この記事では、室町時代の高利貸し「土倉」と「酒屋」の違いを分かりやすく説明していきます。
「土倉」とは?
「土倉」とは現在でいう質屋のような高利貸しを指します。
元々裕福な僧侶などが金銭を貸し付け寺社の権威でもって返済を迫るという金融業をしていましたが、それでも貸した金が返ってこないこともあるので担保を預かるようにしたのが土倉です。
土倉は文字通り土で壁が作られている蔵であり、担保に見合った金額を貸し預かった担保はその蔵に保管するという形式だったので土倉と言います。
鎌倉時代に発生し室町時代に流行った、質屋の先祖と言えるでしょう。
「酒屋」とは?
「酒屋」とは酒造りを本職にしていた高利貸しです。
室町時代でもお酒は非常に人気の高い嗜好品であり、そのお酒を作る酒造業はとても儲かる仕事でした。
そして儲かっている酒蔵がそれを元手に副業として他の事業にも手を出すようになりましたが、その中の一つが金融業です。
担保無しでの高利貸しをしていた酒屋もありましたがそれだと返済されないこともあったので土倉を建てて質屋として金を貸す酒屋もいました。
室町時代の高利貸し「土倉」と「酒屋」の違い
「土倉」と「酒屋」の違いを、分かりやすく解説します。
担保を預かりそれに見合った金額を貸す現在でいう質屋が「土倉」で、酒造りを本職にしていてその儲けで副業として金貸しをしている人が「酒屋」です。
土倉は金融業としての仕組みから来ている言葉で、酒屋は高利貸しをしている人の職業に由来する言葉になります。
まとめ
今でいう質屋を指すのが「土倉」で、本職が酒造りで副業として高利貸しをしている人が「酒屋」ですが、これはそれぞれ金貸しの仕組みと金を貸す人を指す言葉でもあります。
そのため土倉と酒屋は完全に別物というわけではなく、本職は酒造りの酒屋だけれど担保を保管するための蔵を建てて土倉を営むという、両方に当てはまる高利貸しも存在しました。