この記事では、「改修」と「改造」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「改修」と「改造」の違い
「改修」とは、道路や建物などにもともとあった悪い部分を良好な状態に直すことです。
「改造」とは、建物、組織、機械などに手を加えて、目的にあったものに作りかえること、つくり直すことです。
どちらの言葉にも、あらためる、あらたまるという意味を持つ漢字の「改」が使用されているとおり、新しくする、悪いものをよい方に変えるという意味を持っています。
しかし、同じ意味なのではありません。
「改修」の場合は、もともと悪いところがあって、その部分をよい方向に変えることを意味しています。
たとえば、施設の空調施設が古くなって悪い状態だったものを、新しいものにして直すなどです。
道路や建物などについていいます。
「改造」の場合は、作り直すこと、目的にあったものに作りかえることです。
もともと悪いところはないけれど、目的にあったものにかえることなどもいいます。
たとえば、今乗っている車に不便はないけれど、もう少しエンジン音を大きくしたいので、エンジン部分を変えるなどです。
建物、組織、機械などについていいます。
「改修」と「改造」の使い方の違い
悪い部分を直すことについて「改修」を使用します。
この言葉は、悪い部分がない場合には使用しないことが一般的です。
目的にあったものに作りかえたり、作り直すことについて「改造」を使用します。
壊れているなど悪い部分はないけれど変えることについても使用できます。
「改修」と「改造」の英語表記の違い
「改修」は英語で“repair”と表現をします。
「改造」は英語で“remodeling”と表現をします。
「改修」の意味
「改修」とは、もともとある悪い部分をよい方向に直すです。
人間の体が病気になっていて悪いので治すことではなく、道路や建物などの悪い部分を直すことを意味しています。
ある施設のエレベーターのことで考えてみます。
このエレベーターは何十年も前から使用しているものです。
何十年も経っていれば、その間に技術が進歩をして、もっと性能のよいエレベーターが登場します。
このエレベーターは古いため、防犯カメラは設置されておらず、空調が不十分でした。
今の状況に適していない、つまり目的にあっていないのです。
そこで、エレベーターを直すことにしました。
直すことで悪い部分が改善されてよい方向に変わり、現在の目的にあったものになりました。
このような、悪い部分を直すこと、悪い部分を変えて現在の目的にあったものにすることをいいます。
「改修」の使い方
もともとあった悪い部分に手を加えて直すこと、悪い部分を変えて現在の目的にあったものにすることについて使用をします。
道路や建物などについて使用をする言葉で、生物については使用しません。
たとえば、体の一部を失ったときのことで考えてみます。
怪我をして手を失ってしまったら生活に不便をすることでしょう。
現在の目的にあっているとはいえないかもしれません。
そこで、義手をつけることにしました。
義手をつけることで生活の不便がある程度改善されることが期待できます。
これで現在の目的にあったものに近づくことができましたが、人間のことには使用しない言葉です。
「改修」を使った例文
・『改修作業は来年の2月まで行われます』
・『道路の改修作業が必要だ』
・『大規模な改修を行うことが決定しました』
・『改修工事のため、現在は立ち入ることができません』
「改修」の類語
「直す」は広く使われる言葉で、壊れたり傷んだりしたものをもとの状態にすることをいいます。
「繕う」は損なわれた部分に手を加えて直すことです。
主に繊維製品について使用をします。
「修復」は壊れた部分を直して元の状態にすることです。
「改修」の対義語
ありません。
「改造」の意味
「改造」とは、悪いところをよいものに作りかえること、目的にあうように作りかえることです。
機械、組織、建物などについていいます。
自転車を作りかえることで考えてみます。
今使用しているシティーサイクルは、重くて遅くて不便です。
もっと軽くて速く走るものを求めているのですが、その目的にあっていません。
そこで、目的にあったものに作りかえることにしました。
軽くするためにカゴを取り除き、ホイールを軽量なものにします。
軽くすることで速さを出しやすくなります。
ギアは3段階だったものを6段階にしました。
変えられる段階が多くなると、坂道や平坦な場所など道の状態にあわせてギアを変えることができ、快適に走りやすくなります。
こうして、目的にあったものに作りかえることができました。
この例でいうと、重くて遅くて不便で目的にあっていなかったものが、ホイールやギアなどを変えることで軽くて速い目的にあったものに変わっています。
このような、悪いところを作りかえること、目的にあったものに作りかえることを意味している言葉です。
「改造」の使い方
目的にあったものに作り直すことについて使用をします。
機械、組織、建物などについて使用する言葉で、生物にはあまり使用しません。
勉強をしない息子のことで考えてみます。
勉強をせず成績が悪いので、成績がもっとよくなるように塾に通わせました。
塾に通ったことで、息子の成績はよくなりました。
親にとって好ましくない成績ものが、塾に通わせたことで好ましいものに変わっています。
しかし、このようなことには使用しません。
「改造」を使った例文
・『バイクを改造する』
・『危険なので家電製品を改造しないでください』
・『自分好みに改造する』
・『友達に改造を手伝ってもらう』
「改造」の類語
「手直し」が類語です。
一応完成したものの、完全でない部分に手を加えて直すという意味があります。
「改造」の対義語
ありません。
まとめ
2つの言葉はあらためるという意味を持っており、新しくする、よい方向に変えるという意味が似ています。
しかし、何を変えるのか、どういった状態からどういった状態に変えるのかという点に違いがあります。