの。目的。
“be going to do”“intent to do”……~しようと意図する。
“intentionally”“on purpose”……意図的に。意識的に。わざと。「意思」を、英語を用いて表現すると以下になります。
“mind”……内面で何かを考えたり意図したりしている時の心やその状態。
“wish”……~したいと望んでいる心理。希望する意思 “intention”……~をしようと意図している心理。意図する意思。
“will”……~しようと目指している意思。意志と意思を区別する場合は、「意志」の英語になります。
「意図」の意味
「意図(いと)」とは、「特定の事柄をやろうとする考え」を意味しています。
「意図」というのは、「実際の行為の前段階にある計画や考え」のことを指し示しているのです。
「意図」の表現には、「ある行動を動機づけしている狙い・目的」といった意味のニュアンスも備わっています。
「意図」の使い方
「意図」は、「意識的に何かをしようとしている考え」を意味して使うという使い方になります。
また「意図」の使い方として、「ある行動の狙いとしているところ」を示して使うこともできます。
「意図」は、「意図する・意図しない」という動詞としても使用することが可能です。
例えば、「意図しない悪い結果につながってしまいました」などの例文で「意図」が使われます。
「意図」を使った例文
・『彼女がどういった意図でそのような内容の手紙を送ってきたのか見当もつきません。』
・『将棋という知的なボードゲームは、対戦相手の意図をお互いに深く読み合いながら進んでいきます。』
・『すぐに嘘だと分かる稚拙な嘘をついた彼の意図はどこにあったのでしょうか。』
・『意図的に他人のアカウントに侵入したのであれば、不正アクセス禁止法に抵触する恐れがあります。』
・『私どもの商品で、このような健康被害が出ることを意図していたわけではございません。』
「意図」の類語
「意図」の類語には、以下の言葉があります。
・『計画(けいかく)』……事前にある物事をしようと思って予定を立てること。
・『作為(さくい)』……わざと何かをするさま。意図的に行為すること。
・『企図(きと)』……前もって何かを企んで計画すること。
「意図」の対義語
「意図」の対義語には、以下の言葉があります。
・『偶発(ぐうはつ)』……意図して(わざと)したことではなく、偶然に生じたこと。
・『不本意(ふほんい)』……本意ではないこと。元々考えていた事柄とは異なっているさま。
「意思」の意味
「意思(いし)」とは、「内面世界で思い浮かべることができる考え・思い」を意味しています。
「意思」の言葉は、「ある行為を実際にしようとする時に前提となる心持ち・考え・意図」を示唆しているのです。
「意思」には、「身体的な行為を生み出す心理作用・事実に働きかけようとする心的要素」を意味する民法の意味もあります。
また「自分がやろうとしたことに対する認識」を指す、刑法の法律用語の意味も持っています。
「意思」の使い方
「意思」の言葉は、「心の中に思い浮かべることができる心的な内容」を意味して使うことができます。
「意思」というのは、「ある物事を行う際の基盤にある心的状態」を指して使われる表現なのです。
また「自分が何をしているのか分かっていること」を意味する刑法の法律用語、「実際の行動の要因となる心理作用」を示唆する民法の用語としても使われています。
「意思」を使った例文
・『メンタルトレーニングで意思の強さを鍛えていないと、一流のアスリートにはなれません。』
・『彼は幼児期から意志薄弱で物静かだったので、いじめの標的になりやすかったのです。』
・『社会問題について、どのような認識や意見を持っているのかの意思を明らかにすべきです。』
・『付き合い続けるにしても別れるにしても、僕は彼女の意思を尊重するつもりでいます。』
・『この重要な株主総会に参加するのか否か、あなたの意思をはっきりと表明してください。』
「意思」の類語
「意思」の類語には、以下の言葉があります。
・『意志(いし)』……何かをしたいという強い考え・明確な意向を示している言葉です。意思よりも意志のほうが、意図・目的志向が強くなります。
・『考え(かんがえ)』……思考によって、心の中に思い浮かべることができる内容。
・『自制心(じせいしん)』……自分で自分の心身を適切に制御することができる精神力。
「意思」の対義語
「意思」は「内面世界にあるその人の考え・思い」を意味している言葉です。
それと反対の意味は想定できないため、「意思」の対義語はありません。
まとめ
「意図」と「意思」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「意図」と「意思」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しく調べたい時は、この記事の解説をチェックしてみてください。