この記事では、「謎」と「不思議」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「謎」と「不思議」の違い
「謎」には3つの意味があります。
1つめは、なぞなぞのことです。
2つめは、直接的な表現を避けて、それとなく気づいてもらおうとすることです。
3つめは、常識では説明することが難しく、内容や実態などがはっきりしない事柄です。
「不思議」とは、自分の知っていることや判断する力では説明がつかないことです。
「謎」の3つめの意味と「不思議」の意味は似ており、どちらの言葉も、はっきりしないことという意味を持っています。
しかし、ややニュアンスに違いがあります。
「謎」は、調べてみても正体がわからない、調べてみることが難しいというニュアンスを含んでいます。
一方「不思議」は、調べてみるというニュアンスはありません。
自分の知識や理性では、物事をつかむことができない、思い描くことができないといった意味合いを持っています。
また「謎」には、それとなく気づいてもらおうとすることという意味がありますが、この意味は「不思議」にはありません。
「謎」と「不思議」の使い方の違い
実態をつかむことができないという意味で、どちらの言葉も使われます。
たとえば「宇宙の謎」「宇宙の不思議」といった使い方です。
宇宙のことは調べられていますが、まだまだすべてがわかったわけではありません。
宇宙の実態はつかめていないのです。
「謎」には、なぞなぞという意味と、遠回しに表現して気づかせようとするという意味もあり、この意味での使い方もあります。
「不思議」には、この意味はなく、なぞなぞのことを指して使用したり、気づかせようとすることを指して使用したりはしません。
「謎」と「不思議」の英語表記の違い
「謎」は英語で、なぞなぞの意味では“riddle”、遠回しに言って気づかせようとする意味では“hint”、正体がわからない意味では“mystery”と表現をします。
「不思議」は英語で“strange”や“mysterious”や“odd”などと表現をします。
「謎」の意味
「謎」には3つの意味があります。
1つめは、なぞなぞのことです。
なぞなぞとは、知識を必要とする問題を出して相手に答えさせることです。
言葉遊びの一つとされています。
2つめは、直接的な表現を避けて、相手にそれとなく気づかせようとすることです。
日本人は直接的な表現を避ける傾向があります。
たとえば、窓を開けて欲しいときに、「窓を開けてください」と直接いわず、「今日は暑いですね」といって窓を開けて欲しいことをそれとなく伝えたりします。
これが、直接的な表現を避けて、相手にそれとなく気づかせようとする方法です。
窓の例だと、何を伝えたいのかだいたいわかりますが、「謎」は何を伝えたいのかわからないことを意味しています。
3つめは、調べてみても内容や正体などを明らかにならないです。
事件には「謎」が潜んでいます。
たとえば、密室でどのように殺人が行われたのか、どうやって毒入り飲料を飲ませたのか、どうして地面に大きな穴が開いたのかなどです。
調べてみても解決していない事件があります。
こういった、調べてみてもはっきりしないことを意味する言葉です。
「謎」の使い方
なぞなぞの意味では、「謎」というよりも「なぞなぞ」と言うことが多いです。
「謎」とい言葉は、2つめの意味や3つめの意味で使われています。
2つめの意味では、「謎の多い発言だ」のような使い方をします。
3つめの意味では、「事件は謎に包まれている」のような使い方をします。
「謎」を使った例文
・『謎の多い人物だ』
・『主人公が謎を解き明かす物語』
・『謎の組織によって暗殺された』
・『謎の青年と出会う』
「謎」の類語
「ミステリー」が類語です。
調べてみても内容や正体がはっきりしないという意味があります。
「謎」の対義語
はっきりしているという意味を持つ言葉が対義語で、それは「明らか」です。
「不思議」の意味
「不思議」とは、一般常識や自分の知識や理性では説明がつかないこと、想像もできないことです。
ルイス・キャロルの作品に『不思議の国のアリス』があります。
この小説の中で、少女・アリスは数多くの「不思議」な体験をします。
その一例をあげると、服を着たウサギが2本脚で歩いている、ケーキを食べて体が大きくなる、自分よりも大きなイモムシに出会うなどです。
これらの現象がもし現実世界で起こったら、知識や理性では説明できません。
このような現実世界ではありえないようなことだけでなく、単に普通ではないという意味も「不思議」にはあります。
たとえば、普段は黒い衣服に身を包んでいた人が、突然ピンク色の衣服で身を包んだら「不思議」に思うことでしょう。
自分では考えもできないことです。
このようなことは小説の中だけでなく、現実の世界でも起こっています。
「不思議」の使い方
自分では理解できない、考えられない、想像できないという意味で使用をします。
日常のことにも、小説のような架空の世界のことにも、自然現象のことにも使うことが可能です。
自分の知識や理性では理解できないことを意味している言葉で、自分にとっては「不思議」でも、他の人にとってはそうでないことがあります。
それでも、自分が「不思議」だと思えば使える言葉です。
「不思議」を使った例文
・『不思議なオーラを出している』
・『猫が不思議な行動をとっている』
・『不思議なものを見た』
・『不思議な香りがする』
「不思議」の類語
「妙」「奇怪」「奇異」が類語です。
「妙」には、何ともいえない美しさ、普通とは異なって素晴らしいという意味があります。
「奇怪」は、普通では考えられないくらい怪しくて理解できないことです。
「奇異」は、普通とは大きくかけはなれていて怪しいことです。
「不思議」の対義語
「普通」が対義語です。
まとめ
自分には想像もつかないこと、知識や理性では説明がつかないことという意味が、2つの言葉の似ている点です。
「謎」には複数の意味があり、それらの意味は「不思議」にはない点が違いです。