他者に自分の思いを伝える場面で使われる言葉「勧める」と「薦める」と「奨める」。
どの言葉も「すすめる」と読みますが使われている漢字が違います。
漢字の違いで、どういった意味の違いがあるのでしょうか。
この記事では、「勧める」と「薦める」と「奨める」の違いを分かりやすく説明していきます。
「勧める」とは?
「勧める」とは、ある行動を相手に促すことを意味する言葉です。
「勧」の字は、「勧誘」という言葉にも使われていますが、相手がそうするように誘う意味を持っています。
たとえば、野菜が嫌いだと言っている人に対して、野菜を食べるように促すといったようなことです。
野菜を食べることによる身体的メリットを伝えたりバランスの良い食事の重要性を伝えたりして、どうにかして野菜を食べてくれるよう相手に働きかける行為全部が「勧める」といったことになります。
「勧める」の例文
・『野菜を食べるよう勧めてみたが、彼の野菜嫌いは筋金入りだ』
・『未成年に飲酒を勧めることは違法です』
「薦める」とは?
「薦める」とは、ある物や人物の良い所を伝え相手の選択の中に入れてもらうことを意味する言葉です。
「薦」の字は、「推薦」という言葉にも使われていますが、自分が気に入った物や人物の良い所を相手に伝え選択の中に入れてもらうようにする行為を指します。
たとえば、絵や写真のコンテストで入賞作品選考の場面で、審査員の立場として他の審査員に気に入った作品を選んでもらえるように伝えることが「薦める」といったことになります。
「薦める」の例文
・『自分が見た限り、他の面接官に薦めるべき人材はいなかった』
・『派手さがありながらも、まとまりのある色使いをしていた絵を優秀賞に薦めた』
「奨める」とは?
「奨める」とは、ある行動を相手に促すことで意味合いとしては「勧める」と同じになります。
ですが、すすめる側の思いに微妙なニュアンスの違いがあります。
「勧める」は、語弊があるかもしれませんが自分基準に考え相手にすすめるといった行為です。
とにかく自分がいいと思った行動を相手にすすめるもので、場合によっては相手にしてみれば迷惑な可能性もあるわけです。
一方「奨める」は、「推奨」「奨励」という言葉にも使われていますが、相手基準に考えてすすめるといった行為です。
必ず相手の役に立つであろう確信がある行動をすすめるわけです。
「奨める」の例文
・『社会人になってからも役に立っている本を、彼女にも読むように奨めた』
・『〇〇教授の講義を受けることを奨めた』
「勧める」と「薦める」と「奨める」の違い
「勧める」とは、「自分がいいと思った行動を相手に促すこと」を指します。
「薦める」とは、「物や人物の良い所を伝え相手の選択の中に入れてもらうようにすること」を指します。
「奨める」とは、「相手の役に立つだろうと思った行動を相手に促すこと」を指します。
まとめ
同じ読み方の言葉でも微妙な違いがありました。
この記事の内容がみなさんの生活のお役に立てるなら幸いです。