この記事では、「夢中」と「熱中」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「夢中」と「熱中」の違い
「夢中」には、3つの意味があります。
1つめは、物事に心を傾けて、他のことを忘れてしまう状態のことです。
2つめは、夢を見ている間です。
3つめは、正気を失うことです。
「熱中」とは、ある物事に深く心を傾けることです。
「夢中」には複数の意味がありますが、その中にある物事に心を傾けて他のことを忘れてしまう状態という意味と、「熱中」の意味が似ています。
しかし、やや意味合いが異なります。
どちらの言葉にも、ある物事に心を傾けるという意味が含まれていますが、「夢中」には他のことを忘れてしまうという意味も含まれています。
たとえば、プラモデルを作ることが好きな人は、プラモデルを作っている間は我も忘れてしまっているのではないでしょうか。
そのような状態が「夢中」です。
好きなことをしていると、時間があっという間に過ぎてしまいます。
周囲の音が聞こえなくなることもあります。
時間が経つことも忘れるくらい、周りの音が気にならなくなるくらい、物事に心を注ぎ込んでいるのです。
他のことを忘れてしまうくらい心を傾けることなので、一定の時間「夢中」になっていることになります。
毎日毎日休むことなく「夢中」になっているのは難しいです。
切手収集を趣味にしていたとします。
切手収集に心を傾けている状態といえますが、常に切手のことを考えていて我を忘れてしまうわけではなく、我を忘れてしまうような状態になるのは、切手を整理しているときなど一定の時間です。
一方、「熱中」の場合は他のことを忘れるほどという意味は含まれていません。
「夢中」に比べると、熱を持っている状態である意味が含まれています。
「夢中」と「熱中」の使い方の違い
どちらの言葉も、ある物事に心を傾けることに使用します。
「夢中」は他のことを忘れてしまうほどというニュアンスがあり、「熱中」は熱を持っている、つまり心が高ぶっているというニュアンスがあります。
また、「夢中」には夢を見ている間、正気を失うこととい意味もあり、この意味でも使われます。
「夢中」と「熱中」の英語表記の違い
「夢中」は英語で“crazy”や“engrossment”と表現をします。
「熱中」は英語で“enthusiasm”と表現をします。
「夢中」の意味
「夢中」には、3つの意味があります。
1つめは、ある物事に心を傾けて、他のことを忘れること、またそのさまです。
犬を飼っている人なら経験したことがあると思いますが、エサの時間になるとうれしそうに飼い主のもとにやってきて、「早くご飯をくれ」といった状態になります。
そして、エサを差し出すと他のことに見向きもせずにエサを食べます。
飼い主が近くにいることも忘れてしまっているようです。
エサ以外のことは見えておらず、エサを食べることだけに集中をしています。
あのような状態が「夢中」です。
エサを食べることだけに心を傾けており、他のことは忘れてしまっているような状態です。
好きなアニメを見ている子どもは、親が話しかけてもまるで聞いていないような状態になります。
アニメにだけ心を傾けており、他のことを忘れてしまっています。
あのような状態も「夢中」です。
2つめの意味は、夢を見ている間です。
「夢」という漢字には、ゆめという意味があり、「中」という漢字には、その間ずっとという意味があります。
「夢」とは、寝ている間に見る像のことです。
寝ている間に見るあの夢を見ている間のことという意味になります。
3つめの意味は、正気を失うことです。
「正気」には、正常な心、確かな意志という意味があります。
「夢中」の使い方
「夢中」には3つの意味がありますが、もっともよく用いられている意味は、ある物事に心を傾けて、他のことを忘れてしまうことです。
ある事に集中をしていると、他のことを一切忘れてしまうことがあります。
呼びかけられてもすぐに気がつかないこともあります。
そのような状態を指して使用します。
「夢中」を使った例文
・『夢中になっておもちゃで遊んでいる』
・『ゲームに夢中になっている』
・『夢中で本を読んでいたら朝になっていた』
・『夢中になると話を聞いてくれない』
「夢中」の類語
「無我夢中」が類語です。
「夢中」を強めたいい方です。
「夢中」の対義語
「冷淡」が対義語です。
物事に熱心でない、興味関心を示さないという意味があります。
「熱中」の意味
「熱中」とは、ある物事に深く心を傾けることです。
「熱」という漢字には、あつい、心を打ち込むという意味があり、「熱中」という言葉には心が高ぶる、心が熱くなるという意味合いがあります。
「傾ける」とは、注意や力をそちらの方に向ける、物事に集中をするという意味です。
受験勉強をしているとき、他のことは頭になかったのではないでしょうか。
ゲームをしたくても、テレビを見たくても、それらに力を向けることはなく、勉強にだけ力を向けていたはずです。
勉強という物事に集中している状態です。
このように、ある物事に注意や力を向ける、集中をする状態が「熱中」です。
「熱中」の使い方
ある物事に心を傾けることについて使用をします。
心が高ぶっている状態の意味も含みます。
切手収集に「熱中」しているとき、切手にかかわることをしているときには、心が熱くなっていることでしょう。
つまらないなという気持ちではないはずです。
また、切手収集ということに深く注意が向ているはずです。
こういった状態を指して使用をします。
「熱中」を使った例文
・『熱中し過ぎて疲れないように気をつけて』
・『かつて熱中していた趣味をまたはじめた』
・『映画作りに熱中する大学生』
・『熱中ぶりがすごい』
「熱中」の類語
「熱狂」が類語です。
熱中をしていて、非常に興奮している状態のことです。
「熱中」よりも心が高ぶっています。
「熱中」の対義語
「冷淡」が対義語です。
まとめ
どちらの言葉にも、物事に心を傾けるという意味があり、ほぼ同じ意味を持つ言葉です。
しかし「夢中」は他のことを忘れるという意味が含まれており、また「夢中」にはその他の意味がある点が「熱中」とは違います。