「把握」と「理解」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「把握」と「理解」の違い生活・教育

この記事では、「把握」「理解」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「把握」と「理解」の違い

「把握」には、「しっかりと物や利権などをつかむこと」「掴み取って自分のものにすること」の意味があります。

一方、「理解」には「把握」のような「物理的につかむこと・抽象的な権力などをつかんで我が物にすること」といった意味はありません。

「把握」の言葉は「物事を的確に理解すること」の意味がありますが、「理解」と比較して「しっかりと自分の側に引き寄せて(主観的に)分かること」のニュアンスが強くなっている違いを指摘できます。

「理解」「把握」よりも「論理的な思考によって、理屈として意味・道理が分かること」のニュアンスが強くて、「自分のために主観的に分かるという把握の意味合い」は弱くなっています。


「把握」と「理解」の使い方の違い

「把握」「権力・利益などを握り締めて自分のものにすること」の意味で使われますが、「理解」はその意味で使用することはできません。

「組織内で権力を把握する」とはいいますが、「組織内で権力を理解する」と言い換えると意味が通じない文章になってしまうのです。

「理解」「把握」のように「物理的にギュッと力をこめてつかむ」の意味で使うこともありません。

また「理解」「人の心理状態・立場などを推測したり共感したりして知る」の意味で使用できますが、「把握」の言葉にはそういった使い方はありません。


「把握」と「理解」の英語表記の違い

「把握」を、英語を用いて表現すると以下になります。

“grasps”……しっかりとモノを握ること。

ギュッとつかむこと。

理解したり把握したりすること。

把握。

“hold”……対象のモノを保持すること。

抱え持つこと。

完全に把握すること。

把握。

「理解」を、英語を使って表記すると以下になります。

“understanding”……物事の意味や内容などを理解すること。

理解。

“comprehension”……物事を理解したり会得したりすることを意味する英語の形式的な表現になります。

理解。

この英単語は「把握」の意味でも使われることはあります。

「把握」の意味

「把握(はあく)」の言葉は、「しっかりとつかんで離さないこと」を意味しています。

「把握」というのは、「権力や利益などをがっちりとつかんで自分のものにする」を意味している言葉でもあります。

さらに「把握」には、「内容をしっかりと理解する」「自分の立場に引き寄せて正確に知る」の意味合いも備わっています。

「把握」の使い方

「把握」は、「物理的につかむこと・権益などを掌握すること」の意味合いで使うという使い方になります。

また「把握」は、「物事の内容や自分にとっての意味をしっかり理解する」の意味でも使うことが可能です。

例えば、「将軍は現在の戦闘状況の形勢を把握していました」などの文章で使えるのです。

「把握」を使った例文

・『豊臣秀吉が日本全国を把握できたのは、その前提に織田信長の支配領域の継承があったからです。』

・『今回の総選挙では、政権与党が政権を把握し続けることが難しくなるとの予測も出ています。』

・『患者の病状・容態を正確に把握することは、主治医として当たり前のことだと思います。』

・『まだ正確な情報が入ってきていないため、地震発生後の各地の様子を首相は十分に把握できていませんでした。』

・『紛争が発生している現地の状況を正しく把握できているのは、政府関係者の一部や潜入取材しているジャーナリストだけでした。』

「把握」の類語

「把握」の類語には、以下の言葉があります。

・『掌握(しょうあく)』……自分の意のままに物事・人を支配して動かすこと。手の中で確実に握ること。

・『保持(ほじ)』……権力や物品などを、手放さずに持ち続けること。

・『理解(りかい)』……物事の筋道や意味合いを正しく知ること。

対象の意味が正確に分かること。

「把握」の対義語

「把握」の対義語には、以下の言葉があります。

・『放棄(ほうき)』……把握していたものや権利があるものを手放すこと。

「理解」の意味

「理解(りかい)」とは、「物事を正しく知ること」を意味している言葉です。

「理解」という表現は、「物事の意味・内容・道理を筋道を立てて知ること」を示しているのです。

「理解」の意味として、「他者の心情・気持ち・立場などを推し量って(共感して)察すること」もあります。

「理解」の使い方

「理解」の表現は、「理解する」のかたちで「物事の意味を知る・内容が正しく分かる」の意味で使うことができます。

例えば、「この小説が扱っている主題を理解しました」のような文章で使われています。

「理解」の使い方として、「人の感情や境遇などに共感して知ること」を意味して使う使い方もあります。

「理解」を使った例文

・『高度な数学の理論の証明過程は、私の理解をはるかに超えていました。』

・『ポルトガル語やスペイン語を理解することができれば、中南米でのコミュニケーションを円滑に行うことができます。』

・『私が説明した契約書の内容を、取引先が正確に理解しているかどうかを確認してきてください。』

・『私は頭の回転が速いほうではないので、難しい話を理解するまでにかなりの時間がかかります。』

・『どうしてもこの条件をご理解いただけないというのであれば、顧問弁護士と相談して法的措置を取らせてもらいます。』

「理解」の類語

「理解」の類語には、以下の言葉があります。

・『分かる(わかる)』……事実が明らかになる。意味や道理などをはっきり理解する。

・『知る(しる)』……物事・現象などについて認識する。学習して知識にする。物事の内容や価値などを把握して理解する。

・『解釈(かいしゃく)』……事態・対象が持っている意味を主観的に説明して明らかにすること。

「理解」の対義語

「理解」の対義語には、以下の言葉があります。

・『無理解(むりかい)』……物事の意味・価値などが分かっていない状態。

他者の心情・考えなどに対して推し量って知ることができない。

まとめ

「把握」「理解」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「把握」「理解」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しく知りたい時は、この記事の内容をチェックしてみてください。