この記事では、「適正」と「適切」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「適正」と「適切」の違い
ちょうどいい具合、度合い、などといった意味合いで用いられることが多い「適正」と「適切」。
しかし、同じちょうどいい具合、度合いと言っても、そのちょうどいいことにおいて、数値や事例などの基準がおる場合は「適正」。
基準となるものがない場合が「適切」ということになります。
このように、同じちょうどいい状態でも、それに対し何か明確な基準がある場合は、「適切」。
基準はないものの、世間一般的な考えなどの場合は、「適切」といった違いが、「適正」と「適切」において、大きな違いとなります。
「適正」と「適切」の使い方の違い
基準の数値などの有無によって使い分けが必要になる「適正」と「適切」。
例えば、適性の場合、「適正価格」という言葉がよく用いられます。
この「適正価格」とは、基準になる価格がわかったうえで、今の価格が適正なのか?適正でないのか?を判断し、「適正価格である、ない」ということが決められます。
一方、明確な数値などがない「適切」においては、例えば、「適切に対処させて頂きました」の場合の「適切」には、数値などとして表すことはできません。
この場合の「適切な対処」とは、世間一般的な対処、一般的に認められている対処ということになり、「適正」と「適切」には、このような使い分けの違いがあると言えるのです。
「適正」と「適切」の英語表記の違い
「適正」の英語表記は、fittingly、befittingly、fitly、suitably、appropriatelyです。
「適正価格」は、a reasonable price
「適正な評価」は、【形式ばった表現】 a fair [correct] evaluation.
「この金額が適正と思われます」は、It is thought that this amount is appropriate. などとなります。
「適切」の英語表記は、fittingly、befittingly、fitly、suitably、appropriately、adequatelyです。
「適切な言葉」は、an apt [【形式ばった表現】 a happy] remark
「適切に」は、to the point [purpose]
「不適切な意見」は、an impertinent remarkなどとなります。
「適正」の意味
適当で正しい、また、その様子。
見合っている、といった意味を持つ「適正」。
「適正」においては、基準となる数値やなにか具体的な比較対象物などが必要となります。
その基準となる数値や比較対象物に対し、正しいのか?見合っているのか?妥当なのか?などを判断するといった意味があります。
例えば、何か基準となるものに対し、ほぼ同じ状態の場合で正しいものだと判断された場合は、「適正である」と言えます。
「適正」の使い方
基準となる数値や具体例がある場合に使用することになる「適正」。
主な使い方としては、「適正価格」、「適正な評価」、「適正な手段」、「適正な手続き」、「適正な判断」、「不適正な表示」、「適正化」などがあります。
「適正」を使った例文
・『私は、』適正な賃金の支払いを会社に求めると決意しました。』
・『適正な商品を適正な価格で誰でも購入することができる世の中になることを願います。』
・『オフィス環境において、今の温度が適正か社員に確認しました。』
・『商品の適正な保管場所の確保を上司から頼まれた。』
「適正」の類語
「適正」の類語には、「妥当」や「まずまず」、「相応」、「手頃」、「正当」、「フェア」、「公正」、「順当」、「適度」など、多くの類語があります。
「適正」の対義語
「適正」の対義語には、条件などが合わないといった意味を持つ「不適」。
いい加減、誤りがある、などといった意味を持つ「杜撰(ずさん)」があります。
「適切」の意味
その場にふさわしい、ものごとにふさわしい、状況に当てはまる、目的に当てはまる、といった意味を持つ「適切」。
「適切」においては、「適正」のように基準となる数値などは必要ありません。
一般常識的に、社会の流れなどにおいて、それらと比較した際、問題がない場合、「適切」といった言葉が用いられることになります。
基本的に誰から見ても、OKといった判断が下される場合に使用する言葉となります。
「適切」の使い方
なにか具体的な基準などはないものの、一般常識的に認められる範囲を意味する「適切」。
そんな、「適切」の使い方としては、「適切な対応」、「適切な処置」、「適切な装い」、「適切な言葉遣い」、「適切な選択」、「適切な返事」、「適切な判断」、「適切な表現」などがあります。
「適切」を使った例文
・『明日は、必ずパーティーに合った適切な装いで参加するように!』 ・『我が子のことになると、適切な判断ができない親は少なくありません。』
・『不適切な表現をしてしまい、大変申し訳ございません。』
・『適切な対応のお陰で、父の命は助かりました。』
「適切」の対義語
「適切」の対義語には、条件などが合わないといった意味を持つ「不適」。
その場の状況などに対し配慮が欠けているといった意味を持つ「不適切」。
適していない、好みが合わない、性質が合わない、といった意味を持つ「不向き」。
いい加減、誤りがあるといった意味を持つ「杜撰(ずさん)」があります。
まとめ
以上が「適正」と「適切」の違いとなります。
迷った際は、その状況において、明確な数値などの基準があるのか、ないのか、考えてみてください。
数値化できる基準がある場合は、「適正」。
基準となる数値はないものの、世間的に一般常識的に比較することができるものに対しては、「適切」を用いることで、大きな間違いを防ぐことができます。
「適正」はあくまでも、正しくでなければいけませんが、「適切」の場合は、世間一般的に多くの人が、そう思うことができれば、用いることができる、そんな言葉となります。