この記事では、「前進」と「進歩」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「前進」と「進歩」の違い
「前進」には、2つの意味があります。
1つめは、前の方に動いていくことです。
物事が好ましい状態に変わっていくことです。
「進歩」にも、2つの意味があります。
1つめは、物事が好ましい方に状態に変わっていくことです。
もう一つは、前の方に進むことです。
2つの言葉は、前の方に進むことという意味で同じです。
もう一つの意味もほぼ同じことを指していますが、やや違う点があります。
「前進」の場合は、能力、問題の解決、計画の進行具合、試合の進み具合などについてを指しています。
たとえば、トーナメント戦で1戦目で勝って2戦目に進むなどです。
「進歩」の場合は、技術、学問、文化などが、これまでよりも進んだ状態になることを指しています。
たとえば、数十年前は洗濯板を使って洗濯物を洗っていましたが、現在は洗濯機を使って洗濯物を洗うことが一般的です。
これは、技術面がよい方向に進んでいったからです。
「前進」と「進歩」の使い方の違い
前の方に動いていくことについては、どちらの言葉も同じように使用可能です。
今まっすぐに立っています。
その位置から右足を前に出し、左足を前に出しました。
こうすると、さっきよりも前の方に動くことができます。
こういった動きに使用をします。
物事が好ましい状態に変わっていくことについては、「前進」は能力、計画、問題の解決などに使うことが多いく、「進歩」は技術、学問、文化について使用をします。
「前進」と「進歩」の英語表記の違い
「前進」は英語で“advance”と表現をします。
「進歩」は英語で“progress”や“advance”や“improvement”と表現をします。
「前進」の意味
「前進」には、2つの意味があります。
1つめは、前の方に進むことです。
前とは、人間の場合は顔が正面を向いている方で、車の場合はボンネットがある方です。
その方向に動くことをいいます。
猫が姿勢を低くして何かを見ています。
その先には獲物がいます。
ゆっくりと前足、後ろ足と前に出していき、体を前方に進めていきます。
これが前に進むことです。
もう一つの意味は、物事が好ましい状態に変わっていくことです。
リーグ戦では、1戦目、2戦目など戦い、勝ったチームが駒を進めて、最後の決勝戦で戦って優勝を決めます。
1戦目で勝つことができれば、優勝に向けてよい方向に進んでいったということができます。
相続問題で兄と弟がもめていました。
互いに自分の意見を主張するばかりで、しっかりとした話し合いの時間をとっていません。
この状態からお互いが話し合う時間を設けたなら、相続問題という問題の解決に向けてよい方向に少し進んだということができます。
話し合いの結果、お互いの意見がまとまってきました。
これも、解決に向けてよい方向に進んだということができます。
「前進」はよい方向に進むことで、悪い方向に進むことではありません。
たとえば、子どもが非行に走ってしまった場合、悪い状態になっているので「前進」とはいいません。
「前進」の使い方
前の方に動いていくことや、好ましい方向に変わっていくことについて使用をします。
前の方に動く意味では、日常的に前に動くことは多いので、さまざまな場面で使用されています。
たとえば、猫が獲物に向かって進んでいく、野球で球を追って進んでいく、自転車をこいで進んでいくなどです。
好ましい方向に変わっていくことについては、問題が解決していく、試合で勝っていく、計画が進んでいくなどについて使用されます。
「前進」を使った例文
・『少しずつ前進をする』
・『大きく前進をした』
・『前進することを誓った』
・『ものすごい速さで前進した』
「前進」の類語
「進む」が類語です。
前の方に向かって動くこと、物事が進行することという意味があります。
「前進」の対義語
「後退」が対義語です。
後ろに向かうこと、勢いがなくなったり、低くなったりすることです。
「進歩」の意味
「進歩」には、2つの意味があります。
1つめは、好ましい方向に変わっていくことです。
主に、技術、学問、文化についていいます。
携帯電話が登場した当初はカバンのような大きさで、ポケットにはとうてい入れることはできませんでした。
しかし、現在はポケットの入るほどの大きさの携帯電話が普及しています。
これは技術が進んだからです。
英語が全くできなかった人でも、勉強をすればある程度はできるようになります。
アルファベットを読めなかったけれど読めるようになった、英語でのあいさつの仕方がわかったなどは、少しだけですが英語ができるようになったということができるでしょう。
これは、学問の面で進んでいます。
これらは、好ましい方向に変わっているといえます。
こういった面で進むことを意味する言葉です。
もう一つの意味は、前の方に進むことです。
右足を出して、左足を出すと、体が前に移動をします。
歩みを進めるという意味です。
「進歩」の使い方
2つの意味がありますが、よい方向に変わっていく意味で使用することが多いです。
技術、学問、文化についてをいいます。
リーグ戦で1戦目で勝って優勝に近づくことなどには使用しません。
また、進むことであり、下がることではありません。
物事が悪くなることには使用しない言葉です。
「進歩」を使った例文
・『今度会ったときには進歩した姿を見せたい』
・『技術が大きく進歩した』
・『確実に進歩しています』
・『進歩していることがわかる』
「進歩」の類語
「発展」「発達」が類語です。
「発展」には、物事が進んだ段階になるという意味があります。
「発達」には、規模が大きくなること、体や精神が成長すること、機能がより発揮されることという意味があります。
「進歩」の対義語
「後退」が対義語です。
まとめ
2つの言葉の意味はほぼ同じですが、使い方に違いがあります。
「前進」は計画や問題解決など、「進歩」は技術、学問、文化などについて使用をします。