「経緯」と「背景」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「経緯」と「背景」の違い生活・教育

この記事では、「経緯」「背景」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「経緯」と「背景」の違い

「経緯(けいい・いきさつ)」とは、「ある物事がそこに行き着くまでの流れ」のことです。

「経緯」に対して「背景」というのは、「ある事象の裏にあって本当の原因になっているもの」を示唆している違いがあります。

「経緯」には、「その結果を導くことになった事情・展開」といった意味のニュアンスがあります。

「経緯」と比較すると「背景」の表現には、「その結果の背後にあって真の原因・理由になっていること」というニュアンスがある点が異なっているのです。

「経緯」には「背景」にない、「地図上の経度と緯度」の意味合いもあります。

逆に「背景」「経緯」が持っていない、「絵画の背後の場所にある景色・空間」という意味を持っています。


「経緯」と「背景」の使い方の違い

「経緯」は、「ある物事が現在のような状態に到達するまでの流れ」を意味して使う使い方になります。

例えば、「あんなに仲良しだった二人が別れるまでの経緯について詳しく聞きました」のような文章で使用できます。

「経緯」と比べて「背景」は、「表面的には出てきていない、ある事象の背後にある本当の理由」といった意味合いで使われる点に違いを見ることができます。

例えば、「二人が別れなければいけなかった背景には、彼の母親の強い干渉と反対があったのです」といった例文で使われたりします。


「経緯」と「背景」の英語表記の違い

「経緯」を英語を使用して表記すると以下になります。

“circumstance”……ある人・物事を取り巻いている状況。

経緯。

“story”……物語性のある話の流れ。

今に至るまでのストーリー。

経緯。

“details”……ある事柄についての詳細な流れ・内容。

経緯。

“how things got this way”……その物事がどのようにしてこの状態になったのか。

経緯。

“longitude and latitude”……経度と緯度。

「背景」を英語を使って表現すると以下になります。

“background”……ある物事の裏で働いている本当の事情・原因。

絵画や舞台などの背後にある景色。

背景。

“context”……事件的な物事の背後にある文脈・前提。

背景。

「経緯」の意味

「経緯(けいい・いきさつ)」とは、「ある物事が現在の状況になるまでの一連の流れ」を意味しています。

「経緯」というのは、「ある物事がどのようにして発生したのか、どういった事情があって現状に至ったのかという詳細な経過・事情」を示している言葉なのです。

「経緯」の原義は、「織物のたていと(経)とよこいと(緯)」になります。

また「経緯」には、「地図における経度(経線)と緯度(緯線)」の意味合いもあります。

「経緯」の使い方

「経緯」の表現は、「ある事柄が現状に至るまでの詳しい流れ(展開)および事情」を意味して使われています。

例えば、「喧嘩になるまでの経緯を知ると、どちらかだけが一方的な被害者とは断言できないように感じました」などの文章で使用することができます。

「ある地点の経緯をリサーチしておきました」のように、「経緯」「地理的な経度と緯度」の意味でも使えます。

「経緯」を使った例文

・『卸売の自営業から始めて成功するまでの経緯を知ると、生半可な努力ではないことが分かりました。』
・『どんな経緯があるにせよ、脅迫や暴行は犯罪になるので看過することはできません。』
・『お二人が親しくなって夫婦になるまでの詳しい経緯を聞かせてもらいました。』
・『凶悪な殺人事件とだけ思っていましたが、そこに至るまでの経緯には加害者の長年にわたる屈辱と我慢がありました。』
・『実際に旅行に出かける前に、地図アプリで目的地の経緯を調べておきました。』

「経緯」の類語

「経緯」の類語には、以下の言葉があります。

・『事情(じじょう)』……物事がそのようになった理由。その状態になるまでの経緯。

・『経過(けいか)』……物事が時間が過ぎるのに合わせて変わること、推移すること。

・『詳細(しょうさい)』……ある物事の一部始終に及ぶ詳しくて細かい内容。

「経緯」の対義語

「経緯」「物事の詳しい流れ」を示す言葉で反対の意味が想定できないことから、国語辞典などに掲げられる「経緯」の対義語はありません。

「背景」の意味

「背景(はいけい)」とは、「物事・関係の裏にある真の事情や原因」を意味しています。

「背景」というのは、「表に分かりやすい形では出てこない背後にあるもの(本当の理由・原因)」を示唆している言葉なのです。

「背景」の表現には、「絵画・写真の後ろの部分にある景色や空間」といった意味合いもあります。

「背景」の使い方

「背景」は、「ある事柄の背後にある真のわけ・事情・原因」を指して使うことができます。

例えば、「この贈収賄事件の背景にあるのは、政権に近い人物の陰謀です」などの文章で使用されます。

また「背景」の使い方として、「絵画や写真、舞台の背後にある景色」の意味合いで使われることもあります。

例えば、「背景まで精細なタッチで描き込んでいる絵でした」といった例文で使用できます。

「背景」を使った例文

・『この企業の巨額買収の背景には、グローバルな多国籍企業のマーケティング戦略があります。』

・『親友だった二人が仲違いした背景には、二人の心をかき乱した一人の女性の存在があったのです。』

・『背景をしらずに現在の政治情勢を主観で分析しても、その分析結果は的外れなものになるでしょう。』

・『写真の背景に映っている山は富士山のようにも見えますが、実際は鹿児島県にある開聞岳(薩摩富士)です。』

・『絵画を描く時に背景は軽視されがちですが、絵画全体のバランスを決める重要な要素となっています。』

「背景」の類語

「背景」の類語には、以下の言葉があります。

・『バックグラウンド』……背後にあるもの。その物事や人物の下地になっているもの。背景。

・『コンテクスト』……ある物事の背後にある文脈・流れ。ある事象の前後関係を示唆する文脈。

・『背後(はいご)』……表には出ていない後ろの部分。背中よりも後ろの方向。

・『セット』……演劇の舞台の後ろの部分にある景色や小道具など。

「背景」の対義語

「背景」の対義語には、以下の言葉があります。

・『前景(ぜんけい)』……絵画・写真などにおいて、前のほう見えている景色。

まとめ

「経緯」「背景」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか?
「経緯」「背景」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しく調べたい時は、この記事の解説をチェックしてみてください。