「蘇る」と「甦る」と「生き返る」の違いとは?分かりやすく解釈

「蘇る」と「甦る」と「生き返る」の違い生活・教育

「蘇る」「甦る」「生き返る」は、どれも死んだ人が生き返るようなイメージの言葉ですが、それぞれの意味は微妙に異なります。

この記事では、「蘇る」「甦る」「生き返る」の違いを分かりやすく説明していきます。

「蘇る」とは?

「蘇る」【よみがえる】は、死んでしまった者が生き返ること、死にかけている者が息を吹き返すことです。

または、失われたものが再び取り戻される様子を表します。

「よみがえる」は、死後に行く世界とされる「黄泉」【よみ】と「返る」を組み合わせた言葉で「死者がこの世に戻ってくる」という意味を持ちます。

また漢字の「蘇」も同じく「息を吹き返す」という意味があります。

つまり「蘇る」は、死が確認されたものが生き返る、止まった心臓が再び動く、といった生物学的な肉体の変化を指しているのです。

また、生命だけではなく失われつつある状況が戻ってくる様子を表すときにも「蘇る」が使われます。


「蘇る」の例文

・『そのホラー映画は、蘇った死者が人を襲う話である』
・『その歌を聞くと、幼い頃の記憶が蘇る』


「甦る」とは?

「甦る」【よみがえる】は、一度衰えたものが再び勢いを取り戻すことです。

漢字の「甦」は生き返ることを意味しており、「甦る」「蘇る」と同様に「黄泉返る=よみがえる」というニュアンスを持ちます。

ただ、死者が生き返ることを表すというよりは、元気のなかったものが活性化する、古くなっていたものが新しくみちがえる、といった意味で使い方をするのが一般的となっています。

「甦る」の例文

・『古民家をリノベーションし、人気のカフェに甦らせた』
・『枯れそうな花に水をたっぷり与えたところ、いきいきと蘇って美しい花を咲かせ続けた』

「生き返る」とは

「生き返る」とは死んでしまったものが生きている状態に復活すること、または弱っていたものが元気を取り戻すことを表します。

「生き返る」という言葉は二つの動詞「生きる」「返る」を組み合わせた複合動詞です。

「生きている状態に返る」という意味になり、主に生命が復活する様子を表します。

死んだものの生命が復活することを意味するほか、弱ったものに生気が戻り再び元気になる様子、気分的にリフレッシュする様子を表すときにも使われます。

「生き返る」の例文

・『クマムシは、冷凍したり乾燥させたりしても生き返る強靭な虫だ』
・『仕事で疲れて帰宅しても、冷たいビールを飲めば生き返った気分になれる』

「蘇る」と「甦る」と「生き返る」の違い

「蘇る」「甦る」「生き返る」はいずれも「死んだものが命を取り戻すこと」「衰えたものが勢いを取り戻すこと」の2つの意味を持ち、ほとんど違いがありません。

どれを使っても通じることが多いですが、場面によっては選び分けたほうがよい場合があります。

たとえば、死んだものが命を取り戻す場合は「蘇る」または「生き返る」を選び、衰えたものが勢いを取り戻す、再び元気になる場合は「甦る」「生き返る」を選びます。

失われている記憶や文化などを取り戻す場合は、なくなったものが復活するニュアンスの「蘇る」を使うとよいでしょう。

まとめ

「蘇る」「甦る」「生き返る」「生きた(活きた)状態に復活する」という意味を持ち、ほとんど違いはありません。

ただし微妙な違いもあるので、場面に応じて細かく使い分けるのがよいでしょう。