この記事では、「利用」と「活用」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「利用」と「活用」の違い
「利用」には、2つの意味があります。
1つめは、物や施設などをそれが持つ機能を十分に発揮させて、あるいはその範囲を広げて、役に立つように用いることです。
もう一つは、都合がよいように権利、人、立場などを使うことです。
「活用」にも2つの意味があります。
1つめは、人や物が持っている機能や力を十分に発揮させて、利益を得られるように使うことです。
もう一つは文法のことで、語の使い方によって語形が変わることです。
何かを使うという点で、2つの言葉は意味が似ています。
しかし、言葉の使われ方が違い、意味合いも若干違います。
「利用」は単に使うことだけを指しているのですが、「活用」は使って利益を得られるようにすることを指しています。
無線LANを使える喫茶店が増えてきました。
喫茶店で仕事をする人は、無線LANを使っていることでしょう。
これは、無線LANが本来持っている機能を十分に役立てているということができます。
これが「利用」です。
パソコンやスマホなどを使っていろいろな情報を調べると、知識を増やすことができます。
知識は持っているだけでは役に立ちません。
知識は使ってこそ、自分の利益になるのです。
持っている知識を使って自分の利益になるようにすることは、知識を「活用」するといいます。
「利用」と「活用」の使い方の違い
どちらの言葉も何かを用いることに使用します。
物や施設などが持っている機能を十分に発揮させることは「利用」といいます。
物などが持っている機能を発揮させて、自分の利益になるようにすることは「活用」といいます。
「利用」と「活用」の英語表記の違い
「利用」は英語で、役立たせる意味では“utilization”や“use”と表現をし、自分の都合がよいように使う意味では“exploit”と表現をします。
「活用」は英語で、用いる意味では“practical use”や“application”と表現をし、文法の語形変化の意味では“conjugation”と表現をします。
「利用」の意味
「利用」には、2つの意味があります。
1つめは、物や施設などが本来持っている機能を十分に発揮させたり、拡張したりして用いることです。
電車通勤している人は、電車を「利用」しています。
平日は毎日電車に乗って仕事に向かっている方は少なくないことでしょう。
電車の機能は、人を乗せて目的地にまで運ぶことです。
電車に乗っている人は、この機能を十分に用いているといえます。
駅の近くには喫茶店が集まっています。
仕事前に喫茶店に立ち寄って、コーヒーを飲んだり、モーニングを食べたりしている人もいることでしょう。
これは、喫茶店を「利用」しているといえます。
喫茶店は、飲み物や食べ物を提供するところです。
使っている人は、その機能を十分に用いています。
もう一つの意味は、自分にとって具合がよいように、権利、立場、人などを使うことです。
職場で自分より上の立場の人や要領がいい人は、これをやっています。
本来は自分がやらなければならない仕事なのに、別の人に押し付ける人がときどきいます。
仕事を押し付けている人は、自分にとって具合がよいように別の人を使っているといえます。
このようなさまを意味する言葉です。
「利用」の使い方
何かを用いることに使用します。
物には、その物が本来持っている機能があります。
この言葉は物などが持っている機能を十分に発揮させて使うことを意味しています。
上手く使えていないことには、あまり使用をしない言葉です。
「利用」を使った例文
・『自動販売機の利用者が急増する』
・『ケガをして歩けないので車椅子を利用している』
・『1日1時間までなら利用可能です』
・『また利用したいお店』
「利用」の類語
「活用」「運用」が類語です。
「運用」には、物が持っている機能をうまく使うという意味があります。
「利用」の対義語
ありません。
「活用」の意味
「活用」には、2つの意味があります。
1つめは、物や人がもともと持っている働きや何かを成し遂げる力を、役に立つように使うことです。
読書をするとたくさんの知識を得ることができます。
しかし、知識を持っているだけでは役に立っていません。
得た知識を自分のために使えば「活用」しているといえます。
たとえば、ガスコンロの掃除にはアルコールを使うといいですよ、という情報を本から得たとします。
知っているだけでは役に立ちません。
実際にガスコンロを掃除するときにアルコールを使ってみてきれいになれば、知識が役に立ったことになります。
このような、何かが持っている力を十分に発揮させて、その力を自分にとって役に立たせることを意味している言葉です。
もう一つの意味は、文法で後に続く言葉や文中での使われ方によって語形が変わることです。
動詞、形容詞、形容動詞にあります。
「わたす」という動詞で考えてみます。
否定を表すときには、「ない」をつけた形に「活用」されて「わたさない」になります。
過去を表すときには、「た」をつけた形に「活用」されて「わたした」になります。
このような変化を意味しています。
「活用」の使い方
日常的には1つめの意味で使われることが多いです。
物などが持っている機能や力を十分に発揮させて、自分が利益を得られるようにすることをいいます。
文法の意味は、学校などで学習するときに主に使われます。
普段の会話で語を「活用」しているのですが、そのことを意識せずに日本人は日本語を使っています。
「活用」を使った例文
・『冷蔵庫の中の残り物を活用する』
・『通販を活用して安く購入する』
・『隙間時間を有効に活用する』
・『資源を有効活用する取り組みがされています』
「活用」の類語
「利用」「運用」が類語です。
「活用」の対義語
ありません。
まとめ
用いるという意味が似ている2つの言葉ですが、うまく使うこと、うまく使ってさらに自分の利益にすること、という点で意味が違います。