この記事では、「不潔」と「不衛生」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「不潔」と「不衛生」の違い
「不潔」には2つの意味があります。
1つめは、汚れていること、健康を守り病気を予防するのに適していない環境・状態です。
もう一つは性に関してふしだらなこと、純粋さが失われていること、道徳的でないことです。
「不衛生」とは、健康を守り病気を予防するのに適していない環境・状態のことです。
どちらの言葉も、打消しの意味を持つ「不」が使用されており、~でないことを指しています。
「不潔」は、衛生的でないこと、純粋でないこと、道徳的でないことです。
衛生的は物についていい、純粋・道徳的は心の状態についていいます。
「不衛生」は衛生的でないことです。
汚れた手を洗わない、洗ったり消毒したりせずにマスクを繰り返し使うなどは、衛生的でない、つまり「不衛生」なことです。
健康を守り病気を予防するのに適していない環境・状態という意味が、「不潔」と「不衛生」では共通しています。
物理的なことについての意味です。
「不潔」は、みだらでけがらわしいという、心の面での意味も持っています。
しかし「不衛生」には心の面の意味はありません。
この点に違いがあります。
「不潔」と「不衛生」の使い方の違い
衛生的でないという意味で、どちらの言葉も使われています。
手を洗わない、ゴミを捨てないなど、物理的なことについていいます。
「不潔」は道徳的でない、けがらわしいという意味で、心の面についても使われます。
「不潔」と「不衛生」の英語表記の違い
「不潔」は英語で、汚れているという意味で“uncleanliness”や“dirtiness”と表現をします。
「不衛生」は英語で“unsanitary”と表現をします。
「不潔」の意味
「不潔」には2つの意味があります。
1つめは、健康を守り病気を防ぐために適していない環境・状態、また汚れていることです。
感染症の原因は、ウイルス・カビ・細菌などだと考えられています。
これらの繁殖を防ぐためには、汚れがない状態を保つことが大切です。
こまめに換気をする、洗濯をする、掃除をする、手を洗うなどすることで、汚れの少ない状態を保つことができます。
こういった行為を怠ると、汚れがたまった状態になります。
その状態を「不潔」といいます。
見た目が汚れた感じがすることも意味しています。
たとえば服装のことでいうと、衣服に汚れがついている、アイロンをかけておらずシワがついている、毛玉がたくさんついているといった状態は、汚れた印象を与えます。
衣服にシワがついていても、健康を損ねたり病気になったりすることはないでしょう。
「不潔」は、病気になったりするほどではない汚れのことも指しているのです。
もう一つの意味は、性に関してふしだらなこと、純粋さが失われていること、道徳的でないことです。
これらは心の面のことを指しています。
たとえば、誰かれかまわず性行為をする、場所をわきまえずに性的なことを話すなどは、「不潔」だといえるでしょう。
「不潔」の使い方
汚れがある、衛生的でないという意味では、物質について使用をします。
汚れた手を洗わない、使った食器を洗わない、手を洗わずに食品を扱うこと、頭皮のフケなどは、汚れた印象を与えます。
健康を守り病気を防ぐために適していない環境・状態という意味を持っていますが、頭にフケがついていても病気になることは滅多にないでしょう。
「不潔」は、病気になるほどではない汚れのことも指して使用されます。
「不潔」を使った例文
・『洗わずに何度もマスクを使っていて不潔だ』
・『直接手で食品を触って不潔だ』
・『髪の毛を不潔なまま放置していると頭皮にダメージを与える』
・『口臭がひどくて不潔な印象を受ける』
「不潔」の類語
「不衛生」「不浄」が類語です。
「不浄」には、けがれていること、月経、大小便という意味があります。
「不潔」の対義語
「清潔」が対義語です。
汚れがないという意味です。
「不衛生」の意味
「不衛生」とは、健康を保ったり、病気を防いだりするのに、適していない環境・状態のことです。
布でできたぬいぐるみ型の犬のおもちゃがあります。
犬は口で噛んでおもちゃで遊ぶので、おもちゃは濡れた状態になります。
濡れた布を放置しておくと、カビや細菌などが繁殖をします。
カビや細菌は病気の原因になります。
また、長期間おもちゃを洗わずにいると、ホコリが蓄積をします。
ホコリが付着しているおもちゃを犬が噛めば、ホコリを体内に取り込んでしまうことでしょう。
これは健康面にあまりよくありません。
犬が噛んだおもちゃを長期間洗わずにいると、カビ・細菌・ホコリなどで汚れてきて、それを使用すると健康を損なう恐れがあります。
こういった状態を「不衛生」といいます。
トイレブラシには、約8億個の細菌が棲んでいるといわれています。
これは、下水道レベルの細菌数です。
下水道の水で手を洗ったり、飲んだりはしないでしょう。
それは、汚れていて健康を損ねると知っているからです。
それと同じくらい、トイレブラシは汚れているのです。
このように細菌が多く棲みつくトイレブラシは「不衛生」といえます。
「不衛生」の使い方
物質が汚れている状態を指して使用をします。
健康を守ったり、病気を防いだりするのに適していないような汚れのことを指しています。
「不衛生」が意味する汚れは、目で見えるものだけではありません。
細菌やウイルスは肉眼で見ることができないものです。
これらが繁殖をすると健康を損ねる恐れがあります。
「不衛生」を使った例文
・『食器を片付けないで不衛生だ』
・『ゴキブリが棲みついていて不衛生』
・『不衛生な感じがして使いたくない』
・『不衛生になりやすい』
「不衛生」の類語
「不潔」「不浄」が類語です。
「不衛生」の対義語
「清潔」が対義語です。
まとめ
2つの言葉は、衛生的でないという意味が共通しています。
健康を保ったり、病気を防いだりするのに、適していない状態のことを指しています。
「不浄」には心の状態の意味もありますが、その意味は「不衛生」にはない点が、2つの言葉の違いです。