この記事では、「擁護」と「援護」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「擁護」と「援護」の違い
「擁護」とは、損害を与えるようなことや身体・生命などを損なうようなことを受けないように守ることです。
「援護」とは、悩んでいたり、苦しんでいたりする人を助けて守ることです。
どちらの言葉にも、まもる、かばう、たすけるという意味を持つ漢字である「護」が使用されています。
しかし、「護」の前に使われている感じが違い、2つの言葉が持つ意味は違います。
「擁護」の場合は、まもる、たすけるという意味を持つ漢字の「擁」が使用されています。
「擁護」は、損害を与えるようなこと、身体や生命を損なうようなことから守ることを意味しています。
害などが及ばないようにするという意味を持っている言葉です。
「援護」の場合は、たすける、すくうという意味を持つ漢字の「援」が使用されています。
「援護」は、困っている状態を助けることを意味しています。
力を貸すという意味を持っている言葉です。
「擁護」と「援護」の使い方の違い
「擁護」は守ることについて使用をします。
何から守るのかというと、損害を与えること、身体や生命を脅かすものです。
「援護」は助けることについて使用をします。
何を助けるのかというと困っている人です。
「擁護」と「援護」の英語表記の違い
「擁護」は英語で“protection”や“support”と表現をします。
「援護」は英語で“help”や“support”と表現をします。
「擁護」の意味
「擁護」とは、権利や所有などを損なう行為や、身体や生命を脅かすような行為から守ることです。
権利や所有を損なう行為、身体や生命を脅かすような行為はさまざまありますが、「擁護」が守るものは主にある事柄を否定・攻撃するような働きです。
芸能人や政治家などが何かを発言すると、それに対して非難する声が聞かれることがあります。
非難を受けるのが当然な事柄なら仕方がないかもしれませんが、非難されなくてもよいのではと思うようなことも、ときにはあります。
そのようなとき、非難されている人とは別の人が、非難されている人を守ることがあります。
こういった行為のことを指している言葉です。
このとき、守る人は主に言論によって守っています。
戦の場合は武器を持って戦うので、武器を持ってある人を守ることでしょう。
しかし、否定や攻撃するような働きは、武器を持って攻撃しているものではありません。
相手が武器を持っていないのに、守ろうとしている側が武器を使用しては、攻撃してくる相手の身体を傷つける恐れがあり、それによって守ろうとしていたのに非難されてしまう恐れがあります。
損害や危害を与える相手から守るために、武器を使うのではなく、言論で守るのです。
「擁護」の使い方
権利や所有を損なう行為、身体や生命を脅かす行為などから守ることについて使用をします。
守り方は、主に言論です。
武器で戦って守ることについては、使用しないことが一般的です。
「擁護」を使った例文
・『子どもの権利を擁護する』
・『移民を擁護する動きがある』
・『○○氏を擁護する発言』
・『擁護される側の人』
「擁護」の類語
「保護」「庇護」が類語です。
「保護」には、危ないことや脅かすようなことから守るという意味があります。
「庇護」には、害を受けないように助け守るという意味があります。
「擁護」の対義語
「危害を加える」「損害を与える」が対義語です。
守ることとは反対の行為です。
「援護」の意味
「援護」には、悩んでいたり、苦しんでいたりする人を助け、それ以上危険や脅威などを受けないようにするという意味があります。
災害にあった人は、住む場所がない、食べるものがない、お風呂に入れない、寒い、暑いなど、困っていることがたくさんあるはずです。
そういった人たちに何もせずにいたら、困っている人はますます困ることでしょう。
住む場所がないために寒さや暑さに耐えなければならず、それによって病気が悪化するかもしれません。
食べるものがなく、やせ細ってしまうかもしれません。
日本の場合は大きな災害があったとき、被災者に対して政府などから助けがあります。
仮の住む場所を与える、食べるものを与える、寒さから守るための毛布などを与えるなどが行われます。
また、助ける活動を行っている団体などから物資や金銭などが与えられることもあります。
こういった活動は、悩んでいたり、苦しんでいたり人を助けているということができるでしょう。
そして、助けることによって、それ以上危険や脅威などが及ばないようにされています。
このような行為を意味している言葉です。
「援護射撃」という言葉があります。
この場合は、困っていたり、悩んでいたり人を助けるという意味ではなく、味方を守るという意味になります。
戦争のような戦いでは、味方が敵に攻撃されそうになることがあります。
このときに何もせずにいたら、味方は敵の攻撃をまともに受けて、やられてしまうことでしょう。
そこで、敵を攻撃して味方を守ろうとします。
このようなことを「援護射撃」といいます。
「援護」の使い方
悩んでいたり、苦しんでいたりする人を助けることについて使用をします。
この言葉事態には、どのような方法で助けるのか意味に含まれていません。
そのため、「援護」といった場合には、さまざまな助け方があることになります。
「援護」を使った例文
・『メンバーが援護してくれた』
・『最後まで援護する』
・『被災者を援護する』
・『援護の手が差し伸べられた』
「援護」の類語
「救護」が類語です。
困っている人に力を貸して、困っている状態から抜け出せるようにして守ることという意味があります。
特に震災の被害を受けた人や傷を負っている人を、手当・治療することをいいます。
「援護」の対義語
助けることをしないという意味で「放置」が対義語です。
まとめ
2つとも、まもる、たすけるという意味を持つ漢字の「護」が使用されている言葉です。
しかし、それぞれの言葉が持つ意味は違い、「擁護」は守ること、「援護」は助けることを意味しています。