「利害」と「損得」と「損益」の違いとは?分かりやすく解釈

「利害」と「損得」と「損益」の違い生活・教育

テレビドラマでサスペンスを見ていると、事件を捜査する刑事が真っ先に疑うのは、被害者と利害関係がある人間です。

通常はそれによって利益を得る人間ということになりますが 場合によっては損害を回避できるという場合もあります。

さて。

ここで使用した「利害」ですが、一体どのような意味なのでしょうか。

また、同じような意味の言葉「損得」「損益」との違いはどこにあるのでしょうか。

この記事では、「利害」「損得」「損益」の違いを分かりやすく説明していきます。

「利害」とは?

「利害」とは文字通り「利益と損害」、くだけた言い方だと「得することと損すること」という意味になります。

通常はなんらかの人間関係の中で発生するものに関して使用されます。

例えば、「利害関係を共有する人達は協力して問題に対処しました」のように、「関係」を付加して使われることが多い言葉です。

英語では、「interest」でしょう。


「損得」とは?

「損得」とは文字通り「損するか得するか」を表す言葉です。

通常は、個人的な利害に関して使用されることが多く、「損得勘定で動くと他人の憎しみを買います」のように利己的な判断のような悪い意味を伴っていることが多い言葉です。

この言葉独特のニュアンスを出すのは難しいですが、英語では、「loss and gain」が近いでしょう。


「損益」とは?

「損益」とは、「損失と利益」のことです。

一般の会話や文章の中で使われることはほとんどなく、主に会計上の用語として使用されます。

頻繁に使われる熟語としては以下のようなものがあります(分かりやすいように英語の表記も付け加えます)。

例えば、「損益計算書(profit and loss statement)」「損益分岐点(break-even point)」「損益勘定(profit and loss account)」などがあります。

「利害」と「損得」と「損益」の違い

「利害」「損得」「損益」の違いを、分かりやすく解説します。

これらの言葉は、全てが「金銭的に得したり損したりすること」を表すときに使用する言葉なのですが、実は違いがあります。

大きな違いは使われるシチュエーションです。

「損益」に関しては、主に「損益計算書」のように企業などの会計上の用語として使われる場合がほとんどで、指す内容も金銭的な価値の増減のみになります。

それに対して、「損得」は語感のカジュアルさでも分かるように、個人的な得と損を示す場合がほとんどで、内容は金銭だけではなく、気持ちや測れないものの場合もあります。

最後に「利害」「利害関係のある人たち」などの文章に出てくるように人間同士の関連における利益や損失を表し、内容は金銭だけではありません。

まとめ

この記事では、「利害」「損得」「損益」の違いを説明してきました。

日本語の面白さは、同じようなことを言いたい場合に使用できる言葉のバリエーションが多いことではないでしょうか。

さらに、それぞれの使用法や使用できるシチュエーションが微妙に違うことによって、細かいニュアンスの違いを言葉の選択だけで行えます。

このような言葉は、今回取り上げたもの以外にたくさんあります。

しかし、気になるのは、今回説明したような小さな違いが、時代とともに薄れていってそのうち全く同じになったり、いくつかが使用されなくなるということも発生します。

日常からこれらの言葉を使い続けることが、日本語の豊かさを守ることにもつながります。