この記事では、「一刻」と「一瞬」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「一刻」と「一瞬」の違い
「一刻」には、2つの意味があります。
1つめは、わずかな時間のことです。
もう一つは、昔の時間で一時の4分の1、今の時間で約30分のことです。
「一瞬」には、瞼を閉じてすぐに開くくらいの、わずかな時間という意味があります。
「一刻」の2つめの意味と「一瞬」の意味は、ほぼ同じです。
どちらの言葉にも「一」という漢字が使用されていますが、「一」にはわずかという意味があります。
「刻」はとき、時間、「瞬」はまばたきするくらいの短い間を意味する漢字です。
「一」の後につく漢字が、どちらの言葉も時間を表しています。
このことからも、言葉の意味がほぼ同じであることがわかります。
「一刻」と「一瞬」の使い方の違い
どちらの言葉も、ほんの少しの時間のことについて使用をします。
意味はほぼ同じ2つの言葉ですが、使い方にやや違いがあります。
「一刻」の場合は、早くしなければというニュアンスで使われることが多いです。
たとえば、早く処置をしないと命にかかわる患者さんがいたとします。
わずかな時間でさえも惜しいです。
このようなときに使用されています。
「一瞬」の場合は、危機感があるようなこと以外の事柄について使用されることが多くあります。
たとえば、泣きそうになったとき、まばたきした間に消えてしまったとき、わずかな空白の時間ができたときなどです。
「一刻」と「一瞬」の英語表記の違い
「一刻」は英語で“moment”と表現をします。
「一瞬」は英語で“an instant”と表現をします。
「一刻」の意味
「一刻」とは、ほんの少しの時間のことです。
病院に運ばれてくる人の中には、緊急性の高い症状を持っている人がいます。
この人たちは、すぐに検査や処置をしないと、命にかかわる可能性があります。
1分1秒ですら惜しく感じます。
たった1秒が命にかかわることもあるかもしれないのです。
このような、ほんの少しの時間のことを意味する言葉です。
何らかの理由で慣れ親しんだ土地を離れなければならなかった人は、少しでも早く慣れ親しんだ土地に戻りたいと考えることでしょう。
1日でも、1時間でも、1分でも、早く戻ることができればと望むことがあると思います。
また、大切な試合など緊張する場面が迫っているとき、普段は意識しないほどわずかな時間でも、どんどんと過ぎていくことを意識することがあります。
このちょっとした時間を意味する言葉です。
もともとは昔の時間で一時の4分の1の意味で、現在の時間では30分ほどになります。
しかし、現在よく使われている意味では30分のことを指しているのではなく、特に何分という定義はなく、ほんの少しの時間という意味になります。
「一刻」の使い方
少しの時間のことを指して使用をします。
何分、何秒などの定義はありませんが、約30分の意味があるので、1時間、2時間などのことには使用しません。
早く何とかしなければという危機感がある事柄について使用されることが多くあります。
たとえば、早く処置をしなければならないとき、早く連絡をしなければならないときなどです。
普段は1分や1秒をあまり意識しませんが、危機感があるときにはわずかな時間も惜しいです。
そういったときには、1分や1秒なども意識するようになり、「一刻」という言葉が使われます。
「一刻」を使った例文
・『一刻も早く処置をしてください』
・『一刻を争う事態だ』
・『一刻も早い対応を望んでいます』
・『一刻ごとに霧が深まっていく』
「一刻」の類語
「片時」が類語です。
ほんのちょっとの時間という意味があります。
「一刻」の対義語
「長時間」が対義語です。
「一瞬」の意味
「一瞬」とは、瞼を閉じてすぐに目を開くくらいの短い時間のことです。
普段意識せずにまばたきしているとき、目を閉じてから開けるまでに1秒もかかっていません。
このような少しの時間を意味する言葉です。
子どもはすぐに気分が変わります。
今とても悲しくて泣いていても、大好物を目の前にするとすぐに笑顔になってしまうことは珍しくありません。
泣いていたと思ったら、すぐに笑うのです。
このような少しの時間を意味する言葉です。
ここに1枚の絵画があります。
パッと見ただけでは、何が描いてあるのかわからないことでしょう。
このパッとの時間を意味する言葉です。
ものすごく疲れているときや眠いとき、もしかしたら今眠ったかもと思うことがあります。
眠ったのか、眠ったのかわからにくらいの時間です。
こんな本当に少しの時間を意味しています。
具体的にどれくらいの時間なのかという定義はありませんが、1時間や2時間などのことを指しているのではありません。
まばたきをするには1秒もかかりません。
これくらい短い時間を指しています。
「一瞬」の使い方
本当にちょっとだけの時間のことを指して使用をします。
驚くようなニュースを聞いたとき、ちょっとの間だけ「えっ」と思うことがあるでしょう。
しかし、次の瞬間には、普段の状態に戻っています。
こういった場面で使用する言葉です。
危機感のあるようなことには、あまり使用をしません。
たとえば、緊急性の高い症状が出ていて、すぐにでも処置をしなければならないような状態のときに使う言葉ではありません。
あるい意味合いも、よい意味合いもない言葉です。
「一瞬」を使った例文
・『一瞬眠ってしまったかと思った』
・『一瞬にして眠気が吹き飛んだ』
・『一瞬見間違えかと思った』
・『さっき笑っていたのに一瞬で表情を変えた』
「一瞬」の類語
「瞬間」「瞬時」「刹那」が類語です。
「瞬間」と「瞬時」は、ちょっとの時間のことです。
「瞬間」は「~の瞬間」という形で使い、ちょうどそのときを意味する使い方がされます。
「刹那」とは、ものすごく短い時間のことです。
「一瞬」の対義語
「長時間」が対義語です。
まとめ
どちらの言葉も少しの時間を意味しており、2つの言葉の意味に大きな違いはありません。
しかし、使われ方に違いがあります。