この記事では、「増す」と「増える」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「増す」と「増える」の違い
「増す」には、2つの意味があります。
1つめは、物や事柄の数や量、程度が多くなることです。
もう一つは、物や事柄の数や量、程度を多くすることです。
「多くなる」「多くする」という点に、1つめと2つめの意味の違いがあります。
「増える」とは、物や事柄の数や量が多くなることです。
どちらの言葉にも「増」という漢字が使用されていますが、読み方は異なり、「増す」は「ます」、「増える」は「増える」と読みます。
2つの言葉は、物や事柄の数や量が多くなるという意味が同じです。
たとえば、雨が降ると川の水が多くなりますが、川の水が多くなることをどちらの言葉でも表すことができます。
2つの言葉で違う点は、「増す」には程度についての意味もある点です。
「秋になると食欲が増す」などが、程度が増えることを意味しています。
程度が増える、程度を増やす意味を持っている点が違います。
もう一方の言葉には、程度が多くなる意味はありません。
「増す」と「増える」の使い方の違い
どちらの言葉も、物や事柄の数や量が多くなるという意味で使用をします。
「増す」の場合は、「水かさが増す」のように「が」をともなうと多くなる意味になります。
「速度を増す」のように「を」をともなうと多くする意味になります。
「増える」の場合は、「人口が増える」のように「が」をともなって使用をします。
「人口を増える」のように「を」をともなうことはありません。
「増す」と「増える」の英語表記の違い
「増す」は英語で、数、量、程度が多くなる意味では“increase”と表現を、数、量、程度を多くする意味では“increase”や“add”と表現をします。
「増える」は英語で“increase”と表現をします。
「増す」の意味
「増す」には、2つの意味があります。
1つめは、物や事柄の数・量や程度が多くなることです。
スイーツバイキングに行くと、チーズケーキ、ショートケーキ、マカロン、チョコレート、アイスクリームなどさまざまなスイーツがあり、あれもこれも食べたくなります。
もとをとろうという意識もあり、つい食べ過ぎてしまいます。
食べ過ぎると翌日体重に影響が出ます。
多くの場合、食べる前よりも食べた後の方が体重が重くなっていることでしょう。
これは、体重という量としてはかれるものが多くなっているということができます。
夏になると暑さのためなのか食欲が落ちますが、秋になって涼しくなったり、おいしいものがたくさん出てきたりすると、食欲が夏に比べて出てきます。
これは程度が多くなるということができます。
こうのような、数、量、程度が多くなることを意味している言葉です。
もう一つの意味は、物や事柄の数・量や程度を多くすることです。
仕事などで人手が足りないとき、人員を多くすることがあります。
これは、数を多くしているといえます。
アイスクリームは、冷たいときよりも温かくした方が甘味を多く感じることができます。
冷たいアイスを温めて甘さを強くすることは、甘味を多くしているといえます。
これは程度についてです。
このような、数、量、程度を多くすることを意味しています。
「増す」の使い方
物や事柄の数・量や程度が多くなる、多くすることについて使用をします。
多くなるの意味では、「水かさが増す」のように「が」をともないます。
「体重が増す」「水かさが増す」などは、そうしたくて多くなっているのではなく、そうしたいわけではないけれど多くなる事柄に使われることがよくあります。
多くするの意味では、「人員を増す」のように「を」をともないます。
多くしようと思ってて多くしている場合も、多くしようとは思っていなかったけれど、結果的に多くなることにも使用されます。
「増す」を使った例文
・『海外でも注目度が増す』
・『雪が厚みを増す』
・『完熟させることで甘味が増す』
・『今後、ますます重要度が増すことでしょう』
「増す」の類語
「増える」「増やす」が類語です。
「増す」の対義語
「減る」「減らす」が対義語です。
「増える」の意味
「増える」とは、物や事柄の数や量が多くなることです。
本好きな人は、気になった本があるとつい購入してしまうことでしょう。
毎日のように本は出版されているので、気になる本はどんどん出てきます。
そして、気になるものが出版されるたびに、また購入をするのです。
こうして、自宅にある本はどんどんと数が多くなっていきます。
町の開発が進んだり、注目されるようになったりすると、その町の人口が多くなることがあります。
また、出生率が高くなることでも人口が多くなります。
たとえば、去年は5万人だったものが、今年は5万2000千人になったなどです。
これは、人の数が多くなっているということができます。
このような、数や量が多くなることを意味する言葉です。
「増える」の使い方
物や事柄の数が多くなることについて使用をします。
「多くする」ではなく「多くなる」です。
「体重が増える」のように「が」をともない使用されます。
「体重を増える」と「を」を使用すると違和感があります。
物や事柄について使用する言葉で、動植物など生物については、読みが同じでも別の漢字で表現されることが一般的です。
そのため、動物が子どもを産んで個体数が多くなる、植物の細胞が多くなるなどには、この漢字では使用しません。
「増える」を使った例文
・『明日ケーキバイキングに行くから体重が増えるだろうな』
・『公園で過ごす時間が増える』
・『今後は暑い日が増える可能性があります』
・『夫婦共働き世帯が増える』
「増える」の類語
「増す」「増やす」が類語です。
「増える」の対義語
「減る」が対義語です。
まとめ
同じ漢字を使用していますが、読み方は異なります。
意味は、共通する部分があり、同じように使用することが可能です。
しかし、程度については「増す」を使用し、「増える」は使用しません。
この点に違いがあります。